コラム  エネルギー・環境  2025.04.23

帰属研究は異常気象を正しく語っているか?

異常気象の帰属研究がもたらす全体としての結論には、多くの選択バイアスがある

地球温暖化
パトリック・ブラウン
本稿は ブレークスルー研究所 パトリック・ブラウン 202518
Do Climate Attribution Studies Tell the Full Story? How a cascade of selection effects bias the collective output of extreme event attribution studies.  https://www.breakthroughjournal.org/p/do-climate-attribution-studies-tell を許可を得て邦訳したものである。


高温、洪水、干ばつ、熱帯低気圧、亜熱帯低気圧、激しい雷雨など、異常気象は、人間と自然の両方のシステムを常に脅かしてきた。このような異常気象がもたらす重大な影響を考えると、人為的な要因によって引き起こされた気候変動が、このような異常気象にどのような影響を与えるのかに大きな関心が集まっている。これが、比較的新しい学問分野である異常気象の帰属研究(イベント・アトリビューション、EEA)の最大の目的である。

過去数十年の間に起こった顕著な気候の異変に注目した(あるいは「気候の異変の引き金」に注目した)EEAの研究が爆発的に増えている。国際的な気候科学者のグループであるWorld Weather Attribution(WWA)の非査読報告書(例えば、こちらの3つ、)は、この種の分析の最も顕著な例の一部であり、多くの類似研究が査読付き文献にも掲載されている。アメリカ気象学会(AMS)の機関紙にシリーズで掲載されている「Explaining Extreme Events From a Climate Perspective 」は、サビン気候変動法センターと同様に、そうした研究をまとめているほか、IPCCの報告書(IPCC WG1 AR6 Chapter 11.2.3)や米国国家気候評価報告書United States National Climate Assessment)の中でも取り上げられている。

この種の研究の総体的な影響としては、人為的な要因による気候変動があらゆる種類の異常気象の頻度と強度を劇的に高めているという印象を確かに与えているということだ。実際、気候変動関連の情報提供を行う組織である英国のカーボン・ブリーフは最近、EEAの研究を科学的にまとめた広範な要約を発表し、その冒頭で「地球の気温が上昇するにつれ、世界中で異常な気象現象がより激しく、より頻繁に起こるようになっている」と述べている。

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