キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。
2014年8月19日(火)
[ 2014年外交・安保カレンダー ]
相変わらず欧州は開店休業状態だ。夏休みも結構だが、彼らは本当に休んでしまうので恐ろしい。それにしても、羨ましい限りではないか。という訳で、今週もアジアと中東を中心に興味深いポイントをご紹介する。
17日からワーク米国防副長官がアジア・太平洋を歴訪している。今回は日本、韓国、グアム、ハワイを訪問し、日本に来るのは22日前後だという。副長官レベルの来日、しかもハワイ、グアム以外は日韓のみの訪問だから、内容は実務的なものだろう。
普天間問題、海兵隊のグアム移転から、年末の日米防衛ガイドラインの具体的内容まで、話すことは沢山ある。あまり目立たないが、内容的には極めて重要だ。幸い安保防衛関係では日米にあまり問題はないから、良い議論が期待できるだろう。
18日以降、タイでは暫定議会が暫定首相を任命する。7月下旬に発効した暫定憲法は軍政権選出の暫定議会が暫定首相を決めると規定するが、200人の議員の大半は軍人と警察官だという。何から何まで暫定だが、暫定軍政は恒久化するのか。
19日から韓国と北朝鮮の第二回南北高級協議がある。最近の北朝鮮の動きはアメーバの繊毛運動の如く小刻みで捉え所がない。相手を翻弄すれば活路が見出せるとでも思っているのだろうか。そうであれば父親の時代と変わらないということか。
習近平総書記が21日からモンゴルに行く。確か16日ごろに南京でユニバーシアード大会の開幕式があるはずだから、習総書記が参加する北戴河での共産党幹部による意見交換はもう終わっているということだ。対日姿勢に変化が出るとすれば、そろそろ兆候が見えてきても良さそうなものだが・・・。
最後に、24日から6日間の予定で中国、ロシア、カザフ、キルギス、タジク各国が新疆ウイグル自治区で対テロ合同演習を行う。絶妙のタイミングで行われるこの合同対テロ演習、「ウイグル分離主義者」に対して威嚇効果を期待したのだろうか。
だが、こんな時期に合同で演習をやれば、むしろ逆効果ではないのか。漢族中国人はなぜこんなことが判らないのだろう。ウイグル族対策なら、他にもやることが沢山あるだろうに・・・。今週はこのくらいにしておこう。
8月18-29日 包括的核実験禁止条約機関準備委員会作業部会B、第43回会期(ウィーン)
19日 米国7月消費者物価指数(CPI)発表
20日か21日 ロシア上半期貿易統計、7月雇用統計発表
20日 米連邦公開市場委(FOMC)議事要旨(FRB)
20日 日本7月貿易収支
20日 第5回日・ベトナム領事当局間協議(ハノイ)
21-22日 中国主席、モンゴル訪問
21-23日 カンザスシティー連銀主催金融・経済シンポジウム(ワイオミング州ジャクソンホール)
23-28日 東南アジア諸国連合(ASEAN)経済相関連会合(ネピドー)
24-27日 英副首相インド訪問
【来週の予定】
25日 社会 全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果公表(文部科学省)
27-28日 第39回中東協力現地会議(イスタンブール)
27-29日 ペルー第5回食品展示会「Expo Alimentaria 2014」(リマ)
27日-9月6日 ベネチア国際映画祭(イタリア)
28日 米国第2四半期GDP発表(改定値)
28-29日 ロシア、インド、中国外相会合(北京)
29日 EU統計局(ユーロスタット)、7月失業率発表
29日 4-6月期のインドGDP
29日 4-6月期のブラジルGDP
29日 シント・マールテン(オランダ自治領)議会選
31日-9月3日 インド首相、訪日
宮家 邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問