イベント開催報告  財政・社会保障制度

23rd General Assembly of IOTA: Are Tax Administrations Ready for the Tax Official of Tomorrow?発表報告(柏木研究主幹)

2019年7月2日(火) ~4日(木) 開催
会場:ベルギー、ブリュッセル

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柏木研究主幹は、7月2~4日にベルギーのブリュッセルで開催された" Are Tax Administrations Ready for the Tax Official of Tomorrow?"と題する23nd General Assembly of IOTA (Intra-European Organisation of Tax Administrations) に参加し、Session 4b : Closing the knowledge & skill gapsで、"The Challenge of an Aging Society in Japan and Solutions"という題目でプレゼンテーションをおこないました。

このセッションは「税務職員の知識とスキルのギャップの埋め方」というテーマであるため、柏木研究主幹は、日本のおかれている背景(人口減少、少子高齢化、過疎化、グローバル化、デジタル化)と日本の国税・地方税の税務職員の研修・教育制度を説明し、日本の電子申告の効果を示し、公務員減少の中、日本が選択したデジタル化によって、納税者の利便性向上と行政の効率化(結果的に税務職員の知識とスキルのギャップを埋める)にむけた現在の取り組みおよび将来像について報告しました。


IOTAから2つの質問があり、以下のように回答しました。


質問①:税務行政機能における知識のギャップを埋めるために、国税庁はどのようにITを活用していますか?

回答①:近年、国税庁は多くのeラーニングを行っている。ITセキュリティに関しては年に一度行っている。業務システムや財務会計システム、電子申告、コールセンターなどについては、マニュアルを整備しパソコン上で参照できるとともに、研修やOJTで学んでいる。また国税庁は、税務大学校で、新採用職員向けにITに関する講義を開催している。

税務大学校の講義は、橋渡し人材スキル認定制度の基本研修の一部に認定されており、税務大学校の講義は、それなりのものが行われていると考えられる。

RPAは業務プロセスの自動化・標準化に向けた良いツールである。人々は不必要なものを作りがちである。RPAは不必要なプロセスを修正し生産性を向上させることができる。RPAによって生み出した時間で、定時に帰宅したり、同僚と会話を楽しんだり、別の仕事をしたりすることができる。国税庁はRPAについて検討を始めたところである。


質問②:どのようなナレッジマネジメントシステムを使っていますか?

回答②:国税庁は、ビジネス・プロセス・システム、アカウンティング・システム、ヒューマン・リソース・システムなどの、さまざまなITおよびIT以外のナレッジマネジメントを持っている。

すでに述べたように、国税庁はさまざまな運用マニュアル化が行われており、職員は、パソコン上または紙に印刷して、マニュアルを見ることができる。そして国税システムはビジネス・プロセス・マネジメント・システムであり、クオリティ・マネジメント・システムであり、データウェアハウスでもある。職員はそのシステムを使って仕事をしている。

ナレッジマネジメントシステムに重要なのは、コミュニケーション、コラボレーションと相互理解だと考えている。