外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

  • 当サイト内の署名記事は、執筆者個人の責任で発表するものであり、キヤノングローバル戦略研究所としての見解を示すものではありません。
  • 当サイト内の記事を無断で転載することを禁じます。

2014年1月7日(火)

外交・安保カレンダー(1月6-12日)

[ 2014年外交・安保カレンダー ]


遅ればせながら新春のお慶びを申し上げる。2014年を迎えたとはいえ、還暦を過ぎた故か、残念ながら、もう昔のような興奮はない。お年玉をあげる子供や甥っ子、姪っ子たちもいなくなった。孫でもできない限り、昔のような正月はもうないのだろうか。

日本の正月は平和そのものだったが、外交・安全保障の世界には相変わらずクリスマスも正月もない。中でも筆者にとって最も大きなショックだったのはISIL(イラク・レバントのイスラム国)がイラクのファルージャを制圧したというニュースである。

ファルージャといえば、筆者にとって二度目のバグダッド勤務だった2004年春、米軍が大規模掃討作戦を行った場所、スンニー派の巣窟だ。同時期に日本人の若者三人が「人質」となったことで日本でも有名な町、あれからもうすぐ10年が経つ。当時ファルージャは「イラクのアルカーイダ」の拠点だった。結局米軍による掃討作戦は成功せず、その後武装勢力のテロはイラク全土に広がった。そのファルージャが再びアルカーイダ系の勢力に制圧された。やはり、来るべきものが来たということだ。

「平和」という言葉を何百回唱えても、平和は来ない。誤解を恐れずに申し上げれば、「平和」とは、悪事を働く武装集団を、よりましな武装集団が、圧倒的な武力で制圧し、悪事を働けない状態にすることによって、初めて回復・維持されるものだ。2011年末に米軍がイラクから撤退した以上、この日が来ることは覚悟していた。十分な米軍の支援を受けることができない現在のイラク軍にファルージャを制圧する能力はないからだ。当分ファルージャに「平和」が戻ってくることはないだろう。

どうしても話が中東になってしまう。だが、今週は中東以外にも重要なイベントが目白押しだ。トルコ首相訪日に続き、安倍首相のアフリカ訪問、外相、防衛相のインド、欧州訪問など、通常国会前の今は日本の首相・閣僚にとっては外国出張の書き入れ時だからだ。今週はこのくらいにしておこう。

 
1月6日 日印防衛相会談(ニューデリー)
6日 東証大発会
6日 安倍晋三首相、海江田万里民主党代表、伊勢神宮参拝
6日 米国第113議会第2会期開会
6-7日 エルドアン・トルコ首相が訪日
6-7日 サウジアラビア外相、パキスタン訪問
6-8日 トルコ共和国首相、来日
6-9日 欧州議会委員会(ブリュッセル)
6-9日 米財務長官、欧州訪問
6-10日 第7期持続可能な開発目標に関するオープン作業部会(ニューヨーク)
6-11日 中国外相、アフリカ諸国歴訪
7日 日スペイン外相会談(マドリード)
7日 日・トルコ首脳会談(東京)
7日 米韓外相会談(ワシントン)
7日 英議会代表団、イラン訪問
7日 米国2013年11月貿易統計発表
7日 エジプト、コプト教クリスマス(祝日)
7日 ユーロ圏11月生産者物価指数発表
7-8日 岸田外相、スペイン訪問
8日 ソマリア・プントランド大統領選挙
8日 モルシ・エジプト前大統領の公判再開
8日 ユニセフ理事会(ニューヨーク)
8日 ブラジル2013年11月鉱工業生産指数発表
8日 ユーロ2013年11月失業率発表
8日 北朝鮮、金正恩第1書記の誕生日
9日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(フランクフルト)
9日 日仏外相戦略対話、日仏外務・防衛閣僚会合(パリ)
9日 UNDP/UNFPA/UNOPS理事会(ニューヨーク)
9-10日 岸田外相、フランス訪問
9-12日 KOREA Style Week 2014(ソウル)
9-15日 安倍首相、アフリカ諸国訪問
10日 ブラジル2013年12月拡大消費者物価指数(IPCA)発表
10日 米国2013年12月雇用統計発表
10日 インド2013年11月工業生産指数発表
11-13日 安倍首相、モザンビーク訪問
12日 第71回米ゴールデングローブ賞授賞式


 

【来週の予定】
13-14日 アジア金融フォーラム(香港)
13-14日 シリアの野党代表、モスクワを訪問
13-16日 欧州議会本会議、委員会(ストラスブール)
13-16日 香港ファッションウイーク2014秋/冬
13-31日 第65期子供の権利委員会(ジュネーヴ)
13-31日 ICAO第201期議会(モントリオール)
14日 エジプト国民投票
14日 欧州経済社会委員会、社会的投資の雇用効果(ブリュッセル)
14日 国連経済社会理事会(ニューヨーク)
14日 国連人口賞委員会、創立総会(ニューヨーク)
14日 米国2013年12月小売売上高統計発表
14日 預言者ムハンマド生誕祭
14、15日 エジプト憲法改正の国民投票
14-15日 ブラジル中銀、Copom
14-15日 エジプト憲法改正案国民投票
15日 欧州委員会、リスクファイナンスのガイドラインを採用(ブリュッセル)
15日 米国2014会計年度暫定予算期限
15-21日 ペルー・チリビジネス開拓ミッション派遣
16日 第86回米アカデミー賞ノミネート作品発表
16日 第150回芥川・直木賞
16日 米国2013年12月消費者物価指数(CPI)発表
16日 ユーロスタット、2013年12月消費者物価指数(CPI)発表
16日 ブラジル2013年11月月間小売り調査発表
16-17日 欧州委員会、社会起業家:Have Your Say!(ストラスブール)
16-17日 欧州議会代表団、アイルランド訪問
17日 ロシア代表団、キューバ訪問
17日 南米南部共同市場(メルコスル)首脳会議(ベネズエラ)
17日 阪神大震災から19年
19日 沖縄名護市長選
19日 南相馬市長選挙


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問