外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

  • 当サイト内の署名記事は、執筆者個人の責任で発表するものであり、キヤノングローバル戦略研究所としての見解を示すものではありません。
  • 当サイト内の記事を無断で転載することを禁じます。

2026年2月3日(火)

外交・安保カレンダー (2月2日-8日)

[ 2026年外交・安保カレンダー ]


総選挙投票日は今週末の筈なのに、巷では既に大胆な結果予測が飛び交っている。先週は誰に聞いても「今回ばかりは予測困難」という答えばかりと書いたが、今週は誰に聞いても「●●党圧勝」という予測ばかり。うーん、どれが本当なのかね。こういう時は、選挙について何も書かないのが外交評論家の「定石」かもしれない。

だが、そうは言っても、「何も書かないというのも・・・如何なものか」と思う。さればここでは一言だけ・・・。今回の解散理由には多くの疑問が投げかけられた。首相の支持率が高いうちに圧勝を狙った「大義名分」なき選挙、「政治とカネ」問題の隠蔽、予算早期成立の先送り、などといった批判である。

だが、筆者は今回の選挙が、個々の政策をめぐる論争というよりも、戦後80年を経て、日本という国家の歩むべき方向性を決める、極めて重要な分岐点となる選挙だと思っている。選挙後に日本内政を取り巻く環境がどう変わるかは、ある程度推測可能だ。この点を今週のJapanTimesに書いたので、ご一読願いたい。

・・・・選挙の結末には3つの可能性がある。第一は、保守系諸政党のみによる連立や部分的協力による「新保守連立」政権が成立する可能性、第二は、その逆で、中道リベラル系諸政党を中心とした、非自民の、特に高市首相を排除するための新たな政治勢力による連立政権が成立する可能性、である。

勿論、これ以外にも、自民・維新と中道改革という2つの勢力がいずれも総議席の過半数を占めることができず、新政権の樹立が遅れ、安定した政権基盤を確立できず、日本政治全体が不安定化していく可能性も排除できない・・・・・。

ここでは、JapanTimesで書けなかったことを書こう。近年日本の「有権者の政治的重心」はレフトからセンターライトに移りつつある。されば、最終的には第一のシナリオに収斂していくのだろう。だが、政治は決して甘くない。不測の事態が生ずれば、いずれ第三のシナリオが長期化してしまう可能性も排除できないからだ。

もう一つ、先週に続き、今週も気になったのが中国人民解放軍高官の失脚人事だ。先週は、現時点での筆者の仮説として、次の4点を挙げた。

①    「不正・腐敗」は今回の失脚人事の真の原因ではない。
②    習近平主席の権力は今も絶対に近く、現時点で「揺らいでいる」とは思えない。
③    注目するのは「台湾解放」をめぐる軍内の「世代間緊張」だ。
④    野心ある若手将軍たちと現実派の最上層幹部達との間に確執はないのか。


この続きを今週の産経新聞WorldWatchに書いた。以上の仮説を前提にすれば、「今中国の最高指導部は『解放軍』をどう『強軍化』するか迷っている」としか思えないからだ。いや・・・、「迷う」どころか、「どうして良いか分からない」のではないか、とすら思っている。詳しくは、木曜日の産経新聞をご一読願いたい。
続いては、いつもの通り、欧米から見た今週の世界の動きを見ていこう。ここでは海外の各種ニュースレターが取り上げる外交内政イベントの中から興味深いものを筆者が勝手に選んでご紹介している。欧米の外交専門家たちの今週の関心イベントは次の通りだ。

2月3日 火曜日  コロンビア大統領訪米、ホワイトハウスで首脳会談
2月4日 水曜日  米露ウクライナ高官の三者会合(アラブ首長国連邦、2日間)
2月5日 木曜日  米露「新戦略兵器削減条約(新START)」の失効期限
2月6日 金曜日  冬季オリンピック開幕(イタリア)
2月7日 土曜日  ハイチの「暫定大統領評議会」の権限失効
2月8日 日曜日  タイと日本で総選挙
ポルトガルで大統領選挙決選投票
イスラエル大統領、訪豪(5日間)


最後はガザ・中東情勢だが、今週は先週に続きイラン情勢を取り上げる。米大統領は「ベネズエラと同じように、さらに(イラン周辺に)大規模な軍を派遣しており、まもなく到着する」「実現するかわからないが、交渉による合意を望んでいる。現時点でイランと協議中で、合意できなければ悪いことが起こるだろう」などと述べた。だが、現在も交渉による解決に向けた努力は水面下で続いている。

一部報道によれば、米中東担当特使とイラン外相による協議が6日にイスタンブールで開かれる見通し、だそうだ。トルコ、カタール、エジプトが調整しているらしいが、現時点では未確認という。イラン側は米国に制裁解除を求めるだろうが、米側はイランにウラン濃縮活動の停止や弾道ミサイルの保有数制限などを求めている筈。

