キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。
2014年2月18日(火)
[ 2014年外交・安保カレンダー ]
今週は非常に重要だが、恐らく、あまり注目されないサウジアラビア皇太子の訪日を取り上げる。2月18日から21日まで、サルマン・ビン・アブドルアジーズ・アール・サウード・サウジアラビア王国皇太子が公賓として訪日する。これって実は凄い事だと思うのだが、どうも日本のマスコミでは大きく報じられていないようだ。
筆者には、サウジ皇太子の訪日、しかも公賓という接遇についてあまり記憶がない。以前からサウジの有力王族の訪日は実現が難しかったからだろう。リヤド州知事だったサルマン王子の訪日は1998年4月だった。当時筆者は中近東第二課から第一課に異動していたので、同知事の訪日について直接関わったこともない。
しかし、この皇太子の重要さは、その長ったらしい名前を聞けば分かる人には直ぐ分かる。英語では冒頭にH.R.H.(His Royal Highness)が付くから、これは殿下。Prince Salman とはサルマン王子の意味だが、その後に続く名前の後半の意味するところが凄いのだ。
Bin Abdulaziz Al Saud これはサウード家のアブドルアジーズの息子、すなわちサウジアラビアを建国した初代国王の息子という意味だ。しかも、同国王が寵愛したスデイリ族の母を持つ、いわゆるスデイリ・セブンの一人。この皇太子がようやく訪日するのだ。長年日サウジ関係に携わってきた人々には感慨深いのではなかろうか。
しかし、1935年生まれの同皇太子は既に79歳。兄であるスルタン、ナーイフ両皇太子の相次ぐ死去により皇太子に昇格し国防相も兼務しているが、それまでは約50年間、首都リヤド州知事を務めていた。毎年のように首相が替わっていた日本では考えられない人事である。この王朝は国際情勢など全く眼中にないかのようだ。
今回の皇太子訪日で大きな成果が出ることを祈っている。申し訳ないが、他の国の皇太子と違い、サウジの皇太子は高齢だ。いずれサウジアラビアはスデイリ・セブンの次の世代、すなわち初代国王の「孫」の世代が引き継ぐことになるのか。果たしてそうした世代交代をサウジアラビアは今後も続けられるのだろうか。
サウジアラビアの周辺では毎週のように大事件が起きている。これまでのように安定王朝が長期間続く保証など全くないとも思うのだが・・・。さて、今週はこのくらいにしておこう。
2月17日 ユーロ・グループ(非公式ユーロ圏財務相会合)(ブリュッセル)
17日 欧州委員会、大西洋の戦略:直接運用するファンドと運用プログラムに関するワークショップ(ブリュッセル)
17-18日 EU農水相理事会(ブリュッセル)
17-18日 欧州委員会、欧州への投資:明日の都市(ブリュッセル)
17日か18日 ロシア1月鉱工業生産統計発表
17-20日 欧州議会委員会(ブリュッセル)
17-21日 人権理事会、人権、多国籍企業およびその他の企業に関する第7回作業部会(ジュネーヴ)
17-21日 国連先住民族のための自主基金第27期理事会(ジュネーヴ)
17-28日 包括的核実験禁止条約機関準備委員会、ワーキンググループB、第42セッション(ウィーン)
18日 EU経済・財務相(ECOFIN)理事会(ブリュッセル)
18日 日本・サウジアラビア・ビジネスカウンシル(東京)
18日 成長の操縦者として競争政策の執行会議(ブリュッセル)
18日 第33回市民的及び政治的権利に関する国際規約締約国会議(ニューヨーク)
18-20日 アフリカエネルギー会議「Africa Energy Indaba」(南ア・ヨハネスブルク)
18-21日 サウジアラビア王国皇太子殿下、来日
18-26日 国連憲章及び国連の役割強化に関する特別委員会(ニューヨーク)
19日 欧州評議会、常駐副代表委員会(Coreper I)(ブリュッセル)
19日 欧州委員会、空港や航空会社のための新しい国家補助ガイドラインを採用(ブリュッセル)
19日 米大統領、メキシコ訪問
19日 フランス、ドイツ協力強化対話
19-20日 欧州評議会、常駐代表委員会(Coreper II)(ブリュッセル)
19-20日 第37期国際農業開発基金理事会(ローマ)
19日か20日 ロシア2013年貿易統計発表
19-21日 第25期国連独立監査諮問委員会(ニューヨーク)
19-21日 犯罪防止・刑事司法委員会、ラテンアメリカおよびカリブ海地域準備会合(サンホセ)
20日 リビア憲法制定議会選挙
20日 欧州委員会、沿岸の観光戦略を立ち上げ(ブリュッセル)
20日 植民地及びその人民に対する独立の付与に関する宣言の実施に関する特別委員会(ニューヨーク)
20日 米国1月消費者物価指数(CPI)発表
20日 ブラジル1月月間雇用調査発表
20-21日 EU競争担当相理事会(ブリュッセル)
20-21日 EU・ブラジル首脳会議
20-21日 欧州委員会、エコデザイン•エネルギーラベル表示の国際的動向:製品政策に関する会議(ブリュッセル)
20-21日 "Financing Creativity"会議(アテネ)
21日 第5回反トラストの新しいフロンティア国際会議(パリ)
22-23日 G20財務相・中央銀行総裁会議(オーストラリア・シドニー)
22日-3月7日 ダライ・ラマ、アメリカ訪問
23日 皇太子殿下誕生日(54歳)
23日 山口県知事選
【来週の予定】
24日 ユーロスタット、1月消費者物価指数(CPI)発表
24日 EU教育・若年・文化担当相理事会(ブリュッセル)
24日 国連人口賞委員会、第一例会(ニューヨーク)
24日 中国2013年経済状況(国民経済・社会発展統計公報)発表
24-25日 セネガル支援国会合(パリ)
24-25日 ドイツ首相、イラン訪問
24-26日 国際連合経済社会理事会、実務活動セグメント(ニューヨーク)
24-26日 第3回SIDS国際会議、政府間準備委員会(ニューヨーク)
24-27日 欧州議会本会議、委員会(ストラスブール)
24-28日 拷問等禁止条約、第22回小委員会(ジュネーヴ)
24-28日 第12期人権理事会諮問委員会(ジュネーヴ)
24日-3月21日 平和維持活動に関する特別委員会およびその作業部会、実質的セッション(ニューヨーク)
25日か26日 ロシア1月雇用統計発表
25-26日 ブラジル中銀、Copom
25-26日 WTO知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS)理事会(スイス・ジュネーブ)
26日 WTOサービス理事会(ジュネーブ)
26日 欧州評議会、常駐副代表委員会(Coreper I)(ブリュッセル)
26日 NATO国防相理事会
26-27日 欧州評議会、常駐代表委員会(Coreper II)(ブリュッセル)
26-28日 国際バイオ機器産業展2014(BIO TECH KOREA 2014)(ソウル)
26日-3月2日 フラワーショー(ニュージーランド・クライストチャーチ)
27日 ブラジル2013年第4四半期GDP発表
27日 ユーロスタット、冬季経済予測発表
27日か28日 ロシア2013年対内投資統計発表
27日-3月1日 第11回クラスノヤルスク経済フォーラム(ロシア・クラスノヤルスク)
28日 米国2013年第4四半期GDP発表(改定値)
28日 ユーロスタット、1月失業率発表
28日 インド2014年度中央政府予算発表
28日-3月2日 ポーランド外相、イラン訪問
3月1日 第24回中国華東輸出入商品交易会(上海)
2日 沖縄石垣市長選
宮家 邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問