外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2013年10月15日(火)

外交・安保カレンダー(10月14-20日)

[ 2013年外交・安保カレンダー ]


今週は米政府閉鎖と債務上限引き上げ問題でワシントンが最終段階を迎える。

このところ、ワシントンから流れてくるニュースは滅入る話ばかりだ。簡単にいえば、ポイントは二つ。妥協することを忘れた米国の政治家たちと、その犠牲になったか、その原因を作ったのかは分からないが、オバマ大統領の黄昏、レームダック化である。
先週は議会共和党と大統領のチキンゲームについて、「双方が合理的な判断をするなら良いが、万一、一方が『相手は譲歩するだろう』と考えた途端、このゲームは破綻する」と書いた。

今週物事が動かなかったら、どうなるのかというと、実は米財務省が恐らく何とかしてしまうのだろう。だが、今は誰もその話はしたくない。そんなことを言っても、問題の解決が遅れるだけだからだ。

これまでの政治的常識ならば17日ともいわれる「デフォルト」の期限前に妥協が成立するはずなのだが。ここに来ても、妥協の可能性があまり見えてこないところが、今のワシントンを象徴しているのだろうか。それにしても大変な時代になったものだ。

大変な時代といえば、米国のEnergy Information Administrationという機関が報告書を出し、2013年9月に中国が世界一の原油輸入国になり、この傾向は2014年も続く("China's steady growth in oil demand has led it to become the world's largest net oil importer, exceeding the United States in September 2013," "EIA forecasts this trend to continue through 2014.")と書いている。いずれ起きることだとは思っていたが、この事実の戦略的、地政学的意味はとてつもなく深い。

いうまでもなく、シェール革命とかで、米国の原油輸入依存度はどんどん低下している。そこで中国の輸入依存度が高まれば、中国はどうするだろうか。米国はどう対応するのか。
「中東原油への依存が低下するから、米国は中東から撤退する」なんて馬鹿なことを言わないで、もっと米国の中東政策の本質を考えて欲しい。その上で、これまで静かしていた中国はどう出るだろうか。

高まる輸入依存度を念頭に、中東においてよりproactiveにならないか。それが現在の中東情勢に如何なる影響を及ぼすのか。東アジアからアラビア海までのシーレーン(SLOC:Sea Lines of Communication)に如何なる影響を及ぼすのか。

