外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2026年3月17日(火)

外交・安保カレンダー (3月16日-22日)

[ 2026年外交・安保カレンダー ]


「ホルムズ海峡」という言葉を、先週末からこれほど何度も聞くことになるとは思っていなかった。対イラン軍事作戦を理由にトランプ大統領が習近平への訪中延期を求めた、と報じられた時、正直「ここまで来たか」と思った次第だ。

トランプ政権はホルムズ海峡の確保・再開通に向け、同盟国・友好国に支援を求めた。だが欧州は一斉に断った。フォーリンポリシー誌が「Trump Seeks Help to Reopen Hormuz. Europe Says No.」と見事な一行で要約したが、欧州にとってはホルムズを通過するエネルギーの輸送先はアジアであって自分たちではない、という割り切りがあるのだろう。

そして欧州が断った後、トランプ氏の矛先は中国とアジアに向いた。日経新聞によれば、トランプ氏自身が「ホルムズ海峡が同盟の試金石」と述べ、「日本の反応を知りたい」とまで言ったという。うーん、これはなかなかの言い方だ。では、この状況をどう読むか。筆者の仮説はおおむね以下の通りだ・・・・・。


さてさて、ここまで読んできた読者の皆様は、どこか違和感を持たなかっただろうか。「別に?!」と言われたら身も蓋もないのだが、実は上記3パラグラフ、全てAIが作成したものだ。過去の外交安保カレンダーを全てAIに読み込ませ、面白半分に筆者のスタイルで「今週の原稿を書いて」と命令したら、出来上がったのがこれである。

正直、凄いというより、気味が悪い、とすら思った。これでは筆者はいずれ「不要」となるだろう。機械がここまで書けるとなると、人間はもっともっと創造的になる必要があるのだが、筆者にはそこまでの自信がない。自信はないのだが、今後とも一字一句心を込めて書いていくしかないと腹を決めた。もうAIを使うことは当分ないだろう。

その上で一言言わせてもらおう。今週は高市訪米という大イベントがあるが、本来はペルシャ湾の安全航行に深く依存する日本が、ホルムズ海峡の自由航行を維持するための国際的努力に協力するのは当然だ。ところが今回はこれと真逆の事態が進行している。

そもそも今回の戦争はイランの暴発ではなく、イスラエル主導で始まったもの。米大統領には戦略も大義名分も同盟国への根回しもない。更に、ホルムズ海峡安全航行に向けた国際協力システム構築を言い出したのは戦争長期化が懸念されてからのこと。こんな状況の下では同盟国も「協力したくてもできない」のではないか。詳細は今週の産経新聞WorldWatchコラムに書くつもりなので、ご一読願いたい。

さて、次は吉岡明子主任研究員によるロシア関連コーナーだが、今週は同研究員がまとめた「米国によるロシア産石油制裁の緩和――ロシア・メディアから」を以下の通りご紹介する。ロシア・メディアが「イラン戦争により石油市場が売り手市場になった」ことを手放しで歓迎しているかのようで、実に興味深い。

トランプ政権は12日、イラン危機に関連して原油価格が高止まりするなか、対露制裁の緩和に踏み切った。海上輸送中のロシア産原油・石油製品を対象に、1か月の販売を許可する。ウクライナやEU、欧州各国などは「制裁を維持すべき」として批判している。
ロシアでは、今回の米国による制裁緩和措置は、一時的な措置だとして慎重に見る専門家も存在するが、やはりクレムリン周辺からは、直接的に国家財政を潤すとして歓迎する声とともに、世界の原油市場におけるロシアの重要性を改めて示すものだとして評価する声が多い。

◆「EUはエネルギー的“ハラキリ”をしている」――ドミトリエフ発言、3月13日付RIAノーボスチ・Lenta報道(要点抜粋)

