外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2014年3月4日(火)

外交・安保カレンダー(3月3-9日)

[ 2014年外交・安保カレンダー ]


筆者は3日からワシントン出張、この原稿は成田空港で書いている。ワシントンは大雪で出発が2時間遅れるそうだ。先週は「今後数週間以内にオバマ政権の対欧州政策が再びテストされる可能性がある」と書いたが、テストはもう始まっている。プーチンの動きは予想以上に早かった。今週ワシントンは大雪とウクライナに忙殺されるだろう。
米国では、プーチンは新帝国主義者、ヒトラーと同じ独裁者・侵略者だ、米国はロシアの軍事介入に対し断固たる決定的なメッセージを送るべし、といった声が主流らしい。さもないとアジアでも中国が米国の意図を誤解し、更なる現状変更を試みる恐れすらある、というのだが、相変わらず米国の識者は出来もしないことを言っている。
ワシントンでは旧ソ連専門家など「大西洋」学派が久しぶりで脚光を浴びているが、それではオバマの「アジア回帰」政策は一体どうなったのだろう。先週は「万一、ロシアが軍事介入すれば、・・・最悪の場合、ウクライナで内戦が始まり、国土が二分される可能性すらある。その際米国は介入するのか」とも書いた。実に気になるところだ。
米連邦議会議員の一部は「プーチンに代償を払わせる」などと息巻いているが、そもそも今の米国にはウクライナで軍事介入する意図も能力もないと思う。断固たる措置を取りたくても取れないことを、米以外の関係国はとっくに「お見通し」ではないのか。少なくとも、昨年9月のシリア化学兵器問題での失態だけは繰り返してほしくない。
もう一つの大きなニュースは、中国雲南省昆明で起きた「ウイグル分離独立派」による「無差別テロ」事件だ。公式発表だけで推測するのは危険だが、もし事実であれば、昨年10月末の天安門での事件とは異なり、本当の「テロ」である可能性がある。ウイグル自治区の外でのかくも凄惨な事件の発生は、ウイグル人の漢族に対する不満と憎悪が新たな段階に入ったことを示すものかもしれない。今週はこのくらいにしておこう。

 
3月3日 全国人民政治協商会議(政協)第12期第2回全体会議(北京)
3日 スーダン外相、エジプト訪問
3日 EU環境相理事会(ブリュッセル)
3日 第2回日加次官級「2+2」対話(オタワ)
3日 欧州連合外務・安全保障政策上級代表、キエフ訪問
3日 日朝赤十字会談(中国・瀋陽)
3日 米大統領とイスラエル首相が会談(ワシントン)
3日 14年度予算案が参院で審議入り
3日 トルコ2月消費者物価指数(CPI)発表
3-4日 欧州委員会、健全な海洋―生産的な生態:海洋環境のための欧州会議(ブリュッセル)
3-4日 日本企業支援戦略会合(東京)
3-5日 ブラジルでカーニバル期間(全国)
3、5日 WTO加盟国通商政策レビュー:マレーシア(ジュネーブ)
3-6日 欧州議会委員会(ブリュッセル)
3-7日 女性差別撤廃委員会、第59回 会合前作業部会(ジュネーブ)
3-7日 人権委員会、第110回会合前作業部会、(ジュネーブ)
3-7日 第21期人権理事会、作業部会(ジュネーブ)
3-7日 IAEA理事会(ウィーン)
3-28日 国連総会第五委員会(ニューヨーク)
3-28日 第25期人権理事会(ジュネーブ)
4日 EU運輸・通信・エネルギー担当相理事会(ブリュッセル)
4日 英国製造事業者(EEF)会議(ロンドン)
4日 欧州委員会、欧州の防衛部門の将来に関するハイレベル会議:欧州の防衛産業のためのアジェンダを設定(ブリュッセル)
4日 欧州委員会、EU加盟国や地域のイノベーションパフォーマンスにスポットライトを当てる会議(ブリュッセル)
4日 欧州評議会「青少年保証」の実施における地域の役割に関するハイレベル会合(カヴァラ、ギリシャ)
4日 欧州委員(開発担当)、コンゴ訪問
4日 次世代日系人指導者会議(東京)
4日 米大統領とイスラエル首相が会談(ワシントン)
4日か5日 ロシア2月消費者物価指数(CPI)発表
4-5日 再生可能エネルギー会議「Renewable Energy Forum South Africa」(ヨハネスブルク)
4-5日 イラン外相、訪日
4-5日 サウジ川下産業フォーラム(サウジアラビア・ヤンブー)
4-7日 第4回日中韓自由貿易協定(FTA)交渉会合(ソウル)
4-7日 化学兵器禁止機関、第75期執行理事会(ハーグ)
4-7日 第45期国連統計委員会(ニューヨーク)
5日 日・イラン外相会談(東京)
5日 第12期全国人民代表大会第2回全体会議(北京)
5日 EU統計局(ユーロスタット)、2013年第4四半期実質GDP成長率発表
5日 デンマーク首相、韓国訪問
5日 FRB、米地区連銀景況報告
5日 欧州評議会、常駐副代表委員会、常駐代表委員会(Coreper I、II)(ブリュッセル)
5日 欧州理事会、EU全体における女性に対する暴力:家庭、職場、公共の場、およびオンライン上での虐待(ブリュッセル)
5日 欧州委員会、マクロ経済の不均衡に関する詳細なレビューの発表(ブリュッセル)
5-6日 米国務長官がフランス・イギリス訪問
5-8日 台北国際スポーツ用品見本市、台北国際マリンレジャー用品見本市、台北国際自転車見本市、台北国際スポーツテキスタイル見本市
5-9日 香港インターナショナル・ジュエリー・ショー 2014
6日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(フランクフルト)
6日 欧州地域委員会、HOST最終会議(ブリュッセル)
6日 EU司法・内務相理事会(ブリュッセル)
6-7日 欧州理事会、サイバースペースの安全とセキュリティ:欧州への信頼を構築する会議(アテネ)
7日 EU統計局(ユーロスタット)、2013年第4四半期国際収支統計発表
7日 欧州評議会、常駐副代表委員会(Coreper I)(ブリュッセル)
7日 欧州経済・財務相(ECOFIN)理事会(ブリュッセル)
7日 米国2月雇用統計、1月貿易統計発表
7-8日 OPEC事務総長、イラン訪問
7-8日 第10回IBA競争中間会議(ケープタウン)
7-8日 欧州地域委員会、第6回地域や都市の欧州サミット(アテネ)
7-16日 第11回冬季パラリンピック(ソチ)
8日 中国2月貿易統計発表
8-15日 ベトナム財務大臣、アメリカ訪問
9日 中国2月消費者物価指数(CPI)発表
9日 コロンビア国会議員選挙
9日 北朝鮮最高人民会議代議員選挙
9日 エルサルバドル 大統領選
9-10日 欧州連合外務・安全保障政策上級代表、イラン訪問
9-10日 国連パレスチナ委員会とアラブ連盟の合同会議(カイロ)
 

