キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。
2014年7月29日(火)
[ 2014年外交・安保カレンダー ]
ヨーロッパは夏のバカンスに突入したらしく、外交日程が殆どない。ウクライナであれだけの事件が起き、オバマ政権が対ロシア制裁強化をどれだけ働き掛けようと、欧州人には休暇の方が大事なのだろう。プーチンが米国の足元を見るのも当たり前か。
今回はあまり目立たない話を取り上げる。28日にカナダ外相が訪日する。腐ってもカナダはG7の一員、この国との関係は大事にすべきだ。但し、米国の隣国カナダは親米ではない。確か、カナダは2003年のイラク戦争に派兵しなかったと記憶する。
これもあまり目立たないが、25日から31日まで太平洋上で日米印三国海軍による共同演習が実施される。勿論、これで何かが変わる訳ではないが、中国にとっては面白くない話だろう。普段からの積み重ねが重要ということの典型例だと思う。
インド新政権の経済政策に対する関心が高まっている。31日はインド下院が予算案を承認する期限らしい。インド予算といえば、先日、インドのテレビ局から同予算につき衛星生中継インタビューの依頼があった。面白そうだったので、早速引き受けた。
先方が指定した場所は汐留。行ってみたら中継の予定はないという。実際に予約されていたのは青山のスタジオだったからだ。国際電話で先方に文句を言ったら、「早く青山に行け」の一点張り。「申し訳ない」の一言もない。やはり、彼らを信じた筆者が馬鹿だった。
今週エジプトのムスリム同胞団が、一年前の流血暴動を記念し、抗議運動を呼び掛けているらしいが、今のカイロでどの程度の広がりを見せるのだろう。エジプトといえば、今トルコとの関係が一層悪化している。
最近トルコ首相はエジプト新大統領を独裁者と罵ったそうだが、エジプトは従来からトルコのムスリム同胞団支持に強く反発しており、両国関係が改善する見込みはない。単なる痴話喧嘩ではなく、液状化する中東情勢の中での主導権争いと見るべきか。
最後に最も目立たないが、29日にはヴェネズエラでメルコスール(南米南部共同市場)加盟国の首脳会議が開かれる。その共同宣言でイスラエルを非難する話が浮上しているらしい。ユダヤ系もアラブ系も少なくない中南米は意外に中東に近いのだ。
今週はこのくらいにしておこう。
7月28日 フィリピン大統領一般教書演説(ケソン市)
28日 カナダ外相、訪日
28日 日・カリブ共同体(カリコム)首脳会合(トリニダード・トバゴ)
28日 第一次大戦開戦100年
28-29日 メルコスール首脳会議(カラカス)
28-31日 日・カナダ経済連携協定(EPA)交渉第6回会合(オタワ)
28-31日 日・ガーナ投資協定交渉第2回会合(東京)
28日-9月12日 ジュネーヴ軍縮会議第三部(ジュネーヴ)
29日 日仏防衛大臣会談
29日 日・コロンビア首脳会談(コロンビア)
29-30日 米国連邦公開市場委員会(FOMC)
30日 日銀金融政策決定会合議事録(平成16年1月~6月開催分)公表
30日 米国GDP速報(第2四半期)
30-31日 上海協力機構締約国外相会議(タジキスタン、ドゥシャンベ)
30日-8月1日 米国務長官、インド訪問
31日 日本維新の会が解党届け出
31日 EU統計局(ユーロスタット)、6月失業率発表
31日 日・チリ首脳会談(チリ)
31日-8月2日 岸田外相、ベトナム訪問
31日-8月3日 国際食品見本市「フードショー」(オークランド)
31日-8月4日 台北コンピュータアプリケーション見本市
8月1日 米国7月雇用統計発表
1日 日・ブラジル首脳会談
1日 橋下系「日本維新の会」と石原系「次世代の党」が発足
3日 第1次世界大戦での独仏の相互宣戦布告から100年
3-4日 インド首相、ネパール訪問
3-7日 国際建築労働組合会議「International Union of Architects World Congress」(南ア・ダーバン)
【来週の予定】
4日か5日 ロシア7月CPI発表
4-8日 生物兵器禁止条約政府専門家グループ会議(ジュネーヴ)
4-8日 国連持続可能な開発資金に関する政府間専門家委員会第5回会期(ニューヨーク)
5-6日 米国・アフリカ首脳会議(ワシントン)
6日 広島原爆忌
6日 米国6月貿易統計発表
6-8日 地球規模の地理空間情報管理に関する国連専門家委員会第4回会期(ニューヨーク)
7日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(フランクフルト)
8日 中国7月貿易統計発表
9日 長崎原爆忌
宮家 邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問