外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2020年10月15日(木)

外交・安保カレンダー(10月12-18日)

[ 2020年外交・安保カレンダー ]


今週は掲載が通常より2日ほど遅れてしまった。文字通り「青天の霹靂」人事で、正直本人が一番びっくりした。そもそも、この連載を続けるべきか、内容を変更すべきか、実は色々考えた。しかし、そうはいっても非常勤、「今まで通りやっても良い」らしい。という訳で、本コラムも基本的には従来通り、淡々と続けたい。

過去二日間、多くの知人友人から温かい言葉を賜ったことに対し、改めて心から御礼申し上げる。しかし、天邪鬼の筆者はこれまで常に思ったことをそのまま書いてきた。英語ではcontrarianとでも言うのだろうか。こうしたスタイルを今後変えるつもりは一切ない。引き続きお付き合いを宜しくお願い申し上げる。

その菅政権だが、来週早速ベトナムとインドネシアを訪問するらしい。数少ないが最善の選択だろう。今は大統領選とコロナで揺れる米国に行く時ではないし、中国韓国は難しいだろうから、ASEANの中でも特に重要な二か国となったのだろう。この点についてはJapanTimesに別の見方を書かせてもらった。お時間があればどうぞ。

さて、これ以外では先週も米大統領選、というかトランプ候補に振り回された。今月初頭、新型コロナウイルス感染を発表し、一時は軍の病院に入院したトランプ氏が、わずか3日後には「退院」し、これから大統領選遊説を再開するという。勿論、文字通り一日も早く「回復」したことは喜ばしい限りだが、腑に落ちない人々も多いだろう。

15日の第二回テレビ討論会はバーチャルと決まり、トランプ候補が参加を拒否したので中止となった、はずなのだが・・・。22日には第三回目の討論会が予定されているが、これまた、どうするのか?如何なる形式でやるのか、対面であればバイデン候補は受けるのか。もう疲れるから、この話はやめにしよう。

今週筆者が気になったのは、北朝鮮で行われた未明の軍事パレードだ。報道によれば、金正恩氏は演説で、「戦争抑止力を引き続き強化していく」とする一方、「誰に向けられたものでもない」とも強調。また、演説中に国民や人民軍へ「ありがとう」「感謝する」と計12回も発言したそうだが、どう解釈すべきかについては意見が分かれる。

北朝鮮の国民が経済制裁と新型コロナ、台風と水害による様々な困難を経験していることに対し「面目ない」と涙ながらに話すなど低姿勢を見せたというが、英語にはcrocodile tearsという言葉がある。ワニは獲物を食べながら涙を流すという伝説が元ネタらしいが、いずれにせよ、今金正恩が追い詰められていることは間違いない。

パレードでもう一つ気になるのは新兵器だが、詳細は専門家に譲り、ここでは大きな流れのみ述べたい。要するに、圧力で脅しても、対話で賺しても、北朝鮮は新型兵器、特に核兵器の開発を止めることはない、ということだ。その意味で、金正恩は大根だが、実に立派な「役者」である。

更に気になるのがナゴルノカラバフ情勢だ。先々週にアゼルバイジャンとアルメニア系勢力との間で交戦が再発し、先週にはロシアの「仲介」で停戦が成立した、ことになっている。しかし、この種の停戦が約束通り守られた例は、この地域の歴史に限っても、ほとんどない。領土問題の「棚上げ」は言うは易し、行うは難し、である。

今週の産経新聞のコラムは「緩衝地帯」や領土問題「棚上げ論」につき書いた。詳細は本文をお読みいただきたいが、要するに大陸の陸続きの国境しかない地域での領土をめぐる国際政治は基本的に、「緩衝地帯」で直接対決を避けるか、「棚上げ論」で塩漬けにするかしか出口はないということ。海の国境しかない日本とは大違いだ。

〇アジア

インドネシアは、長年米国がビザ発給を拒否してきたプラボウォ・スビアント国防相が10月15日から訪米する公式日程を明らかにしたそうだが、その意味が気になる。米国は本気でASEAN諸国との軍事協力を強化しようとしているのだろう。これに対し、次は中国側が如何に巻き返すかに注目だ。

〇欧州・ロシア

米国ピューの各国調査で、中国に好意を持たない声が70%を超え、英、独、蘭、瑞、西など欧州諸国で否定的回答がこれまでで最も多かったという。潮の目が変わったのか。中国国内のいわゆる「国際派」の声が聞こえなくなって久しいが、彼らの勇気ある発言に今後とも注目したい。

