外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2026年6月30日(火)

外交・安保カレンダー (6月29日-7月5日)

[ 2026年外交・安保カレンダー ]


今回の原稿は2026年の第26回目となる。ということは、もう早くも半年が過ぎてしまったということか。振り返ってみれば、今年は2月からイラン情勢に振り回されっぱなしだった。「もういい加減にしろ」と言いたいところだが、相手は同盟国の大統領だから、そうも言えないかなぁ・・・。

先週はMOUならぬ、「誤解覚書」に振り回されたが、この文書の実態は「ホルムズ海峡は何とか開く一方、核問題は事実上棚上げする」という意味での米イラン「妥協の産物」。時期尚早かもしれないが、ガザの停戦交渉と同様、結局このMOUが「最終合意」に至る可能性は低く、「イラン側の粘り勝ち」に終わるのではなかろうか。

これまでも「2026年のイランは1944年の大日本帝国」「2026年の米国は1942年(ミッドウェー海戦)の日本」などと、苦し紛れの「歴史の押韻」を書いてきたが、今回は「2026年のホルムズ海峡は1932年の満州国」ではないか・・・、と考える理由を書こう。要するに、「革命防衛隊」は「関東軍」に似ているのでは、ということだ。

6月25日、イランはホルムズ海峡を航行中の貨物船をドローンで攻撃し、米中央軍は翌26日にイランのミサイルやドローンの保管庫・レーダー施設を攻撃、更に27日にはイラン側が米陸軍施設を攻撃、などと報じられた。「停戦中」しかも「無料の自由航行が認められた60日の期間内」の筈なのに、なぜイランは攻撃したのか。

答えは簡単、恐らく、このドローン攻撃は、イランの海峡「管理」を既成事実化するため「革命防衛隊」が独自の判断で行ったのだろう。中央政府の意向を無視して満州での独自軍事行動を続けた「関東軍」と同様、イランの「革命防衛隊」もイラン大統領の意向など無視して行動している可能性が高いのだ。これでは「停戦」など長続きしない。さて、来週はどうなることやら・・・。

続いては、いつもなら吉岡明子主任研究員によるロシア関連コーナーだが、今週も同研究員多忙のため、お休みさせて頂く。次に、いつもの通り、欧米から見た今週の世界の動きを見ていこう。欧米の外交専門家たちの今週の関心イベントは次の通りだ。

6月30日 火曜日  メルコスール諸国首脳会議、閉幕(パラグアイ)
EU外交担当代表、トルコ訪問を終える(2日間)
7月1日 水曜日  日本首相、インド訪問(3日間)
フィリピン大統領、カナダ訪問(4日間)
米加墨貿易協定の共同レビュー期間の期限到来
欧州委員会委員長、アゼルバイジャン訪問
欧州評議会議長、アイルランド訪問、アイルランド首相と会談
欧州委員会委員長、ボスニアヘルツェゴビナ訪問(2日間)
7月2日 木曜日  アルジェリアで議会選挙
欧州委員会委員長、アルメニア訪問
7月4日 土曜日  イランでハーメネイ前最高指導者の葬儀始まる(3日間)


最後はガザ・中東情勢だが、もう付け加えることはあまりないなぁ。ホルムズ海峡の「管理」に関するMOUの文言は明らかに曖昧だから、米イラン間で「誤解」が生じるのも当然と思うからだ。今後も、交渉がうまくいかないと、イラン側がタンカーを攻撃し、それに対し米側が報復を行い、さらにイランが「全面戦争に至らないような」攻撃を加えて、ちょっとした「騒ぎ」にはなるが、その後両者は「停戦は続いており、近く話し合いを再開」することで合意し、再び沈静化する・・・。当分この繰り返しではないか。逆に、それが続くということは、肝心の核問題などの交渉に進展がないということ。分かり易い人たちではあるが・・・。今週はこのくらいにしておこう。


2026年重要日程レポート26【6月29日版】

<今週以前から続く会議>

6月27日‐6月30日 MIJF 2026 - マレーシア国際ジュエリーフェア(クアラルンプール)

