2025.10.22
9月と10月に12名の解放軍高官の失脚が明らかとなった。9月の発表と10月の発表では武警司令の王春寧上将の発表が重複しているため、9名の上将(うち8名は中央委員)と3名の中将が失脚した。9名の上将のうち何宏軍(中央軍事委員会政治工作部常務副主任)を除く8名の上将は何らかの形で南京軍区/東部戦区での勤務経験がある。このうち、何東衛(中央軍事委員会副主席)、苗華(中央軍事委員会政治工作部主任)ら5名は習近平との関係が深いとされる旧第31集団軍での勤務経験がある。また、9月に失脚した3名の中将も何、苗と関係が深い。9名の上将はいずれも習近平が抜擢し、重用してきた将官たちであり、単なる反腐敗闘争ではなく、習近平の軍掌握に大きな影響を与えるものである。また、何衛東、林向陽(東部戦区司令員)、王厚斌(ロケット軍司令員)は台湾を睨んだ人事であったことから、今後のプロセスに少なからず影響を与えるだろう。
また、戦勝80周年記念パレードでは閲兵総指揮が、慣例である中部戦区司令官ではなく、中部戦区空軍司令の韓勝延が務めた。人民日報は従来のパレードでは総指揮を明示していたが、今回については省略していたことから、本来あるべき状況でなかったことが推測される。中部戦区司令の王強、政治委員の徐徳清は、7月末の建軍記念の「八一」招待会を欠席しており、中部戦区の代表者も不在であった。また、欠席者と失脚者の高い相関性を考えると、失脚者は今後も出てくる可能性がある。
その他、習近平肝いりで実施したチベット、新疆訪問では、陸軍総部直轄の西蔵軍区司令員が接見式を欠席し、同じく陸軍総部直轄の新疆軍区では司令員と政治委員の両方が欠席した。
以上の動向を踏まえると、軍内には何らかの抗争が生じており、習近平は事後的に対処を迫られているように見える。軍の掌握に不安があるというほどではないにせよ、盤石とは言い難い局面に差し掛かっていると見るべきか。