書籍紹介

医療技術の経済評価と公共政策―海外の事例と日本の針路

医療技術の経済評価と公共政策―海外の事例と日本の針路

監修:鎌江 伊三夫、林良造、城山 英明
出版社 株式会社じほう
ISBN 978-4-8407-4373-0
価格 定価3,990円(本体3,800円)
発行 2013年4月初版

鎌江 伊三夫

鎌江 伊三夫

Isao Kamae

研究主幹

[研究分野]
医療政策

概要

2013年6月28日 じほう【PHARMACY NEWSBREAK】に著者インタビューが掲載されました。 薬剤師にも求められるVBMのアプローチ 東京大大学院・鎌江伊三夫特任教授


2013年6月3日 東京大学政策ビジョン研究センターウェブサイトに書評が掲載されました。 「『医療技術の経済評価と公共政策』について」 (東京大学政策ビジョン研究センター教授 三國谷 勝範)


国民皆保険制度のもと、安全性が高く質の高い医療にかかることの出来る日本。しかし、高齢化が進み、医療費の増大が喫緊の問題となっているいま、さまざまな形で効率的な医療についてコンセンサスを得ていく必要が出てきています。 厚生労働省の中央社会保険医療協議会では、新規医療技術や医薬品について費用対効果を加味した診療報酬の導入について検討がなされ、2014年度診療報酬改定での試行的導入を目指し検討する方針が示されました。一方、医療技術や医薬品の経済評価研究は進みつつあるものの、それを政策に応用する取り組みは課題となっています。本書では、諸外国における医療技術や医薬品の経済評価を医療制度に生かす仕組みや、わが国における制度化に向けた課題と選択肢を提示します。

目次

はじめに - テクノロジーアセスメントの動向と医療分野での活用

Ⅰ. 医療問題への「価値に基づく」アプローチ

Ⅱ. 医療の技術評価 - 従来の日本のアプローチ
 1.日本における「HTA(医療技術評価)」の歩み
 2.厚生労働省における医療技術評価の位置づけ
 3.日本の薬価基準制度

Ⅲ. 経済評価の可能性と限界
 1.医療アウトカムの定量化と金銭価値化
 2.医薬経済評価の手法
 3.モデル分析の基本と実例
 4.経済評価ガイドライン

Ⅳ. 欧州の取り組み事例
 1.スウェーデンにおける医療技術評価の導入と発展の系譜
 2.英国における医療技術評価導入
 3.NICEの意義と国際的影響力
 4.ドイツ医療制度の市場性と効率的フロンティア
 5.フランスにおける医療技術評価の政策利用とHAS
 6.オランダ医療制度の管理競争と医療技術評価

Ⅴ. その他の外国での取り組み事例
 1.アジアにおける医療技術評価の萌芽
 2.オーストラリアにおける医療技術評価
 3.カナダにおける医療技術評価と医療技術評価の活用
 4.米国の民間保険会社による医療技術評価の運用
 5.ラテンアメリカ諸国での技術評価の勃興

Ⅵ.経済評価導入への針路と課題
 1.産業の革新性と日本の針路
 2.大学・学会の役割と国際ネットワーク
 3.製薬企業の立場とグローバル戦略
 4.技術革新と技術評価:欧米の動向から
 5.経済評価導入に際しての諸問題

Ⅶ. 座談会
「現在の日本における医療技術評価の制度化に向けた課題と選択肢」
司会  鎌江伊三夫(東京大学公共政策大学院 特任教授・キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹)
大西昭郎(東京大学公共政策大学院 特任教授)
城山英明(東京大学大学院法学政治学研究科 教授・東京大学公共政策大学院 副院長・東京大学政策ビジョン研究センター センター長)
土井脩(一般財団法人医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団 理事長)
長瀬敏雄(MSD株式会社 執行役員 医薬政策部門統括)
林良造(明治大学国際総合研究所 所長・東京大学公共政策大学院 客員教授)
福田敬(国立保健医療科学院 研究情報支援研究センター 上席主任研究官)
森田朗(学習院大学法学部 教授・東京大学名誉教授・東京大学政策ビジョン研究センター 客員教授・中央社会保険医療協議会 会長)

おわりに - 日本における医療技術評価の検討と今後