書籍紹介

英国ブレア政権の医療改革による医療PFIの現状と課題<br />(日本地方財政学会研究叢書第19号『地方分権の10年と沖縄,震災復興』)

英国ブレア政権の医療改革による医療PFIの現状と課題<br />(日本地方財政学会研究叢書第19号『地方分権の10年と沖縄,震災復興』)

著者 柏木 恵
出版社 勁草書房
ISBN 978-4-326-50364-3
価格 本体4,500円+税
発行 2012年3月初版

柏木 恵

柏木 恵

Megumi Kashiwagi

研究主幹

[研究分野]
財政・社会保障

概要

 キヤノングローバル戦略研究所柏木恵主任研究員の「英国ブレア政権の医療改革による医療PFIの現状と課題」と題する研究論文が、日本地方財政学会研究叢書第19号『地方分権の10年と沖縄,震災復興』に掲載された。


「英国ブレア政権の医療改革による医療PFIの現状と課題」

     キヤノングローバル研究所 主任研究員 柏木 恵 

 本稿の目的は、①英国ブレア労働党政権下の医療PFI(Private Finance Initiative、以下PFIとする)の発展の実態を明らかにし、ブレア政権の公約達成状況を検証すること、②この時期に生まれた地域振興型の医療PFIであるLIFT(NHS Local Improvement Finance Trusts、以下 LIFTと略す)の概要と課題を把握し、LIFT会社の財政状況と患者の満足度を検証することである。
 PFIは1992年に英国で発祥したが、ブレア政権になってから病院や診療所の建設に使われるようになった。日本では1999年にPFI法が制定され、病院建設にも活用されているが、不祥事や契約見直しが起き、残念ながら上手くいっているとは言いきれない。東日本大震災の復興策にPFIが挙がっており、PFI法が改正され、新たなPFIのステージに立った今だからこそ、PFIを発展させたブレア政権時代の研究に意義がある。
 この実態分析によって、医療PFIはブレア政権の公約以上に医療施設の近代化は達成されたが、未だ発展途中であり、コスト削減には繋がってなく、特に資金調達の脆弱性とパフォーマンスや有効性の評価に課題があることが分かった。LIFTもマネジメントや評価に課題があることが分かった。