  • 今回の米国の制裁緩和措置を受け、キリル・ドミトリエフ ロシア直接投資基金総裁は、「ロシアのエネルギーなしにエネルギー危機からの脱却は不可能」であり、「米国は事実上、ロシアなしでは世界市場の安定を維持できないことを認めた形だ」と自身のテレグラム・チャンネルに書き込んだ。
  • 同氏は、今回の制裁緩和でロシアの予算収入は100億ドルを超える可能性があるとの見方も示した。
  • さらに、EUが今回の緩和措置に反対していることに対し、「EUはエネルギー的“ハラキリ”を続けようとして」いるとし、「EUは戦略的エネルギー政策上の誤りを認め、その責任を償う方がよい」とXに投稿した。


◆「エネルギー資源をめぐる競争:米欧のガソリンスタンドでのパニックは正当か」――イーゴリ・ユシュコフ 金融大学エキスパート、3月13日付TASS(要点抜粋)

  • ユシュコフは、現在起きているのは燃料不足によるパニックではなく、エネルギー資源をめぐる国際的な競争の激化だと論じている。そのうえで、次の点を指摘している。
  • 現在のエネルギー危機で最も恩恵を受けるのは、ロシアを含む産油国だ。特にロシアにとっては、エネルギー資源の価格上昇にとどまらず、ロシア産原油のディスカウント幅が縮小することも大きな意味を持つ。(注:これまでロシアの原油は、欧米の厳しい制裁の影響で、中国やインドに大幅な割引価格で販売されていた。)
  • また、今回のエネルギー危機により、ロシアが世界の石油・ガス市場において重要なプレーヤーであるという認識が改めて世界で深まった。
  • さらに重要なのは、今回のような対露制裁の凍結は、今後の「前例」となり得ることだ。(注:今後も同様の制裁緩和が行われ得るとの見方を示したもの。)
  • ロシア産エネルギー資源をめぐる競争はさらに激しくなっている。タイ、日本、韓国などがロシア産原油の購入に関心を示しており、これは世界的な競争の激化と、ロシアを孤立させようとする試みが失敗したことを示すものだ。


続いては、いつもの通り、欧米から見た今週の世界の動きを見ていこう。ここでは海外の各種ニュースレターが取り上げる外交内政イベントの中から興味深いものを筆者が勝手に選んでご紹介している。欧米の外交専門家たちの今週の関心イベントは次の通りだ。

3月17日 火曜日  シンガポール首相訪日(3日間)
フィンランド大統領、2日間の訪英終了
3月18日 水曜日  国連事務総長ブラッセル訪問、欧州委員会委員長と会談
ナイジェリア大統領訪英(2日間)
3月19日 木曜日  欧州評議会首脳会議(ブラッセル)
日本首相訪米、米大統領と会談
3月21日 土曜日  ラ米カリブ共同体首脳会議(コロンビア)
3月22日 日曜日  スロベニアで議会選挙
仏で地方選挙の決選投票
伊で司法改革に関する国民投票(2日間)


今週はこのくらいにしておこう。


2026年重要日程レポート11【3月16日版】

<今週以前から続く会議>

3月2日‐3月19日 人権委員会、第145回会議(ジュネーブ)
2月23日‐3月27日 総会第五委員会(未定)(ニューヨーク)
2月23日‐4月2日 人権理事会第61回会議(ジュネーブ)
3月2日‐3月19日 人権委員会、第145回会議(ジュネーブ)
3月9日‐3月20日 女性の地位に関する委員会第70回会議(ニューヨーク)
2026年前半 ロシア・アラブ首脳会議(場所未定)
2026年内 ロシア大統領がカザフスタン訪問を予定