当然、イランがこうした米国の要求を受け入れる筈はなく、今は協議開催そのものが不透明なのかもしれない。また、米中東特使はイスラエルを訪問し同国首相ともイラン情勢を協議するそうだ。イスラエルと米国はあの手この手でイランに圧力をかけているが、先週書いた通り、対イラン攻撃は最「悪手」であり、あまりお勧めしない。

結論は簡単。イランが本気で核開発を断念することはない。他方、今イランを攻撃しても、何の政治的成果も得られない、ということだ。こうして、米イラン間の直接戦闘の事例が「過去の実績」として積み上がっていき、誤算による悲劇の可能性は高まるばかり・・。でも、今筆者が最も懸念するのは日本国内の「感度」である。

先週は「トランプが言うことや、トランプ政権による意図的情報リークを、「真に受ける」必要はない」と書いたが、よ~く考えてほしい。万が一、米国が大規模攻撃を行い、イランが本格的な報復攻撃を始めれば、ペルシャ湾内で戦闘が長期化する可能性がある。そうなれば、一瞬にして原油・天然ガスの流れは一時的にせよ止まる恐れが高いのに・・・。

日本はその準備が出来ているのか。総選挙ばかりが大ニュースとは限らない。日本の平和ボケは相変わらずである。今週はこのくらいにしておこう。

2026年重要日程レポート5【2月2日版】

<今週以前から続く会議>

2月

<2月2日‐2月8日>

2月‐3月 ミャンマー国会
2日‐2月6日 UNDP/UNFPA/UNOPS執行委員会、2026年第1回定例会(ニューヨーク)
2日‐2月7日 WHO執行理事会第158回会合(ジュネーブ)
2日‐2月20日 ICAO、航空航法委員会、第231回会議(モントリオール)
3日 ブラジル2025年12月鉱工業生産指数発表
3日 香港2025年12月小売統計発表
3日‐2月4日 IMTM-地中海観光国際展示会(テルアビブ)
4日 タイ2026年1月CPI発表
4日‐2月5日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(金融政策)
4日‐2月6日 インド準備銀行金融政策決定会合
5日 新戦略兵器削減条約(新START)が失効
5日 欧州中央銀行(ECB)定例理事会(金融政策発表と記者会見、独フランクフルト)
5日 台湾2026年1月CPI発表
5日‐2月7日 イタリア博覧会カンボジア2026年(カンボジア)
6日 米国1月雇用統計
6日 2026年1月のベトナム社会・経済統計発表(CPI)
6日‐2月8日 「MyKarachi - Oasis Of Harmony」カラチ国際展(パキスタン)
8日 タイ総選挙
8日 北朝鮮の朝鮮人民軍創建日

<2月9日‐2月15日>

9日 メキシコ1月CPI発表
9日‐2月12日 欧州議会本会議
9日‐2月12日 WHX Dubai(旧アラブヘルス)(ドバイ)
10日 メキシコ1月自動車生産・販売・輸出統計発表
10日‐2月18日 茂木外相、中東・アジア歴訪へ出発
11日 メキシコ2025年12月鉱工業生産指数発表
11日 米国1月CPI発表
11日 EU国防相理事会(ブリュッセル)
12日 イスラエル1月財貿易統計発表
12日 インド2026年1月消費者物価指数発表
12日 バングラデシュ総選挙
12日‐2月18日 小泉進次郎防衛相が米国訪問(ホノルル、ロサンゼルス、ワシントン)
13日 ロシア中央銀行理事会
13日 ブラジル2025年12月月間小売り指数発表
13日 参院議院運営委員会理事会
13日 衆院議院運営委員会理事会
13日 改正総合法律支援法施行
13日 日韓首脳会談(奈良市)
13日‐2月15日 ミュンヘン安全保障会議(独ミュンヘン)
14日 日韓首脳が法隆寺視察(午前)
14日‐2月17日 リードギフトショー(オーストラリア)
15日 イスラエル1月CPI発表
15日‐2月16日 アフリカ連合(AU)サミット(エチオピア・アディスアベバ)

<2月16日‐2月22日>

16日 フィリピン2025年12月OFW送金額発表
16日 日伊首脳会談(都内)
17日‐2月18日 エヴォーク・アグ「Evoke Ag」(オーストラリア)
18日 フランス1月CPI発表
18日 南ア1月CPI発表
18日‐2月19日 国際エネルギー機関(IEA)閣僚理事会(パリ)
19日 イスラエル1月財貿易統計発表
20日 メキシコ2025年12月小売・卸売販売指数発表
22日 香港2025年12月CPI発表

