川名晋史(編著) / 本多倫彬ほか(共著)
出版社 明石書店
ISBN 9784750354125
価格 本体2,500円+税 (電子書籍 2,000円+税)
発行 2022年7月初版
本多 倫彬
Tomoaki Honda
主任研究員
沖縄に基地があるのは宿命ではない。「歴史」の縦軸と「海外との比較」の横軸から現実を捉えなおし、基地問題の解決策を探る。2021年刊行の専門書『基地問題の国際比較』の反響をふまえ、比較対象数も増やしてさらに発展させつつ一般読者向けにコンパクト化。
はしがき[川名晋史]
序章 基地と世界[川名晋史]
第1章 沖縄[池宮城陽子]
第Ⅰ部 欧州
第2章 デンマーク/グリーンランド[高橋美野梨]
第3章 ドイツ[森啓輔]
第4章 スペイン[波照間陽]
第Ⅱ部 中東・アフリカ
第5章 トルコ[今井宏平]
第6章 サウジアラビア[溝渕正季]
第7章 ジブチ[本多倫彬]
第Ⅲ部 アジア・太平洋
第8章 韓国[石田智範]
第9章 豪州(オーストラリア)[福田毅]
第10章 フィリピン[大木優利]
第11章 山口[辛女林]
第Ⅳ部 米領
第12章 グアム[齊藤孝祐]
第13章 プエルトリコ[大澤傑]
あとがき[川名晋史]
【著者(本多)より】
2022年5月15日、沖縄は本土復帰から50年を迎えました。その沖縄では現在に至るまで、米軍基地をめぐる問題が関心を集めてきました。
本書は、編者・研究代表者の川名晋史(東京工業大学・准教授)を中心に、「基地問題」に焦点を当てて、世界各地の基地問題と沖縄の米軍基地問題とを比較することをつうじて、沖縄基地問題それ自体を相対化して考えてみようと試みた研究プロジェクトの成果物です。
沖縄米軍基地を巡っては、米軍人・同軍属による犯罪や米軍機事故が起きるたびに、また基地内での環境汚染や新型コロナの蔓延など様々な事件が起こるたびに、メディアで取り上げられ、抗議運動が注目もされてきました。
米軍基地をめぐる様々な問題が注目される一方で、緊張を増す東アジアの安全保障環境を前に、2022年時点でも辺野古の埋め立て・移設が進められています。沖縄に米軍基地があることそれ自体は、歴史や地理などに起因する必然であるかのような理解が固定化しているといってよいかもしれません。
しかし、沖縄に基地があるのは本当に必然なのでしょうか。またそもそも外国軍の基地とはどういう存在なのでしょうか。本書では、代表者・川名の言葉を借りれば、「沖縄問題をフラットに考える」ために、敢えて沖縄を相対化―沖縄自体から離れて考える―ことを試みました。
国際安全保障の危機が叫ばれ、日本でもとくに沖縄・南西諸島が注目されるなか、改めて日本国民自身がその最前線の沖縄の基地を考えることが必要です。研究書ではありながら、難解な点を極力排し、主に一般読者向けに書かれた本書が、沖縄と基地を考える一助となれば幸いです。