(左から松山氏、小林氏)
開催概要
題目: "Globalization and Synchronization of Innovation Cycles"
発表者:ノースウェスタン大学 経済学部 松山 公紀 教授
モデレーター:キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹 小林 慶一郎
プログラム
Program(PDF:87KB)
発表資料(英語)
Presentation by Prof. Matsuyama(PDF:9392KB)
論文(英語)
Paper(PDF:4039KB)
発表概要
本論文では、内生的なイノベーションサイクルの2国間モデルを分析している。2国間で貿易がない状態では、それぞれの国でのイノベーションの変動は相手国と切り離されている。貿易を行うためのコストが低減し、産業内貿易が増加してくると、イノベーションサイクルは同期(synchronize)していく。その背景には、グローバルな市場環境の中で、異なる国々の企業の活動が加速するにつれて、それらの企業においてイノベーションサイクルを一致させようという動機が高まるからである。
さらに、2つの国のサイズが大きく違う場合には、イノベーションサイクルの同期はより速く進む。また、大国はグローバルなイノベーションサイクルのテンポを規定するので、小国はそのリズムに合わせるようになる。
2国間で貿易量が増加すると景気循環の同期が高まるという事実が知られているが、一般的に利用されている基本的なモデルでこの事実を再現するのは極めて困難である。しかし、本研究が示した内生的に生産性が変動するメカニズムを導入することで、この事実をある程度、再現することが可能となる。これらの結果は、貿易と景気循環の関係を理解する上で、内生的な生産性変動のメカニズムの重要性を示唆している。
発表者紹介
Professor, Department of Economics, Northwestern University
PhD: Harvard University, 1987
Kiminori Matsuyama's research interests concern international trade and economic growth and development. He is particularly interested in understanding the processes that lead to macroeconomic instability over time and also inequality across countries, regions, and households. He is a Fellow of Econometric Society. He was the 1996 winner of the Nakahara Prize awarded to the best young economist by the Japanese Economic Association. He currently serves as an associate editor of the Journal of Economic Theory and the Journal of the Japanese and International Economies.