キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。
2014年12月2日(火)
[ 2014年外交・安保カレンダー ]
12月に入り、欧州ではEU関係の会合が目白押しだ。今月後半はクリスマス休暇で忙しいからだろうか。実に判り易い人々だとつくづく思う。EUだけではない。労働組合だってEU官僚と同様である。12月3日にはドイツの鉄道労働者が、5日にはイタリアの労組がそれぞれストライキを決行する。毎度のことだが、西欧は労働者の天国だ。
その点、ロシアはしっかり働いている。1日にはプーチン大統領がトルコを訪問する。2010年に設置された「露土ハイレベル協力委員会」の第五回会合がアンカラで開かれ、2020年までに両国間貿易量を1000億ドルに拡大する案が議論されるという。しかし、貿易量よりも気になるのが、中東情勢とロシアの関係だ。
トルコも大したものだ。ウクライナ問題でロシアがあれだけ孤立する中、アンカラはプーチンを堂々と歓迎する。これも広い意味でのトルコの独自外交の一環なのだろう。ちょうどその頃、ベルギー、スイス、英国を訪問する米国の国務長官など眼中にないということなのか。極めて興味深いタイミングではある。
1日に中国の国家統計局が発表した11月の製造業PMIは50.3となり、10月の50.8から更に低下したらしい。市場の予想は50.6だったというから、それをも下回ったことになり、結果的には8カ月ぶりの低水準だそうだ。新規輸出受注も50を下回り、外需は伸びていない。中国経済の先行きに関する懸念は深まっているようにも見える。
他方、キヤノングローバル戦略研究所の同僚によれば、中国経済の現状は、不動産投資の伸び鈍化を中心に景気下押し圧力が存在しているものの、物価が安定しているほか、財政・金融政策両面において景気刺激策発動余地が大きいことから、「コントロール可能な範囲内」にある、のだという。一体どちらが正しいのだろうか。
日本では2日に衆議院選挙が公示されるが、一部議員については直前まで出馬する選挙区などの詳細について調整が続いた。住み慣れた地方選挙区から突然比例区に回ることになった議員はさぞ大変だろう。他人事ながら、同情を禁じ得ない。今週はこのくらいにしておこう。
12月1日 EU雇用・社会政策・健康・消費者問題担当相理事会(ブリュッセル)
1日 敬宮愛子さま誕生日(13歳)
1日 国際羊毛機構(IWTO)ステークホルダー会議(ブリュッセル)
1日 世界エイズデー
1日 ロシア大統領、トルコ訪問
1日 日本記者クラブで各党党首討論会(日本プレスセンタービル)
1-2日 日・トルコ経済連携協定(EPA)交渉第1回会合(東京)
1-3日 6カ国協議の韓国首席代表がロシア訪問
1-4日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
1-5日 米国務長官がベルギー、スイス、英国訪問
1-5日 第6回東アジア地域包括的経済連携(RCEP)会議(デリー)
1-5日 中西部太平洋まぐろ類委(WCPFC)年次会合(サモア)
1-5日 化学兵器禁止条約締約国会議第19回会期(ジュネーヴ)
1-5日 国際海事機関(IMO)理事会第113回会期(ロンドン)
1-5日 国連農業食料機関理事会第150回会期(ローマ)
1-5日 生物兵器禁止条約締約国会議(ジュネーヴ)
1-9日 日ソ地先沖合漁業協定に基づく日ロ漁業委員会第31回会議(東京)
1-12日 国連気候変動枠組み条約第20回締約国会議(COP20)(リマ)
2日 三笠宮さま誕生日(99歳)
2日 ブラジル10月鉱工業生産指数発表
2日 欧州連合理事会常駐副代表委員会(Coreper I)(ブリュッセル)
2-3日 ブラジル中銀、金融政策審議会(Copom)
2-3日 北大西洋条約機構(NATO)閣僚会合(ブリュッセル)
3日 イスラム国打倒を目指す有志連合の閣僚会合(ブリュッセル)
3日 EU統計局(ユーロスタット)、第3四半期実質GDP成長率発表
3日 EU運輸・通信・エネルギー担当相理事会(ブリュッセル)
3日 欧州連合理事会常駐代表委員会(Coreper II)(ブリュッセル)
3日 EU行政担当相会合(ローマ)
4日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(フランクフルト)
4日 国家安全保障会議(日本版NSC)発足から1年
4日 アフガニスタンに関する会合(ロンドン)
4日 ロシア大統領が教書演説(モスクワ)
4日か5日 ロシア11月CPI発表
4-5日 南アフリカ大統領、中国訪問
4-5日 欧州安保協力機構(OSCE)閣僚会合(スイス・バーゼル)
4-5日 アジア知的財産ビジネスフォーラム(香港)
4-5日 EU司法・内務相理事会(ブリュッセル)
4-5日 EU競争担当相理事会(ブリュッセル)
4-6日 インノ・デザイン・テックエキスポ(香港)
4-6日 国際中小企業エキスポ(World SME Expo)(香港)
5日 米国11月雇用統計、10月貿易統計発表
5日 ブラジル11月IPCA発表
5日 ユーロスタット、第3四半期実質GDP成長率発表
5日 マンデラ元南ア大統領死去から1年
6-14日 ヤウンデ国際企業・中小企業パートナー・サロン(カメルーン)
【来週の予定】
8日 中国11月貿易統計発表
8日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
8日 ユーログループ(ブリュッセル)
8-9日 第3回核兵器の人道的影響に関する会議(ウィーン)
8-17日 国際刑事裁判所に関するローマ規程締約国会議(ニューヨーク)
9日 皇太子妃雅子さま誕生日(51歳)
9日 EU経済・財務相理事会(ブリュッセル)
9日 EU運輸・通信・エネルギー担当相理事会(ブリュッセル)
10日 モーリシャス議会選
10日 中国11月CPI発表
10日 欧州連合理事会常駐副代表委員会(Coreper I)、常駐代表委員会(Coreper II)(ブリュッセル)
10-11日 WTO一般理事会(ジュネーブ)
11日 米国11月小売売上高統計発表
11日 米連邦予算の継続決議案の期限
11日 EU雇用・社会政策・健康・消費者問題担当相理事会(ブリュッセル)
11日 ロシア中央銀行理事会
11日か12日 ロシア第3四半期経済活動別GDP統計発表
11-12日 韓国ASEAN特別首脳会議(韓国・釜山)
12日 中国11月固定資産投資、社会消費品小売総額発表
12日 ブラジル10月月間小売り調査発表
12日 EU教育・若年・文化・スポーツ担当相理事会(ブリュッセル)
12-15日 EU外相理事会(ブリュッセル)
13日 食品ラベルに関する新規則「消費者に対する食品情報の提供に関する規則」の一部規定を除く適用猶予期間が終了
14日 衆院選
宮家 邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問