CIGS中国研究センター

エッセイ&コラム
自由民主主義制度を利用する中国認知戦の実態

2025.11.05

最近、中国国台弁が2016年から閉鎖していたFacebookのアカウントを復活させて、本格的に再始動させた。その目的は、正式に、最も台湾人が使っているソーシャルメディアを通じてプロパガンダ活動を行うことのようだ。

この件に対して、台湾の大陸委員会副主任委員兼スポークスマンの梁文傑氏は、「中国はFacebookでプロパガンダができるが、我々は中国のプラットフォームを利用できない。例えばWeiboなど。これは、どこに言論の自由があるのかを示している」とコメントした。一方で、梁氏は「Meta社はこの件をどう見ているのか」とも疑問を呈した。

これを見ると、台湾では、言論の自由(特にネット上では)は、ソーシャルメディアプラットフォームの所有企業によって管理されており、過激な事件が起きたときや捜査対象となったとき(例えば、台湾のインフルエンサーである館長による頼清徳首斬り発言事件)以外は、政府機関が言論の自由の議題にあまり関与しないように見える。

筆者は、このような現象を見ると、国共内戦時代の中国の状況を思い出す。当時、中国(中華民国)は主に国統区(国民党政府統治区)と紅区(匪区、解放区)に分かれていた。紅区、すなわち共産党統治区では、国統区の新聞や雑誌などは一切流通しなかった。反対に、国統区では、ある程度の言論の自由があったため、紅区からの新聞や雑誌の多くが流入していた。

当時インターネットはなかったが、共産党はさまざまな情報流通手段をうまく利用して、プロパガンダや偽情報の流布を行っていた。共産党は地下党員や工作員、スパイを派遣し、現地住民を吸収して活動させる形で、新聞や雑誌を発行したり、読書会などのイベントを開催したりして、一方で国統区の住民の支持を集め、他方で偽情報によって人々を洗脳し、いわゆる「認知戦」の手法で政権を奪おうとした。

その結果、当時、多くの知識人が共産党のプロパガンダを信じたり、偽情報に騙されたりして、共産党を支持するようになった。そのおかげで共産党のネットワークは次第に拡大し、直接的あるいは間接的に国民党の統治に影響を与えた。最終的に、国民党は内戦に敗れて台湾へと撤退した。

この歴史的な出来事と、現在中国が台湾に対して行っている作戦を重ねてみると、その流れはけっこう似ているように思える。簡単に言えば、認知戦とは「民主的な手段で民主主義を破壊すること」である。そして、道徳的・法的な制限があるため、民主社会が権威主義社会に対して認知戦の面で対抗するのは、あまりにも難しい。これは、今すぐにでも解決しなければならない問題だと思う。(W)

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