日本はどう対応すべきなのか。このことを現実に考えるべき日が遂に来たということだろう。今週はこのくらいにしておこう。

 
10月14日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
14日 ユーロ・グループ(非公式ユーロ圏財務相会合)(ルクセンブルク)
14日 EU環境相理事会(ルクセンブルク)
14日 欧州委員会、エネルギーインフラに"共通の関心のプロジェクト"のリストを採用(ブリュッセル)
14日 欧州委員会、地域結束会議改革協議(ブリュッセル)
14日 中国第3四半期消費者物価指数(CPI)発表
14日 インド8月卸売物価指数(WPI)、消費者物価指数(CPI)、工業生産指数(IIP)発表
14日 ノーベル経済学賞発表(ストックホルム)
14日 東京、NY、トロント、香港休場
14-15日 フランス大統領、南アフリカ訪問
14-15日 ロシア外相、ベルギー訪問
14-15日 ロシア国防相、ペルー訪問
14-18日 「第20回ITS世界会議東京2013」(東京)
14-21日 IAEAチーム、福島の進捗確認の為来日
15日 EU経済・財務相(ECOFIN)理事会(ルクセンブルク)
15日 EU雇用・社会政策・健康・消費者問題担当相理事会(ルクセンブルク)
15日 臨時国会召集
15日 日豪外相会談
15日 北朝鮮拉致被害者5人の帰国から11年
15日 米NY連銀製造業景気指数発表
15日 ブラジル8月月間小売り調査発表
15日か16日 ロシア1-9月鉱工業生産発表
15-16日 米英仏など6カ国とイランの核協議(ジュネーブ)
15-17日 台北国際テキスタイルフェア
15-17日 平成25年度欧州大使会議(東京)
15日-11月4日 第114回中国輸出入商品交易会(広州)
16日 欧州評議会、常駐代表委員会(Coreper I)(ブリュッセル)
16日 欧州委員会、2013年の拡大のパッケージを採用(ブリュッセル)
16日 米伊首脳会談(ホワイトハウス)
16日 ロシア大統領、アルメニア訪問
16日 米国ニュージャージー州選出連邦上院議員補欠選挙
16日 ユーロスタット、9月消費者物価指数(CPI)発表
16日 米国9月消費者物価指数(CPI)、米地区連銀経済報告(ベージュブック)発表
16-17日 欧州経済社会委員会全体会議(ブリュッセル)
16-17日 欧州連合地域委員会、意見広告に関する欧州会議2013
16-17日 ロシア国防相、ブラジル訪問
16-18日 EU理事会、欧州連合(EU)の経済•金融ガバナンスに関する議員会議(ビリニュス)
16-19日 韓国機械展(KOMAF)2013(一山)
16-24日 カナダ総督、中国訪問
17日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(フランクフルト)
17日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
17日 米連邦債務上限引き上げ期限
17-18日 EU農水相理事会(ルクセンブルク)
17-18日 欧州委員会、TEN-Tの日2013:連結するヨーロッパ(エストニア)
17-18日 第12回欧州観光フォーラム(リトアニア)
17-18日 フィリピン大統領、韓国訪問
17-19日 ナイジェリア国際電力会議(アブジャ)
17-20日 靖国神社の秋季例大祭
17-28日 IMFミッション、ベラルーシ訪問
17-31日 国際労働機関(ILO)第319回理事会及びその委員会(ジュネーブ)
18日 EU外相理事会(貿易)(ルクセンブルク)
18日 WTO物品理事会(ジュネーブ)
18日 第51回日豪経済合同委員会(東京)
18日 中国第3四半期経済指標(GDP、固定資産投資、社会小売品販売総額など)発表
18-19日 イベロアメリカ首脳会議(パナマ)
18-20日 パキスタン首相、タイ訪問
18-21日 台北国際観光フェア
18日か21日 ロシア1-8月貿易統計発表
19日 モルディブ大統領選
19日 セルビア大統領、コソボ訪問
20日 皇后さま79歳の誕生日
20日 ルクセンブルグ下院議会選
20日 サンマリノ国民投票
20日 世界経済フォーラム・モスクワ会議
20日 都市づくりの将来に関する国際会議(北九州)
20日 ブラジル南部・南東部・中西部夏時間開始日
20日 佐賀市長選投開票
20-22日 第51回日豪経済合同委員会(東京)
20-22日 インド首相、ロシア訪問

 

【来週の予定】
21日 欧州委員会、交通のためのクリーンパワー会議(ブリュッセル)
21日 EU外相理事会(貿易)(ルクセンブルク)
21日 欧州委員会、EU労働法会議(ブリュッセル)
21日 欧州委員会、欧州における銃暴力を減らす情報を提示
21日 ベラルーシ-中国貿易と経済協力に関する委員会(北京)
21-22日 欧州議会本会議、委員会会議(ストラスブール)
21日か22日 ロシア9月雇用統計発表
21-24日 欧州議会本会議(ストラスブール)
21-24日 国連麻薬委員会(CND)、第37回アジア太平洋薬物取締機関長会議(HONLEA)(バンコク)
21-25日 日・EU経済連携協定(EPA)/FTA交渉会合(ブリュッセル)
21-25日 第8回アフリカ連合(AU)貿易相会議(エチオピア・アディスアベバ)
21-25日 職場の安全と健康のためのヨーロッパの週(スペインと欧州)
21-25日 女子に対する差別の撤廃に関する委員会(CEDAW)会合前作業部会(ジュネーヴ)
22日 EU一般問題理事会(ルクセンブルク)
22日 欧州委員会、2014年の戦略的な優先順位を採用(ストラスブール)
22-25日 国際港湾、物流および海洋環境産業展(MARINE WEEK)2013(釜山)
23日 欧州評議会、常駐代表委員会(Coreper I)(ブリュッセル)
23日 ブラジル大統領、米大統領会談(ワシントン)
23日 米パキスタン首脳会談(ホワイトハウス)
23日 欧州委員会、2000万の欧州企業の標準的な付加価値税の申告を提案(ブリュッセル)
23日 新潟県中越地震から9年
23-27日 第14回中国西部国際博覧会(成都)
24日 ブラジル9月月間雇用調査(失業率など)発表
24日 CIS外相会合(ベラルーシ・ミンスク)
24-25日 欧州理事会(ブリュッセル)
24-26日 カナダ総督、モンゴル訪問
25日 CIS首脳会合(ミンスク)
25日 日伯貿易投資産業協力合同委員会(ブラジリア)
25日 マダガスカル大統領選
25日 チェコ共和国議会選
25-26日 チェコ総選挙
27日 グルジア大統領選
27日 アルゼンチン両議会選
27日 宮城県知事選、川崎市、神戸市長選
27日 欧州各国冬時間入り


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問