キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。
2014年4月1日(火)
[ 2014年外交・安保カレンダー ]
今週の原稿は到着直後のパリで書いている。ここに来るのは十年ぶりだが、ドゴール空港からセーヌ川のほとりまで、この街はあまり変わっていないなぁ、というのが第一印象だ。最も驚いたのは、今回パリでインターネット接続に苦労しなかったことだ。さすがのフランスも米国主導のサイバー革命の波には抗し切れなかったのだろう。
フランスに来てもう一つ驚いたことは、中国と韓国のプロパガンダ活動が予想以上に浸透していたことだ。詳しく聞いてみると、中韓の努力もさることながら、どうやらフランス知識人の「左傾化」傾向によるところが大きいようだ。
考えてみれば、現政権は社会党であり、この欧州の大国ではまだまだ「左派」の声が強いことを痛感させられた。それでは、フランス知識人が皆「親中派」なのかといえば、必ずしもそうではない。尖閣、靖国、慰安婦などの問題で日本に厳しいことを言う割には、基本的な事実関係を正確には理解していない。この国の人々はロジックに強いのかと思ったが、実際には意外に底の浅い先入観に引っ張られているようだ。それでも中国に対する関心は非常に高い。
偶然ながら、中国の習近平国家主席が欧州諸国を歴訪しており、31日はEU本部で首脳会談、4月1日にはベルギーの大学で演説を行う。本日はパリの学生やジャーナリストたちと懇談する機会があったが、経済・投資を中心に、彼らの対中関心は予想以上だった。学生たちには、ウクライナ危機がポスト冷戦時代の終焉を意味し、現状維持勢力であるEUと日本は、欧州とアジアにおいて力による現状変更を認めてはならないこと、世界各地で現状変更勢力の冒険を抑止するため、今後は日本と欧米、特にフランスとの安全保障面での協力を深めていく必要があることを強調した。欧州には4月8日まで滞在する予定なので、来週も欧州からの報告となりそうだ。今週はこのくらいにしておこう。
3月31日 中国国家出席、ベルギー訪問
31日 レジオスターズ(RegioSters)賞授賞式2014(ブリュッセル)
31日 欧州議会委員会(ブリュッセル)
31日 国連安保理、ウクライナに関する会議(ニューヨーク)
31日 カタール外相補佐官、NATO訪問
31日 国際司法裁判所(ICJ)が日豪捕鯨訴訟で判決(オランダ・ハーグ)
31日 国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第2作業部会の報告書を発表(横浜市)
31日 スーダン議会議長、中国訪問
31日 医療保険制度改革法(オバマケア)に基づく新規保険申込期限
31日 トルコ2月貿易統計発表
31日 自民、総裁直属機関が初会合
31日-4月1日 アフリカ経済委員会、第47期計画および経済開発会議(アブジャ、ナイジェリア)
31日-4月1日 環太平洋連携協定(TPP)の日米並行協議(ワシントン)
31日-4月4日 国連人権理事会、第14期アフリカ系の人々に関する専門家作業部会(ジュネーヴ)
31日-4月4日 国際連合国際商取引法委員会、作業部会VI(ニューヨーク)
31日-4月4日 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉の第4回会合(中国・南寧)
31日-4月4日 日EU経済連携協定(EPA)交渉の第5回会合(東京)
31日-4月11日 第20期国連移住労働者委員会(ジュネーヴ)
31日-4月11日 第11期国連障害者の権利委員会(ジュネーヴ)
31日-4月11日 核兵器あるいはその他の核爆発装置用の核分裂性物質の生産を禁止する専門家委員会(ジュネーヴ)
31日-4月17日 万国郵便連合、郵便業務理事会(スイス・ベルン)
4月1日 欧州委員会、成長と雇用創出のためのより柔軟なビザに関するルールを作成(ブリュッセル)
1日 欧州議会委員会(ブリュッセル)
1日 欧州地域委員会、欧州の地域と都市のために:若者の視点(ブリュッセル)
1日 植民地独立付与宣言履行特別委員会(ニューヨーク)
1日 アメリカ国務長官、NATO訪問
1日 ハーグ条約発効
1日 日本政府、閣議・閣僚懇談会の議事録作成を開始
1日 EU統計局(ユーロスタット)、2月失業率発表
1日 消費税率8%に引き上げ、地球温暖化対策税の税率引き上げ、輸入小麦の政府売り渡し価格を平均2.3%引き上げ
1-2日 ブラジル中銀、金融政策審議会(Copom)
1-3日 人権理事会、第6回経済社会文化権利に関する会期間フォーラム(ジュネーヴ)
1-4日 第68回国連総会議長、来日
1-4日 国家管轄権の区域を超える海洋の生物多様性の保存および持続可能な利用に関する問題を研究するアドホック・オープンエンド非公式作業グループ(ニューヨーク)
