ワーキングペーパー  エネルギー・環境  2026.10.20

ワーキング・ペーパー(26-030J)第7次エネルギー基本計画における2040年の発電コストの積み上げ試算

本稿はワーキングペーパーです。

エネルギー政策

要約

政府の第7次エネルギー基本計画は、2040年度の電源構成として、再生可能エネルギーを4~5割、原子力を2割程度、火力を3~4割程度とする見通しを示している。本稿は、その上限に近い太陽光29%、再生可能エネルギー全体50%を想定し、電気を必要な時刻と地域に届けるための設備と運転を考慮して、年間の発電コストを試算する。

年間需要は両ケースとも1兆1,420億kWh(1,142TWh)とし、既存の原子力33基を設備利用率80%で使用する。①既存火力活用ケースは既存の発電設備を活用し、燃料費などの運用費を最小化する。②エネ基対応ケースは太陽光・風力等を増設し、191GWの蓄電池と送電網増強を導入する。水素・アンモニアの利用は想定せず、既存火力の一部にCO₂回収・貯留(CCS)を導入する。残る火力もバックアップとして維持する。既存設備で不足する供給力は、両ケースともLNG複合火力の新設で補う。

2025年度の需要と再生可能エネルギーの発電実績を基に、全国10地域の需給を30分間隔で計算する。CCS付き火力も需要や再生可能エネルギーの出力に合わせて運転を変え、石炭火力には最低出力、出力変化速度、起動・停止の制約を設ける。②エネ基対応ケースでは、CO₂排出量を強く抑えるため仮想的な炭素価格を最適化に用いる。なおこれは発電コストには計上しない。

2040年における年間費用は、①既存火力活用ケースが15.5兆円、②エネ基対応ケースが31.6兆円となった。差額は16.2兆円、需要電力量当たり14.2円/kWhである。以上は、設備投資を年額に換算し、維持費、燃料費、CO₂輸送・貯留費を合計して求めた。差額の多くは太陽光と蓄電池が占め、合わせて10.4兆円/年である。

②エネ基対応ケースにおいても、非CCS火力は年間56.1TWh、全国同時で最大47.2GWを供給する。太陽光や蓄電池を大量に導入しても、日射や需給の状況によっては非CCS火力の供給力が必要になる。石炭・LNG・石油の燃焼に伴う直接CO₂排出量は、①既存火力活用ケースの425.0百万t/年から、②エネ基対応ケースでは39.4百万t/年へ減少する。

以上の結果は、1年分の需要と発電可能量をあらかじめ把握できるとする完全予見での試算である。需要の8%を目安とした供給余力の確保の計算は行うが、複数年の気象、設備故障、地域内の送配電制約を含む供給信頼度の評価はしていない。想定する大量の太陽光発電と蓄電設備が技術的に導入可能かも不透明である。CCS改造費、既存設備の延命費などにも不確かさが残る。

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