キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。
2014年9月22日(月)
[ 2014年外交・安保カレンダー ]
今週の原稿はワイキキのホテルで書いている。昨日、一昨日に日本の「嵐」がハワイでコンサートを開いたらしく、ホノルルのホテルは日本人、特に若い女性でごった返していた。空港の入国管理官にすら、「おまえもアラシのコンサートを見に来たのか」と聞かれ閉口したが、それにしても大した動員力だと感心する。
今週はNYで国連総会が始まる。ウクライナから、ISIS、イランまで、このコラムでいつも取り上げる常連アイテムが勢揃いする。但し、重要な事項が国連の場で決まらなくなって久しいことも事実だ。NYの国連総会は年に一度のお祭り以上でも、以下でもない、ということなのだろうか。
個人的に最も関心があるのはエジプト大統領の訪米だ。2012年以降のエジプトの騒ぎは一体何だったのか、今回の首脳会議で分かるかもしれない。米国が何事もなかったかのようにエジプトを支援していくようなら、ISIS登場後、米国が中東で出来ることに限界があることを暗示するのだと思う。
最近は中国が不気味なほど静かだ。こういう時に何かが動いているというのが筆者の直感だが、直感だけでは、何が動いているか判らない。困ったものだ。日中関係についていえば、巷では11月の北京APEC首脳会議での日中二国間首脳会議の有無が注目されているが、この話はあまり騒がない方が良いと思う。
この数週間、中国側が対日譲歩を匂わせたことはない。日本側も対中譲歩する理由はないだろう。されば、11月に首脳会談があっても、なくても、サブスタンスの面で日中間に進展は期待できない。だとすれば、首脳会談など、あっても、なくても、大勢に影響はないかもしれない。
APEC首脳会議のホスト国首脳が客人の面子を潰すなら、それはもう尊敬すべき主人ではないだろう。逆に、仮に、客人の面子が潰れない程度の「会談」があったとしても、それ以上でも、以下でもない可能性が高いならば、首脳会談の意義は象徴的なものに止まる。それでも、日中経済関係にプラスになるなら会ったほうが良い、という程度の話だ。いずれにせよ、過剰に注目するのは止めた方がよい。今週はこのくらいにしておこう。
9月22日 安倍首相、訪米
22日 日中経済協会代表団、北京訪問
22-25日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
22-26日 IAEA総会第58回会期(ウィーン)
22-26日 子供の権利委員会第69回会期、会期前作業部会(ジュネーヴ)
22-30日 世界知的所有権機関(WIPO)加盟国総会(ジュネーヴ)
23日 国連気候変動サミット(ニューヨーク)
23日 北朝鮮人権問題ハイレベル会合(ニューヨーク)
23-24日 職業訓練に関するヨーロッパビジネスフォーラム(ブリュッセル)
23-24日 ブルガリア大統領、アゼルバイジャン訪問
24日 国連安保理首脳級会合(ニューヨーク)
25日 エジプト大統領、訪米
25日 第2回EU・ノルウェーエネルギー会議(ブリュッセル)
25日 G7外相会談(ニューヨーク)
25日 安倍首相が国連総会で一般討論演説(ニューヨーク)
25-26日 欧州連合競争理事会(ブリュッセル)
26日 米国第2四半期GDP発表(確定値)
26日 欧州理事会議長、欧州委員長、カナダ訪問
26-29日 ソチ国際投資フォーラム
26-30日 台北国際プラスチック・ゴム工業見本市
28日 スイス国民投票
【来週の予定】
29日 欧州連合一般問題理事会(ブリュッセル)
29-30日 インド首相、訪米
29日-10月1日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
29日-10月3日 国連人権委員会、第112回会期、通報に関する会期前作業部会(ジュネーヴ)
29日-10月3日 国連人権理事会第21回年次会合、特別報告者、特別代表、独立専門家及び作業部会長会議(ジュネーヴ)
29日-10月3日 国連環境会議(UNEP)常任代表委員会(ナイロビ)
29日-10月3日 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)執行委員会第65回会期(ジュネーヴ)
29日-10月9日 大学入試センター試験出願受け付け
30日 EU統計局(ユーロスタット)、8月失業率発表
月内 モルドバ、グルジアがEUとの連合協定に正式調印予定
月内 第10回中国北東アジア博覧会(吉林省長春市)
月内 インド・ハリヤナ州議会選挙
10月1日 CIS首脳会合(キエフ)
1日 カザフスタン上院選
1-7日 中国国慶節(建国記念日)休暇
2日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(ローマ)
3日 米国9月雇用統計、8月貿易統計発表
4日 ラトビア議会選
4-5日 グローバルフェスタJAPAN2014(東京)
5日 ブラジル大統領選、州知事・国会議員(上下院)・州議会議員選挙第1回投票
5日 ボスニア・ヘルツェゴビナ上下院議会選、大統領評議会議長選
5日 ボリビア大統領選、議会選
5日 ブルガリア議会選
宮家 邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問