レポート 外交・安全保障 2018.12.13
1.概要
2017年11月18日(土)~19日(日)、当研究所は第27回CIGS政策シミュレーション「東京オリンピック・パラリンピックと都市型テロリズム」を開催した。今回のシミュレーションでは2020年5月前後を想定し、東京オリンピック・パラリンピック(2020、以下東京オリパラ)に向けて、大会会場である東京都心部や首都圏近郊に迫るテロリズムの脅威を大胆に想定した。オリンピック・パラリンピックは世界的注目が集まるイベントであり、テロが生起した時、その社会的インパクト、政治的効果は計り知れない。今回のシミュレーションは東京オリパラのテロ対策をテーマに、日本のテロ対策をめぐる法制度・政策・社会基盤はどこまで万全なのか、またそもそも東京オリパラのタイミングを狙うテロリストは、どのような目標を持ち、いかなる様態のテロを企図するのかの検証を目的とした。同目的を達成するため、今回は宗教過激派、某周辺国の工作員、ホームグロウンの3タイプのテロリストを想定し、それらの脅威に対抗する日本政府側の能力と限界とを念頭に仮想空間を設定した。
本シミュレーションには、現役官僚、研究者、企業関係者、ジャーナリストなど約40名が参加した。シミュレーションのチームとプレイヤーとしては、首相官邸(首相、官房長官、国家安全保障局長、内閣危機管理監他)、外務省(外務大臣、総合外交政策局長、国際情報統括官他)、警察庁(国家公安委員長、警察庁長官、刑事局長、警備局長他)、国交省・経産省(国土交通大臣、経済産業大臣、国交省総合政策局長、国交省鉄道・港湾・航空・海事局長、観光庁長官、経産省通商政策局・産業技術環境局長、経産省関東経済産業局長他)、総務省・防衛省(総務大臣、防衛大臣、総務省情報流通行政・総合通信基盤局長、総務省消防庁長官、防衛省防衛政策局長、統合幕僚長他)、都・五輪委員会(東京都知事、五輪委員会会長、東京都危機管理監、警視庁警視総監、東京消防庁長官他)、メディア・国会議員(国会時)(JHK、日朝新聞、経産新聞、MINE NEWS、Mewyork Times、Malaya Post〔東南アジア・特定宗教系新聞〕他)を設定した。とくに本シミュレーションのもう一つの主役であるテロリスト(宗教過激派、某周辺国工作員、ホームグロウン)には、テロ研究の専門家等の参加・協力を得て、可能な限り現実に近い形でテロリストの思考や行動に沿ったロールプレイを実施するよう依頼した。尚、従来同様、シミュレーション・コントローラーはシミュレーション全体の進行統括とともに、必要に応じて外国政府等の役割を担った。・・・