外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2020年11月17日(火)

外交・安保カレンダー(11月16-22日)

[ 2020年外交・安保カレンダー ]


米国内政が、予想通り、大混乱となっている。各報道機関はバイデン当確を報じたが、次期政権への移行プロセスは殆ど進んでいない。トランプ氏が政治任用したGSA長官がバイデン氏勝利を未だ認めていないからだ。安全保障の専門家は、政権移行の遅れが国家安全保障上の脅威をもたらす可能性すらあると懸念する。

GSAとはGeneral Services Administration一般調達局のこと、米連邦政府の施設管理や調達を担当する職員約1万人の地味な官庁だ。米法令上は、同局のトップが次期大統領の勝利を認定し、政権移行に必要なスペースや資金を提供するのだが・・・。でも、こうした混乱はトランプ氏の事前の思惑通り、恐らく彼は本気なのだろう。

先週テレビで「なぜトランプは敗北を認めないのか」と聞かれて往生した。理由なんて、恐らくないからだ。4年後の大統領選再出馬説、新保守系メディア立ち上げ説など識者は様々なことを言うが、筆者の答えは簡単、姪のメアリー・トランプの言う通り、「彼は自己愛性●●障害」なのだ。それって病気なのかと聞かれ、「いえいえ、あれは彼の性格です」と答えておいた。性格なのだから、仕方ないではないか。

それはともかく、米国では4年毎の大統領選挙後に最大で4000人の連邦公務員が交代する。局長級以上の高官には議会の承認が必要だし、外交や国防の関係者であれば、機密情報へのアクセスも不可欠となる。次期政権関係者はこれら全ての手続きを11月第二週から翌年の1月20日までに済ませる必要があるのだ。この点については今週の日経ビジネスオンラインに詳しく書いたので、ご一読願いたい。

もう一点気になるのが日韓関係だ。先週は国家情報院長や韓日議員連盟所属議員が菅義偉首相と面談するなど、韓国からの「外交攻勢」が目立った。努力は分かるのだが、どうも、違うんだよなぁ。首脳会談が先か、大筋合意が先かという「鶏と卵」論争を繰り返しても、日韓関係は先に進まない。詳しくは今週のJapanTimesのコラムをご一読願いたい。

〇アジア

25日ぶりで金正恩委員長の動静が報じられた。15日に党政治局拡大会議を主宰したそうだ。「バイデン当選確実で米朝対話路線の見直しは不可避、経済難の長期化も予想される中、体制の引き締めを図る狙い」だそうだ。「25日間の空白は今年最長、米大統領選を受け外交戦略を練り直した可能性がある」とも報じられたが、本当かね。

〇欧州・ロシア

欧州でコロナウイルスが再拡大している。各地でロックダウンまたはそれに近い状態が始まりつつあるが、どうやら夏のバカンスが一因らしい。スペインで発見されたウイルスの変異型が英仏など他国でも見つかったそうだが、欧州内であれだけ移動すれば、変異しようが、しまいが、感染拡大は当然。来年も欧州には行けそうもない。

〇中東

アルカイダNo. 2のエジプト人幹部が8月にイランで米国の要請を受けたイスラエルの工作員に殺害されていたと報じられた。でも、よく考えてみれば、凄い話だ。イランに保護されていたアルカイダがイラン国内でイスラエル工作員に殺されたのだから。このミスマッチは凄い。事実であっても、イランはこの報道を否定するしかないだろう。

〇南北アメリカ

トランプ家内部が「敗北を認めるか、否か」で割れているらしい。報道が事実なら実の息子たちの方がイヴァンカ夫妻より強硬らしいが、今後NYで一体誰が彼らを相手にするだろうかと思うと、この一風変わった家族の将来が何となく気になる。だが、それ以上に気になるのが共和党の現指導部だ。誰かトランプに鈴を付ける勇気のある政治家はいないのか。そろそろGOP(Grand Old Party)の名は返上した方が良い。

