IPCCの報告がこの8月に出た。これは第1部会報告と呼ばれるもので、地球温暖化の科学的知見についてまとめたものだ。何度かに分けて、気になった論点をまとめてゆこう。
IPCC報告では過去の地球温暖化は100年あたりで約1℃となっている。
けれども、これには都市熱が混入している。
都市熱の影響のない田舎の観測所のデータだけを集めると、北半球の気温上昇は100年あたりで0.41℃に過ぎず、温暖化の量は約半分に過ぎなかった、という批判がある。(Connolly論文)
なおここで北半球としているのは、南半球では十分な質・量の観測データが無かったことによる。
図で(a)は都市を除外した、田舎の観測所だけのデータに基づく北半球の気温上昇。
(b)はIPCC報告で用いられているデータセットで、都市の観測所も含まれている。こちらは100年あたりで0.94℃の気温上昇になっている。
これは田舎の観測所だけで計算した気温上昇0.41℃の2倍もある。
このように、IPCC報告では、都市熱も地球温暖化に算入してしまうという間違いを冒していた。
実際には地球規模の温暖化はその半分程度だった、ということだ。
1つの報告書が出たということは、議論の終わりではなく、始まりに過ぎない。次回以降も、あれこれ論点を取り上げてゆこう。
次回:「IPCC報告の論点㉝」に続く