1-4日 特定通常兵器使用禁止制限条約、議定書V(爆発性戦争残存物に関する議定書)に関する政府専門家会合(ジュネーヴ)
2日 ブラジル2月鉱工業生産指数発表
2日 欧州評議会、常駐副代表委員会(Coreper I)(ブリュッセル)
2日か3日 ロシア2013年経済活動別・需要項目別GDP統計発表
2-3日 第4回EU・アフリカ首脳会議(ベルギー・ブリュッセル)
2-3日 欧州議会本会議(ブリュッセル)
2-3日 欧州評議会、常駐副代表委員会(Coreper I)、常駐代表委員会(Coreper II)(ブリュッセル)
2-4日 欧州評議会事務総長、ヨルダン訪問
2-15日 UNESCO第194期理事会(パリ)
3日 欧州委員会、慢性疾患サミット(ブリュッセル)
3日 イギリス女王、法皇と会談(イタリア)
3日 欧州議会委員会(ブリュッセル)
3日 米国2月貿易統計発表
3日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(フランクフルト)
3日 トルコ3月消費者物価指数(CPI)発表
4日 CIS外相会合(モスクワ)
4日 欧州評議会、常駐副代表委員会(Coreper I)(ブリュッセル)
4日 チュニジア首相、ホワイトハウス訪問
4日 国連事務総長、チェコ訪問
4日 米国3月雇用統計発表
4日 日銀・異次元緩和から1年
4日 東アジア戦略概観2014公表
4日 経済財政諮問会議
4-5日 スウェーデン国王夫婦、オランダ訪問
5日 アフガニスタン 大統領選
5日 第18回ASEAN財務相会議(AFMM)(ネピドー)
5-7日 中国清明節休暇
5-8日 オーストラリア連邦首相、来日
6日 ハンガリー議会選
6日 コスタリカ大統領選
6日 京都府知事選
6日 東日本大震災で被災した三陸鉄道が全線運行再開
6-8日 アラブ諸国塩水脱塩会議(Arwadex)(リヤド)
【来週の予定】
7日 インド議会選
7日 欧州議会委員会(ブリュッセル)
7日 秋田県知事選
7-10日 アメリカ国防総長、中国訪問
7-11日 国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第3作業部会の総会(ベルリン)
7-12日 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第3作業部会(ベルリン)
7-25日 ウィリアム英王子夫妻と長男のジョージ王子、ニュージーランドと豪州訪問
8日 欧州委員会、EU若者翻訳者コンテスト授賞式(ブリュッセル)
8-9日 日・EUビジネスラウンドテーブル年次会合(東京)
8-10日 アイルランド大統領、イギリス訪問
8-11日 オーストラリア首相、韓国、中国訪問
9日 インドネシア 地方代表議会選、国民議会選
9日 欧州評議会、常駐副代表委員会(Coreper I)、常駐代表委員会(Coreper II)(ブリュッセル)
9日 欧州委員会、移動可能な健康としてグリーンペーパーを採用(ブリュッセル)
9日 メキシコ3月消費者物価指数(CPI)発表
9日 ブラジル3月拡大消費者物価指数(IPCA)発表
9-10日 アフリカ風力発電会議「The inaugural Wind Energy Summit South Africa」(ケープタウン)
9-12日 台北国際自動車部品およびアクセサリー見本市、台北国際車用電子製品見本市、台北国際オートバイ見本市、台北国際電動自動車見本市
9-13日 ソウル国際生産製造技術展2014(SIMTOS2014)(京畿道高陽市)
10日 欧州議会委員会(ブリュッセル)
10日 中国第1四半期貿易統計発表
10-11日 欧州競争の日(アテネ)
11日 G20財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン)
11日 中国3月消費者物価指数(CPI)発表
11日 メキシコ2月鉱工業生産指数発表
11日 トルコ2月国際収支発表
11-12日 第8回軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)外相会合(広島)
11-13日 IMF・世界銀行春季総会(ワシントン)
12日 ニウエ大統領選
12日 欧州評議会、常駐副代表委員会(Coreper I)(ブリュッセル)
12日 軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)広島外相会合(広島市)
12日 安倍晋三首相主催「桜を見る会」(東京・新宿御苑)
13日 マケドニア大統領選
13日 ギニアビサウ 大統領選、議会選
13-16日 インターナショナルICT(情報通信技術)エキスポ2014(香港)
宮家 邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問