〇インド

先日RCEPがインド抜きで漸く立ち上がった。インドにとっては、RCEPに残るのも地獄、去るのも地獄ではないのか。今週はこのくらいにしておこう。

10月5-11月20日 国連総会 第三委員会 第75回会合(ニューヨーク)
10月5-11月25日国連総会 第二委員会 第75回会合(ニューヨーク)
10月5-12月14日 国連総会 第五委員会 第75回会合(ニューヨーク)
10月6-11月20日 国連総会 第六委員会 第75回会合(ニューヨーク)
10月8-11月10日 国連総会 第四委員会 第75回会合(ニューヨーク)
10月27-11月17日 第VIII期第10回ラオス国民議会(ビエンチャン)
11月4-20日 2020年度IAEAによる福島の海洋モニタリング・プロジェクトの実施
14-21日 インド第40回インド国際貿易フェア(ニューデリー)
16日 APEC閣僚会合(バーチャル形式)
16日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
16日 中国10月固定資産投資、社会消費品小売総額発表
16日 エレクトロン16号機(Alchemy, Augury, BRO-2,3, APSS-1, 24機のSpaceBEE, Gnome Chompski)打ち上げ(ニュージーランド・マヒア半島)
16-17日 EU農水相理事会(ブリュッセル)
16-18日 IAEA理事会 技術協力委員会(ウィーン)
16-20日 WFP執行理事会 Second regular session(ローマ)
16-12月18日 フィリピン・第18期国会第2常会第2部
17日 米国10月小売売上高統計発表
17日 ロシア1-10月鉱工業生産指数発表
17-18日 豪・モリソン首相来日、日豪首脳会談
17日 ヴェガ(SEOSat-Ingenio, TARANIS)打ち上げ(仏領ギアナ基地)
17-18日 アジア物流・海運会議(香港)
18日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(非金融政策)(フランクフルト)
18日 ユーロスタット、10月CPI発表
18日 南ア政府主催投資会議(オンライン)
19日 EU競争力担当相理事会(域内市場・産業)〔ブリュッセル
19日 EU外相理事会(ブリュッセル)
19日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
19-20日 IAEA理事会(ウィーン)
19-20日APEC最高責任者対話(バーチャル形式)
20日 G20財務相会合(バーチャル形式)
20日 G20外務相会合(バーチャル形式)
20日 APEC首脳会合(バーチャル形式)
20日 EU外相理事会(防衛)(ブリュッセル)
20日 EU競争力担当相理事会(宇宙)(ブリュッセル)
21 日 プロ野球・日本シリーズ第1戦(京セラドーム大阪)
21-22日 インドのナレンドラ・モディ首相訪沙・G20サミット(リヤド)
21-22日 G20首脳会合(バーチャル形式)
22日 ブルキナファソ大統領・国民議会議員選挙
22日 ファルコン9(Sentinel-6/ Jason-CS)打ち上げ(ヴァンデンバーグ空軍基地)

<23-29日>
23日 EU外相理事会(開発)
23-25日 UNIDO(国連工業開発機関)工業開発理事会 第48回会合(ウィーン)
23-26日 欧州議会本会議(ストラスブール)
24日 メキシコ10月雇用統計発表
24日 ロシア1-9月貿易統計発表
24日 ソユーズ2.1b(Gonets-M 20-22)打ち上げ(プレセツク宇宙基地)
25日 メキシコ9月小売・卸売販売指数発表
25日 米国第3四半期GDP発表(改定値)
25日 米国10月個人消費支出(PCE)
25-26日 WTO物品貿易理事会
25-27日 CTBTO 準備委員会 第55回会合(ウィーン)
26日 メキシコ第3四半期GDP発表
26日 ロシア10月雇用統計発表
26日 米・感謝祭(NY市場は全て休場)
26日 FOMC議事要旨(11月4・5日分)(FRB)
27日 EU競争力担当相理事会(研究・イノベーション)〔ブリュッセル
27日 メキシコ10月貿易統計発表
27日 ブラジル9月全国家計サンプル調査発表
28日 アンガラA5(IPM2)打ち上げ(プレセツク宇宙基地)
29日 チリ地方予備選挙(知事・市長)
29日 H-IIAロケット43号機(JDRS)打ち上げ(種子島宇宙センター)


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所研究主幹