イベント開催報告  エネルギー・環境

CIGS エネルギー環境セミナー 「地球温暖化はどこまでが自然変動か」

2019年8月26日(月) 15:30 ~ 17:00 開催
会場:キヤノングローバル戦略研究所 会議室

講師より、以下についての講演があった。
・地球の平均気温はどのように変動してきたか。数十年から数百万年までのスケール で見るとどうか。その原因は何だったか。
・数十年スケールでの自然変動にはどのようなものがあるか。例えば、北極振動とは何か。
・人為的な地球温暖化と自然変動の関係はどのように整理できるか。
以上を受けて、活発な質疑応答がなされた。

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(左から田中氏、杉山氏)

開催概要
題目: 「地球温暖化はどこまでが自然変動か」
発表者: 田中 博(筑波大学 計算科学研究センター 教授)
モデレーター:杉山 大志 (キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹)


講演概要
近年の温暖化トレンドとそれに重なる数十年スケールの気候変動には、人為的温室効果ガスの増加とは関係のない気候システムの自然変動が含まれているはずである。その大きさを定量的に把握する必要があり、そこを見誤ると甚大な経済的損失に繋がる。講演者は温暖化トレンドの約半分は自然変動によるものと考える。しかし、例えば異常気象と温暖化との関係を調べるイベントアトリビューションの研究では、温暖化のすべてが人為起源の放射強制力によって再現されており、前提が間違っている可能性がある。本講演では、現代のポピュリズムによって大きく影響を受けている地球温暖化研究の落とし穴について、私見を紹介したい。

プログラム
ProgramPDF: 317KB


発表者紹介
筑波大学計算科学研究センター教授。生命環境科学研究科長。米国ミズリー州立大で1988年にPh.D取得。アラスカ大学地球物理学研究所助教を経て1991年に帰国。筑波大学講師、助教授を経て現職。専門は大気大循環研究。1994年から2016年まで日本気象学会常任理事を務める。著書に「NHK高校講座・地学」、「高校教科書・地学基礎」、「偏西風の気象学」、「はじめての気象学」、「地球大気の科学」など。