イベント開催報告 グローバルエコノミー
2027年度に実施される公的介護保険制度の制度改正を見据え、今年中から介護制度の改革についての政策提案がさまざま議論されるものと思われます。団塊の世代がすべて75歳以上となるのが2025年です。まさに超高齢化時代となり、これから介護需要の増大が加速していくことは明白です。他方、人手不足の問題は特に介護の分野では深刻なものに益々なって行きます。現状の介護システムは財政面でも人材面でも到底持続可能なものではありません。このため公的な介護保険制度の改革は不可欠ですが、公的介護保険制度だけでは、超高齢化が進む日本で介護ニーズに対応することには限界があります。しかしながら、こうした明確な問題があるにもかかわらず、議論は一部の関係者の間だけに事実上閉じ、幅広く議論がなされていません。
シンポジウムでは、本問題について問題提起を行う観点から、介護システムの直面する困難と持続性への課題を確認しつつ、まず、公的介護保険制度の改革の方向性の共有を図ります。このため、財政面での持続可能性を確保するための改革の方向性とともに、人材不足に対応する上で必須となる生産性向上等のための改革についても議論します。
その上で公的な介護保険制度の限界を踏まえ、民間の力の一層の活用策について議論します。具体的には、まず世界各国における事例を踏まえ、民間の金融イノベーションを活用することを提案する政策研究大学院大学教授のリチャード・アントン・ブラウン教授の制度提案を議論します。ブラウン教授の提案は、具体的には、高齢者でも加入可能な年金保険に介護特約を入れるなど、民間保険の特約で介護への資金需要に対応しようとするものです。こうした提案が日本でも議論されることにより、個人の介護需要という新しい分野を開拓する新しい金融機能が発展することが期待されます。また公的介護保険制度だけに依存しない民間介護サービスの拡大と、こうした民間サービスを通じた幅広い人材の発掘の可能性についても議論します。
9:00-9:05 | 開会 |
第一部 介護システムの持続性の問題点 | |
9:05-- 9:15 | 北尾 早霧氏(政策研究大学院大学 教授) |
9:15-- 9:25 | 三原 岳氏(ニッセイ基礎研究所 上席研究員) |
9:25-- 9:35 |
リチャード・アントン・ブラウン氏 (CIGSインターナショナル・フェロー/政策研究大学院大学 教授) |
9:35--9:45 | 質疑応答 |
第二部 介護システムの改革の方向性 | |
9:45-- 9:55 | 紀伊 信之氏(日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 部長) |
9:55--10:05 | 舘 誠一氏(ニッセイ・ウェルス生命保険株式会社 代表取締役社長) |
10:05--10:15 | 谷口 豊氏(プルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパン株式会社 数理ファンクション マネージャー) |
10:15--10:25 | 質疑応答 |
10:25--10:35 | 休憩 |
第三部 パネルディスカッション | |
パート1: |
次期公的介護保険制度改革に向けて(財政面、人材面での持続可能性確保) 三原氏、紀伊氏、大島 一博氏(前厚生労働省次官) |
パート2: | 民間介護保険の役割と拡大に向けて(公的介護保険の補完) ブラウン氏、谷口氏、大島氏 |
パート3: | 人材不足への対応 ブラウン氏、紀伊氏、大島氏 |
モデレータ:寺澤氏 | |
12:00 | 閉会 |
北尾 早霧氏 | 第一部 介護システムの持続性の問題点:発表資料 |
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三原 岳氏 | 第一部 介護システムの持続性の問題点:発表資料 |
リチャード・アントン・ブラウン氏 | 第一部 介護システムの持続性の問題点:発表資料 |
紀伊 信之氏 | 第二部 介護システムの改革の方向性:発表資料 |
舘 誠一氏 | 第二部 介護システムの改革の方向性:発表資料 |
谷口 豊氏 | 第二部 介護システムの改革の方向性:発表資料 |
リチャード・アントン・ブラウン氏 | 第三部 パネルディスカッション:発表資料 |
大島 一博氏 | 第三部 パネルディスカッション:発表資料 |
政策研究大学院大学 教授
株式会社日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門
高齢社会イノベーショングループ 部長/プリンシパル
ニッセイ基礎研究所 上席研究員
プルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパン株式会社
数理ファンクション マネージャー
ニッセイ・ウェルス生命保険株式会社 代表取締役社長
前厚生労働事務次官