イベント開催報告 国際交流
2017年10月17日(火)
15:30
~ 17:00
開催
会場:キヤノングローバル戦略研究所 会議室3
プログラム: ProgramPDF:252KB
講演資料: 『中国の債務問題について~金融が真に「実体経済に貢献する」ための重点課題~』PDF:1.96MB
テーマ概要
中国では近年、地方政府と国有企業を中心に債務が急増し、その持続可能性が懸念されている。「供給サイドの構造改革」に取り組んでいる現政権は、「過剰な生産能力・不動産在庫・債務の解消、企業コストの削減、脆弱分野の補強」を重点政策課題に据え、様々な取り組みを実行に移している。但し、過剰債務の削減は、規模が膨大で、実態が不透明な部分も小さくないため、進展ペースは総じて緩やかなものに止まっている。債務リストラについても、市場メカニズムを適用する目標が掲げられているものの、まだ試行の域を出ていない。一方で、金融機関には「実体経済に貢献する」ことが強く求められており、債務削減と並行して適度な融資拡大に努めることも期待されている。また、インターネット金融をはじめとする金融テクノロジーの向上は、中国社会に大きな恩恵を及ぼしつつあるが、リスク管理面の課題も少なくない。
講演では、これまでの中国の金融制度改革の流れを振り返り、現状を概観したうえで、債務問題の実態とリスクの所在を整理し、今後の重点課題について検討する。
岡嵜 久実子 略歴
キヤノングローバル戦略研究所(CIGS) 研究主幹
1984年東京外国語大学外国語学部中国語学科卒業(1982年、北京語言学院留学)後、日本銀行入行。1993年、香港中文大学留学。1997~2001年、日本銀行香港事務所次長。その後、国際局及び金融研究所において、主に中国の金融経済調査・研究、中央銀行技術協力の連絡窓口等を担当。この間、外務省経済局、米国ランド研究所、中国人民銀行上海総部に滞在。2016年4月よりCIGS研究主幹(中国経済・中国金融制度)。