〇中東

中国の外交部長が訪中したイラン外相と会談、「中東の緊張を緩和するための新たな協議の枠組みをつくる」よう呼び掛けたそうだ。これは中国の新たな中東政策の始まりなのか、それとも単なる弱者同盟で、苦し紛れの外交努力なのか?中東屋の端くれである筆者にとって個人的にはとても興味がある。

〇南北アメリカ

トランプ氏が「全快」をアピールして、連日激戦州で演説会を繰り返している。そのエネルギーたるや、脱帽するしかないが、激戦州の世論調査の数字はあまり改善していない。新規の支持者が増えていないようだ。マーケットはバイデンと民主党上院の勝利を織り込んでいるというのに。サプライズがないのがサプライズなのだろうか?

〇インド

インドのコロナ感染者が遂に700万人を突破したそうだ。流石は人口大国だが、同じ巨大な人口を抱える中国がゼロに近いなんて信じられない。中印のどちらか、もしくは両方に重大な問題があるようだ。今週はこのくらいにしておこう。

7月27-10月16日 フィリピン第18期国会第2常会第1部
9月28日-10月16日 国連経済的、社会的、文化的権利委員会 第68回会合(ジュネーブ)
5-11月20日 国連総会 第三委員会 第75回会合(ニューヨーク)
5-11月25日国連総会 第二委員会 第75回会合(ニューヨーク)
5-12月14日 国連総会 第五委員会 第75回会合(ニューヨーク)
6-11月4日 国連総会 第一委員会 第75回会合(ニューヨーク)
6-11月20日 国連総会 第六委員会 第75回会合(ニューヨーク)
7-16日 国際海底機構 第26回会合 partⅡ
8-11月10日 国連総会 第四委員会 第75回会合(ニューヨーク)
12日 コロンブスデー(為替、債権市場が休場)
12日 メキシコ8月鉱工業生産指数発表
12日 EU外相理事会(ルクセンブルク)
12日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
12日 インド8月鉱工業生産指数発表
12日 米・トランプ大統領の選挙集会(フロリダ州サンフォード)
12日- 日・トルコ社会保障協定 第6回政府間交渉の開催(オンライン)
12-14日 欧州地域委員会 第140回 本会議 (ブリュッセル)
12-16日 ベラルーシでロシアなど6カ国合同軍事演習
12-18日 IMF・世界銀行 年次総会(バーチャル形式)
12-11月6日 国連自由権規約 人権委員会 第130回会合(ジュネーブ)
13日 EU一般問題理事会(ルクセンブルク)
13日 EU雇用・社会政策・健康・消費者問題担当相理事会(テレビ会議)
13日 中国9月貿易統計発表
13日 米国9月消費者物価指数(CPI)発表
13-14日 WTO一般理事会
13-16日 香港エレクトロニック・アジア
14日 第4回G20財務相・中央銀行総裁会合(バーチャル形式)
14日 ソユーズ2.1a (国際宇宙ステーション第63次及び64次長期滞在ミッション用ソユーズMS-17)打ち上げ(バイコヌール宇宙基地)
14-15日 EU運輸・通信・エネルギー担当相理事会 非公式会合(通信/デジタル問題)(バーデン=バーデン)
15日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
15日 中国9月CPI発表
15日 ロシア1-9月鉱工業生産指数発表
15日 米・第2回大統領候補討論会(フロリダ州マイアミ)
15日 英・EU自由貿易協定(FTA)交渉合意期限(英国が設定)
15日 CIS外相会議(ウズベキスタン・タシケント)(オンライン形式)
15-16日 欧州理事会(ブリュッセル)
15-16日 WTO知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)理事会
15-25日 ロシア軍とベラルーシ軍の合同演習(ベラルーシ西部ブレスト近郊)
16日 CIS首脳会議(ウズベキスタン・タシケント)(オンライン形式)
16日 EU9月CPI発表
16日 米国9月小売売上高統計発表
16-18日 IMF・世界銀行年次総会(ワシントンDC、バーチャル形式)
17日 ニュージーランド総選挙(オークランド)
17日 ニュージーランドで安楽死と大麻の合法化をめぐって国民投票
17日 ソユーズ2.1b(ロシア航法測位衛星GLONASS-K 15)打ち上げ(プレセツク宇宙基地)
18日 ギニア大統領選挙
18日 メキシコ(コアウィラ州、イダルゴ州議会)選挙


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所研究主幹