3月

<3月16日‐3月22日>

16日 米国2月小売統計
16日 カザフスタン1月貿易統計発表
16日 カザフスタン1~2月鉱工業生産指数発表
16日 台湾2月投資統計発表
16日 フィリピン1月OFW送金額発表
16日 EU外相理事会
16日‐3月17日 サムソン国際スマートモビリティ・サミット2026年(テルアビブ)
16日‐3月19日 米エヌビディア年次開発者会議「GTC」(カリフォルニア州サンノゼ)
17日 国土交通省が2026年公示地価公表
17日 シンガポール2月貿易統計発表
17日 EU一般問題理事会
17日‐3月4日 筑波大生不明事件差し戻し審(仏リヨン)
17日‐3月18日 米国FOMC、経済見通し発表
17日‐3月18日 ブラジル中央銀行、Copom
17日‐3月18日 MIXiii ヘルステックIL(イスラエル・エルサレム)
18日 米FOMC最終日(声明発表とFRB議長会見)(FRB)
18日 アルゼンチン2025年第4四半期世帯アンケート結果(労働力調査)発表
18日 南ア第4四半期GDP発表
18日 ユーロスタット、2月CPI(HICP)発表
18日 香港2025年12月~2026年2月雇用統計発表
18日‐3月19日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(金融政策)
19日 欧州中央銀行(ECB)定例理事会(独フランクフルト)
19日 京都府知事選告示(4月5日投開票)
19日 日米首脳会談(ワシントン)
19日 フィリピン2月BOP統計発表
19日 アルゼンチン2月貿易統計発表
19日 英国労働市場統計(11~1月)発表
19日 コロンビア1月輸入統計発表
19日‐3月20日 EU首脳会議(ブリュッセル)
20日 ロシア中央銀行理事会
20日 香港2月CPI発表
21日 南オーストラリア州議会選挙
21日 日本維新の会党大会(都内)
22日 鳥取市長選告示(29日投開票)
22日 仏地方統一選・決選投票
22日 スロベニア議会選

<3月23日‐3月29日>

23日 シンガポール2月CPI発表
23日 メキシコ1月小売・卸売販売指数発表
23日‐3月27日 UNCITRAL、第4作業部会(電子商取引)、第70回会合(ニューヨーク)
23日‐4月1日 人権理事会、恣意的拘禁に関する作業部会、第105会議(ジュネーブ)
23日‐4月2日 国連海洋法条約に基づく協定の発効及び国家管轄権外区域の海洋生物多様性の持続可能な利用に関する協定の発効並びに同協定締約国会議第1回会合の開催に関する準備委員会、第3回会合(ニューヨーク)
23日‐4月3日 ICAO、理事会フェーズ、第237回会議(モントリオール)
24日 2月の欧州新車販売(欧州自動車工業会=ACEA)
24日 チリ金融政策決定会合
24日 台湾2月小売統計発表
24日‐3月26日 FHV 2026 - フード & ホテル ベトナム(ホーチミン)
24日‐3月27日 ボアオ・アジアフォーラム年次総会(海南省ボアオ)
24日‐4月2日 ICSC、第101回会議(ニューヨーク)
25日 英国2月CPI発表
25日 米国2025年第4四半期および2025年通年の国際収支統計発表
25日 チリ金融政策レポート発表
25日 米国第4四半期および2025年通年対外資産負債残高統計発表
25日 オーストラリア2月CPI発表
25日‐3月26日 欧州議会本会議
26日 ECB一般理事会
26日 EU外相理事会(貿易)
26日 香港2月貿易統計発表
26日 台湾2月雇用統計発表
26日 メキシコ金融政策決定会合
26日 国連人口賞委員会第2回定例会(ニューヨーク)
26日‐3月27日 G7外相会合(パリ近郊)
26日‐3月29日 世界貿易機関(WTO)閣僚会議(カメルーン)
27日 メキシコ2月貿易統計・雇用統計発表
27日 経済社会理事会、租税問題に関する国際協力を検討する理事会特別会合(ニューヨーク)
27日 米国2025年第4四半期GDP(確定値)発表
28日 インド2月IIP発表

