論文 外交・安全保障 2026.02.06
日本は、2025年12月12日(現地時間)、国連海洋法条約の実施協定である、国連公海等生物多様性協定(BBNJ協定, the BBNJ Agreement)の加入書を国連事務総長に寄託した(以下、「批准」と記する。)これにより、日本が同協定の当事国となる。同協定は、2026年1月17日に発効した。
現代の国際法は、かつての「対外公法」と呼ばれた時代のように、国家の対外関係、国家間の外交関係だけを規律する法でない。現代の国際法は、人権、個人の国際犯罪、環境保護の分野にみるように、個人の権利義務を設定する。それゆえに、国家が条約を批准し、国際法上の権利を享受し、義務を負うことは、個人にとっても、重大な関心事である。
日本は、BBNJ協定の批准について、個人にどのように説明したであろうか?BBNJ協定に基づく個人の活動への規律や制約について、説得力のある説明を与えたであろうか?
「法の支配」は、条約批准の理由として、十分であろうか。条約という国際法の批准において、日本は主権国家としての利益と国際社会の共通利益を実現しようとしているであろうか。その日本の国家利益には、個人の利益が含まれることが、どのように認識されているであろうか?
こうした視点から、日本によるBBNJ協定の批准の在り方とともに、同協定の課題も検討する。
関連する兼原研究主幹の著作
Challenges of the BBNJ Agreement: from the Perspective of Japan’s Ratification