ワーキングペーパー エネルギー・環境 2026.02.19
本稿はワーキングペーパーです。
本稿では、生成AIの普及に伴うデータセンター(DC)の急増を背景に、米国で進むIT大手による原子力事業への投資動向を概説した上で、日本で同様の動きを期待する議論に対し、注意すべき点を論じる。
米国ではMicrosoftやGoogleなどのIT大手が、様々な社会的、経済的事情により、単なる電力消費者に留まらず、発電容量や系統運用に影響を与えるようになっている。とりわけ2024年以降、原子力事業への参画が注目されている。
翻って国内でも、米国に追随し、DC誘致を足掛かりに原子力を再興すべきとの議論が聞かれるようになった。しかし、以下の論点をはじめ、より慎重な検討が求められるのではないか。
DC導入と原子力の復活を結びつけて論じる前に、電力自由化によるステークホルダーやリスクの変化を踏まえ、対応できるような電力需給ガバナンスの再構築が求められていると考えられる。官民の役割分担の明確化をはじめとする、現在の制度の抜本的な見直しとともに、新時代の電力およびDXの課題について議論できる人材の確保が急務である。
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◆表(米国における代表的なIT大手の原子力事業への出資や電力購入契約)
◆Box 1 (米国における新型炉開発の加速)
トランプ政権下では、2050年までに原子力容量を4倍にする目標を掲げ、行政審査の簡素化や「試験炉」と指定された民間開発の炉の建設と運転を強力に推進している。しかし、安全基準の緩和や不透明な審査プロセスへの懸念も懸念されている 。
◆Box 2 (DCをめぐるガバナンス)
DC立地により電力逼迫や料金高騰が生じているとして、米国各地で地域住民の反発が強まっている。これを受け、IT大手は需給調整への協力などの社会的責任の果たし方を模索したり、トランプ大統領によるIT大手に対する規制が打ち出されている。
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ワーキング・ペーパー(26-001J)AI時代の日本の電力需給ガバナンス:「データセンターのための原子力復活」の前に 考えるべきこと