イベント開催報告 エネルギー・環境
2019年4月19日(金)
15:30
~ 17:00
開催
会場:キヤノングローバル戦略研究所 会議室
以下の2点にわたって講演がありました。
1.燃料電池のイノベーションのプロセスを紐解き、その底流の構造を明示した。
・2014年にトヨタの燃料電池車「ミライ」が1/20のコストダウンによって700万円で発売された。 ・これは設計、材料、加工技術の同時革新による課題解決でもたらされた。 ・燃料電池の革新は、コンピュータの最適化計算能力(代表はAI)の自律的発展に支えられており、今後もしばらくこの傾向は続く。 ・このように、「ミライ」が生まれたイノベーションの背景には、産業進化の方向性を示す仕組みがある。
2.AI/IoTの技術革新で環境イノベーションはどこに向かうか
・現在の第四次産業革命は、AIとセンサー、ロボット等デバイス革新で発展する。 ・AI/IoTは、シェアの意味での環境負担の低減の面、リソース活用の効率化の面等、様々な面で新たな環境イノベーションを生み出されることが想定される。 ・現在は、AIを中心とした学習・最適化技術による自律的な技術発展の時期にあり、環境イノベーションのベースとなるAI/IoT技術は当面自律的に発展し続ける。 ・今後、潜在リソースを自律的に発掘するシステムが多数生み出されることで、自律的に環境イノベーションを発展させる可能性がある。 ・一方で、新たな価値創出が社会全体の発展を生み出すため、生産活動などの量は拡大。付帯的なCO2を増加する可能性がある。 ・環境政策としては、環境イノベーションにプラスの効果があるAI/IoTの基盤となる技術に投資し、マイナスの効果を抑制する最適化管理手法を導入することが求められる。(データがモニタリングできるのできめ細かな管理が可能になる)
以上を受け、活発な質疑応答が行われました。
開催概要 題目: 「燃料電池のイノベーションに見る環境技術革新の方向性」 発表者: 木通 秀樹(株式会社日本総合研究所 創発戦略センター部長) モデレーター: 杉山 大志 (キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹)
プログラム 20190419_program.pdf PDF: 285KB
講演趣旨 現在、AI/IoTを中心に様々な分野でイノベーションが進んでいる。革新の底流には、基盤技術の自律的な発展の仕組みがある。本講演では、燃料電池のイノベーションのプロセスを紐解き、その底流の仕組みを明示する。基盤となる技術が自律的に発展する時期には、革新的な新技術が次々に生まれ、いわゆる産業革命の時代と言われる時期を迎える。今後、AI/IoTのさらなる技術革新によって、環境イノベーションがどのような方向に向かうかについて論じる。
講師紹介 慶応義塾大学理工学研究科後期博士課程修了(工学博士)。1988年石川島播磨重工業(現IHI)に入社。各種のロボット、プラント、機械等の制御システムの研究開発に従事。2000年日本総合研究所に入社。新市場開拓を目指した社会システム構想、技術政策の立案等を行う。著書に「大胆予測 IoTが生み出すモノづくり市場2025」、「なぜ、トヨタは700万円で『ミライ』を売ることができたか?」(共著、日刊工業新聞社)など。