6月

<6月29日‐7月5日>

29日 カザフスタン第1四半期経済活動別GDP発表
29日‐6月30日 国際連合越境組織犯罪防止条約締約国会議、移民密輸に関する作業部会、第13回会合(ウイーン)
29日‐7月8日 危険物輸送に関する専門家小委員会、第68回会合(ジュネーブ)
29日‐7月10日 UNCITRAL、第59回会合(ニューヨーク)
30日 皇室典範改正案閣議決定(見込み)
30日 サウジアラビア2026年第1四半期投資報告
30日 チリ3~5月雇用統計発表
30日 ドイツ5月労働市場統計発表
30日 トルコ5月貿易統計発表
30日 沖縄県うるま市(旧石川市)の米軍戦闘機小学校墜落事故67年
6月上旬 ラオス5月CPI発表

7月

1日 アイルランドがEU議長国に(12月末まで)
1日 高市早苗首相訪印
1日 改正旅券法が施行
1日 貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」共同見直し開始
1日‐7月3日 ACUNS年次総会(リスボン、ポルトガル)
2日 アルジェリア議会選挙
2日 6月の米雇用統計(労働省)
3日 高市首相帰国
4日 米建国250周年

<7月6日‐7月12日>

7日‐7月8日 NATOアンカラ首脳会議(第36回)(アンカラ、トルコ)
7日‐7月15日 国連持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)(ニューヨーク・UNHQ)

<7月13日‐7月19日>

13日‐7月16日 ECOSOCハイレベルセグメント(HLPF 閣僚級セグメント含む)(ニューヨーク・UNHQ)
13日‐7月17日 UPEACE-UNITAR 国際法・外交修士課程フィールド訪問(ジュネーブ)
15日‐7月18日 EU-ASEAN・ビジネスミッション(バンコク)
16日‐7月17日 第22回 ASEAN-日本包括的経済連携合同委員会(TBC)(フィリピン)
16日‐7月17日 全国知事会議(鳥取市)
19日 第59回ASEAN、AMM、準備SOM・SEANWFZ委員会(フィリピン、未確定)
19日 サントメ・プリンシペ大統領選挙(サントメ・プリンシペ)
19日‐7月29日 国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会(韓国・釜山)

<7月20日‐7月26日>

20日 第59回ASEAN外相会議(AMM)開幕・本会合(フィリピン、未確定)
21日 ASEAN三者会合(ノルウェー&トルコ)(フィリピン・マニラ市)
21日‐7月22日 ECOSOC 第2回管理セグメント(ニューヨーク)
22日 ASEAN PMC+1 — 日・米・中・EU・印・豪・露・英・加・NZ。各対話相手国との個別セッション。南シナ海・貿易が焦点 (フィリピン、未確定) 
22日 南シナ海行動規範(COC)交渉ラウンド(TBC)(フィリピン、未確定)
22日‐6月23日 国連工業開発機関(UNIDO)計画・予算委員会、第42回会合(ウイーン)
22日‐6月26日 中国国際サプライチェーン促進博覧会(北京)

<7月27日‐8月2日>

28日 1951年難民条約75周年記念(UNHCR)(ジュネーブ)
29日 核実験に反対する国際デー(国連)
30日 人身売買被害者世界デー(UNODC)(国連主催)

8月

14日 韓国で「慰安婦の日」
15日 韓国で日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」
17日‐8月20日 年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」(米ワイオミング州)
17日‐8月28日 UNCCD締約国会議及び補助機関の会合、第17回会議(ウランバートル)
24日‐8月28日 UNDP/UNFPA/UNOPS執行委員会、第2回定例会(ニューヨーク)
29日‐8月30日 G20財務大臣・中央銀行総裁会議(ファイナンス・デプティーズ会合)(アシュビル、ノースカロライナ)
30日 ハイチ大統領選
31日‐9月1日 G20財務大臣・中央銀行総裁会議(閣僚級)(アシュビル)


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問