<2月23日‐3月1日>

23日 EU外相理事会(ブリュッセル)
23日 メキシコ2025年第4四半期GDP発表
23日 OECD2025年第4四半期G20貿易統計発表
25日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(非金融政策)
25日 タイ金融政策委員会1回目
25日 オーストラリア2026年1月CPI発表
25日 ユーロスタット、1月CPI(HICP)発表
25日 香港2026年1月CPI発表
26日 メキシコ1月雇用統計発表
26日 米国2025年第4四半期(改定値)および2025年通年GDP発表
27日 メキシコ1月貿易統計発表
27日 インドGDP2025年度第3四半期統計発表
28日 インド2026年1月消費者物価指数発表

2月上旬 ブラジル1月IPCA発表
2月中 IMFチームの予算措置に関する訪問(パキスタン)
2026年前半 ロシア・アラブ首脳会議(場所未定)
2026年内 ロシア大統領がカザフスタン訪問を予定

3月

2日 インドネシア2月CPI発表
2日 カザフスタン2月CPI発表
3日 ブラジル2025年第4四半期GDP発表
3日 コロンビア1月輸出統計発表
4日 ユーロスタット、1月失業率発表
4日 香港1月小売統計発表
5日 台湾1月小売統計発表
5日 オーストラリア1月貿易統計発表
5日 米国2026年1月貿易統計発表
6日 ユーロスタット、第4四半期実質GDP成長率発表
6日 コロンビア2月CPI発表
6日 米国2月雇用統計
6日 台湾2月CPI発表
6日 2月のベトナム社会・経済統計発表(CPI)
7日‐3月8日 キッズ&ファミリーフェア2026年(カンボジア)
8日‐3月11日 「VIFA EXPO 2026」ベトナム国際家具・ホームアクセサリーフェア(ホーチミン)
9日 メキシコ2月CPI・自動車生産・販売・輸出統計発表
9日 台湾2月貿易統計発表
9日 ユーロ・グループ(非公式ユーロ圏財務相会合)
9日‐3月12日 欧州議会本会議
10日 フィリピン12月直接投資発表
10日 カンボジア2月貿易統計発表
10日 南ア第4四半期GDP発表
10日 EU経済・財務相(ECOFIN)理事会
11日 ドイツ2月CPI発表
11日 米国2月CPI発表
11日 チリ大統領就任式
12日 インド2月CPI発表
12日 アルゼンチン2月CPI発表
12日 ペルー金融政策決定会合
12日 トルコ中銀金融政策会議(トルコ・イスタンブール)
13日 メキシコ1月鉱工業生産指数発表
13日 フランス2月CPI発表
15日 イスラエル2月CPI発表
16日 米国2月小売統計
16日 カザフスタン1月貿易統計発表
16日 カザフスタン1~2月鉱工業生産指数発表
16日 台湾2月投資統計発表
16日 フィリピン1月OFW送金額発表
16日 EU外相理事会
16日‐3月17日 サムソン国際スマートモビリティ・サミット2026年(テルアビブ)
17日 シンガポール2月貿易統計発表
17日 EU一般問題理事会
17日‐3月18日 米国FOMC、経済見通し発表
17日‐3月18日 ブラジル中央銀行、Copom
17日‐3月18日 MIXiii ヘルステックIL(イスラエル・エルサレム)
18日 アルゼンチン2025年第4四半期世帯アンケート結果(労働力調査)発表
18日 南ア第4四半期GDP発表
18日 ユーロスタット、2月CPI(HICP)発表
18日 香港2025年12月~2026年2月雇用統計発表
18日‐3月19日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(金融政策)
19日 フィリピン2月BOP統計発表
19日 アルゼンチン2月貿易統計発表
19日 英国労働市場統計(11~1月)発表
19日 コロンビア1月輸入統計発表
20日 ロシア中央銀行理事会
20日 香港2月CPI発表
21日 南オーストラリア州議会選挙
23日 シンガポール2月CPI発表
23日 メキシコ1月小売・卸売販売指数発表
24日 チリ金融政策決定会合
24日 台湾2月小売統計発表
24日‐3月26日 FHV 2026 - フード & ホテル ベトナム(ホーチミン)
25日 英国2月CPI発表
25日 米国2025年第4四半期および2025年通年の国際収支統計発表
25日 チリ金融政策レポート発表
25日 米国第4四半期および2025年通年対外資産負債残高統計発表
25日 オーストラリア2月CPI発表
25日‐3月26日 欧州議会本会議
26日 ECB一般理事会
26日 EU外相理事会(貿易)
26日 香港2月貿易統計発表
26日 台湾2月雇用統計発表
26日 メキシコ金融政策決定会合
27日 メキシコ2月貿易統計・雇用統計発表
27日 米国2025年第4四半期GDP(確定値)発表
28日 インド2月IIP発表
31日 米国通商代表部(USTR)2026年外国貿易障壁報告書(NTE)提出期限
31日 コロンビア2月雇用統計発表・金融政策決定会合
31日 ドイツ2月労働市場統計発表
3月中 OECD世界経済見通し発表


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問