メディア掲載 財政・社会保障制度 2014.12.05
財務省は介護事業者の経常収支差額率が8%に達し、中小企業の平均値2.2%を大きく上回ることを理由に、介護報酬の引き下げを主張した。介護業界の各関連団体は一斉に反発したが、厚生労働省が所轄する社会福祉法人の財務データ集計からも高収支差額率や、潤沢な純金融資産を保有する実態が明らかになった。非営利ホールディングカンパニーの創設と併せて医療法人と社会福祉法人のあり方について、松山幸弘氏に聞いた。
■社会福祉法人の内部留保が潤沢であり、然るべき措置が必要であるとの報道が繰り返されています。実態はどうなのでしょう
松山 厚労省が所轄している社会福祉法人のうち施設経営を行っている社福350法人の財務データ集計分析結果を、キヤノングローバル戦略研究所のホームページにアップしました。社会福祉法人の法人名を明記した上で経常収支差額率や金融資産など重要な指標を主たる業務種類別に示しています。その結果、個々の法人の経営姿勢の違いがはっきりと わかります。
厚労省の福祉部会などで業界団体の方々は一般論として「社福は儲からないので、お金が溜まっていません」と主張するのですが、実際は内部留保の潤沢な法人がたくさん存在しています。データがその実態を示しています。現在、福祉部会で議論している社福の第二次基礎構造改革に向けた答申が出るときに、このデータに対する国民とマスコミからの質問に答えられるようにしておく必要があります。
閣議決定の指示に基づいて厚労省が約2万存在する全ての社福の財務諸表を集計していますが、その結果が公表されるのは来年の6月ぐらいでしょう。その前に社福の法改正の審議が開始されると予想されます。したがって、今回私が集計し公開した350法人の財務データが法改正の審議にも大きな影響を与えるように思われます。・・・