<3月30日‐4月5日>

30日‐3月31日 国際安全保障の文脈におけるICT分野の発展とICTの利用における責任ある国家行動の促進に関する世界メカニズム、組織セッション(ニューヨーク)
30日‐4月1日 人権理事会、国家人権機関の世界同盟、第39回会議(ジュネーブ)
30日‐4月2日 障害者権利委員会会期前作業部会第21会議(ジュネーブ)
31日 米国通商代表部(USTR)2026年外国貿易障壁報告書(NTE)提出期限
31日 コロンビア2月雇用統計発表・金融政策決定会合
31日 ドイツ2月労働市場統計発表
31日‐4月2日 トランプ米大統領が訪中
31日 3月の中国PMI(国家統計局)
3月中 OECD世界経済見通し発表

4月

1日 スロベニア議会選挙
1日 インドネシア2月貿易統計発表
1日 インドネシア3月CPI発表
2日 米国2月貿易統計発表
2日 カナダ2月貿易統計発表
2日 オーストラリア2月貿易統計発表
2日 トランプ米政権「相互関税」公表から1年
2日 2月の米貿易収支(商務省)
3日 米国3月雇用統計
3日 3月の米雇用統計(労働省)
5日 コスタリカ大統領選決選投票
6日 3月と第1四半期のベトナム社会・経済統計発表(GDP, CPI)
8日 チリ3月CPI発表
9日 コロンビア3月CPI発表
9日 メキシコ3月自動車生産・販売・輸出統計・CPI発表
10日 カンボジア3月貿易統計発表
10日 米国3月CPI発表
10日 ブラジル3月IPCA発表
12日 ペルー総選挙(大統領、上院・下院議員、アンデス議会議員選挙)
12日 ハンガリー議会選挙
12日 ベナン大統領選挙1回目投票
13日‐4月16日 InnoEX(香港)
13日‐4月18日 IMF・世界銀行春季総会(米国・ワシントン)
14日 アルゼンチン3月CPI発表
15日 ブラジル2月月間小売り調査発表
15日 イスラエル3月CPI発表
15日 米国財務省 半期為替政策報告書提出期限
15日‐4月30日 中国輸出入商品交易会(広州)
16日 米国3月小売統計
16日‐4月18日 Texpo 26(パキスタン)
16日‐4月19日 Beautycare Expo 2026 (ハノイ)
16日‐4月19日 IMF・世界銀行春季総会(ワシントンDC)
16日‐4月23日 モスクワ国際映画祭
17日 CIS外相会議(ロシア・カリーニングラード)
20日‐4月22日 BEAUTY ASIA Singapore 2026(シンガポール)
21日 EU外相理事会(ブリュッセル)
21日‐4月24日 Food &Hospitality  Asia(FHA)2026(シンガポール)
22日 カザフスタン2025年経済活動別GDP発表
23日 カザフスタン2025年所得別GDP発表
23日 シンガポール3月CPI発表
23日 イスラエル3月財貿易統計発表
23日‐4月24日 EU非公式首脳会議(キプロス)
24日 メキシコ3月雇用統計発表
24日 ロシア中央銀行理事会
25日 朝鮮人民革命軍創建記念日
27日 メキシコ3月貿易統計発表
27日‐4月28日 チリ金融政策決定会合
28日‐4月29日 ブラジル中央銀行、Copom
28日‐4月29日 米国FOMC
29日 カナダ中銀政策金利発表・金融政策報告書発表
29日 アルゼンチン第1四半期貿易統計発表
29日 チリ1~3月雇用統計発表
29日 オーストラリア3月CPI発表
29日‐4月30日 Sydney Build Expo(シドニー)
30日 ブラジル3月全国家計サンプル調査発表
30日 コロンビア3月雇用統計発表・金融政策決定会合
30日 米国2026年第1四半期GDP(速報値)発表
4月以降 ミャンマー新政権発足
4月中(予定) カナダ経済声明
4月中 カーボベルデ議会選挙
4月初〜5月 第16期の第1回の国会会議(ベトナム)


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問