【来週の予定】
10日 ユーロ・グループ(非公式ユーロ圏財務相会合)(ブリュッセル)
10日 EU雇用・社会政策・健康・消費者問題担当相理事会(ブリュッセル)
10-11日 王国人的資産管理サミット(リヤド)
10-11日 欧州委員会、イノベーション•コンベンション2014(ブリュッセル)
10-12日 第9回ヨーロッパ年次シンポジウム(ベルリン)
10-12日 アメリカエネルギー長官、インド訪問
10-13日 欧州議会本会議、委員会(ストラスブール)
10-13日 第48回ブラジル国際ギフトフェア(サンパウロ)
10-14日 国連気候変動枠組み条約の特別作業部会(ボン)
11日 チリ大統領就任式
11日 EU経済・財務相(ECOFIN)理事会(ブリュッセル)
11日 米国フロリダ州選出連邦下院議員補欠選挙
11日 東日本大震災から3年
11、13日 WTO加盟国通商政策レビュー:ミャンマー(ジュネーブ)
12日 欧州評議会、常駐副代表委員会(Coreper I)(ブリュッセル)
12日 欧州委員会、TTIP第4ラウンド:首席代表による利害関係者へのブリーフィング(ブリュッセル)
12日 ブラジル2月拡大消費者物価指数(IPCA)発表
12日 トルコ1月国際収支発表
12-13日 欧州評議会、常駐代表委員会(Coreper II)(ブリュッセル)
13日 ブラジル1月月間小売り調査発表
13日 米国2月小売売上高統計発表
13日 中国2月固定資産投資、社会消費品小売総額発表
13-14日 欧州委員会、EUの結束政策による中小企業支援に関する会議(バルセロナ)
13-16日 台湾エコプロダクツ見本市
13-16日 第30回韓国国際医療機器&病院設備展示会(KIMES)(ソウル)
14日 EU運輸・通信・エネルギー担当相理事会(ブリュッセル)
14日 WTO一般理事会(ジュネーブ)
14日 欧州経済社会評議会、ヨーロッパ消費者の日:危機の時代における消費者保護と社会的統合」
15日 オーストラリア・南オーストラリア州総選挙
15日 スロバキア大統領選
15日 スロバキア大統領選挙
16日 セルビア議会選
16日 石川県知事選
16-19日 ベトナム社会主義共和国主席、来日


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問