メディア掲載 財政・社会保障制度 2012.07.06
昨年、薬価算定に関する医療技術評価(HTA)を平成26 年度に一部導入する方針、更にその後(平成28 年度以降か)全面導入する方針が厚生労働省より示され、そのロードマップには産業界からも大きな関心が寄せられている。そこで前回の連載記事では、新制度の円滑な導入のために、まず必要となる関連基本概念への共通認識について取り上げた。そのようなHTA への共通認識が新政策導入のために必要であることは明らかであるが、次に重要となるのが、HTA に係わるガイドラインと国レベルでのHTA 組織である。これに関し、必須となる医薬経済評価ガイドラインのたたき案が存在すること、また、福田レポートにより欧米やアジアのHTA組織とガイドラインの最新事情について調査・報告されたことは、既に連載第1 回で指摘した通りである。
一方、欧米、アジアだけでなくラテンアメリカにおいても、HTA 組織の設立やガイドライン制定が近年活発に起こり始めている。経済発展もとげつつあるこの注目すべき地域では、HTA 導入をめぐりアジアを凌ぐような急速な変化が起こりつつあるにもかかわらず、わが国ではまだ十分紹介されていないのが現状である。おりしも、わが国政府レベルでHTA 導入が検討され始めた今日、ラテンアメリカの取組みも参考になる点があると考えられる。
そこで今回は、欧州の影響を受けて急速に興隆してきたラテンアメリカのHTA 最新事情について展望する。
<医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団より許可を得て医薬品医療機器レギュラトリーサイエンスVol.43, No.6, P.509-513 (2012) より転載>