外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2013年9月3日(火)

外交・安保カレンダー(9月2-8日)

[ 2013年外交・安保カレンダー ]


先週末はCNNテレビに「釘付け」となった。オバマ大統領がシリア政府軍による化学兵器使用を確信し、限定的軍事介入を決断した。ここまでは驚かなかったが、対シリア攻撃の権限について米議会に承認を求めたと聞いて我が耳を疑った。

中途半端というか、稚拙というか、良い形容詞が思い浮かばない。今回の対シリア政策の意思決定はオバマ政権の典型的外交として永く語り継がれるだろう。数年後には世界中の大学の国際関係学科で絶好の教材となるのではなかろうか。

オバマ大統領の仕事はイラク・アフガンからの米軍撤退と米国内の再建であり、海外での新たな軍事介入には極めて慎重だった。エジプトでクーデターが起きようが、シリアで内戦が激化しようが、知ったことではなかったはずだ。つい最近までは。

ところが先月大統領は突然政策を変更し、シリアによる化学兵器使用は「レッドライン」発言が飛び出した。化学兵器の非人道性を思うあまりの衝動的な発言だったのか。理由はよく分からない。

とにかく、大国の最高指導者が一度「レッドライン」に言及した以上、その一線が破られれば、軍事力を投入しなければならない。これはもう化学兵器の非人道性の問題ではなく、米国大統領の威信とクレディビリティの問題なのである。

大統領が米議会に承認を求めたことも解せない。物事にはタイミングがあるだろう。この時点での議会承認要請は事実上の責任放棄ではないのか。今頃中東や欧州の米国の友人たちは大いに落胆し、米国の敵は歓喜の声を上げているだろう。

この判断の外交的悪影響は計り知れない。シリアのアサド政権は一息ついて態勢を立て直せる。どうせ限定攻撃しか出来ないとなれば、シリアは米国の足元を見る。内戦は続き、化学兵器が再び使用される可能性すらあるだろう。

問題はアサド政権の自国民へのサリン兵器使用ではないのか。如何なる経緯があるにせよ、アサド政権には出来るだけ早く正しくかつ厳しいメッセージを届ける必要がある。今週はこのくらいにしておこう。

 
9月2日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
2日 トロント、NY休場(レーバーデー)
2日 原子力委の在り方見直しのための有識者会議
2日 産業競争力会議(首相官邸)
2日 関西電力の大飯原発3号機が停止
2-4日 UNCTAD、戦略的枠組みとプログラム予算に関する作業部会、第65回セッション(ジュネーヴ)
2-5日 G20財務次官級会合(サンクトペテルブルク)
2-13日 障害者の権利に関する委員会、第10セッション(ジュネーヴ)
2日-12月10日 韓国通常国会開会(会期100日)
3日 ブラジル7月鉱工業生産指数発表
3日 トルコ8月消費者物価指数(CPI)発表
3日 中国8月非製造業PMI発表
3日 米8月製造業PMI改定値、7月建設支出、8月ISM製造業景気指数発表
3-5日 ドイツ大統領、フランス訪問
3-6日 ユニセフ第二通常理事会(ニューヨーク)
3-13日 中国主席が中央アジア歴訪
4日 欧州評議会、常駐代表委員会(Coreper II)(ブリュッセル)
4日 欧州委員会、影の銀行システムにおける通信を採用し、規制案を提案
4日 女性の一村一品セミナー(インドネシア・バリ)
4日 オバマ大統領、北欧諸国の大統領ら会談(サンクトペテルブルク)
4日 ユーロスタット、第2四半期実質GDP成長率発表
4日 米国7月貿易統計、米地区連銀経済報告発表
4日 世界経済フォーラム「国際競争力リポート2013-2014」発表
4日 総合資源エネルギー調査会第3回基本政策分科会(経産省)
4日 婚外子相続裁判、最高裁大法廷が憲法判断
4-5日 オバマ大統領スウェーデン訪問
4日か5日 ロシア8月消費者物価指数(CPI)発表
4-5日 IOC理事会(ブエノスアイレス)
4-5日 日銀政策委・金融政策決定会合
4-6日 第5回ハノイ部品調達展示商談会(ハノイ)
4-6日 トルコ首相、ロシア訪問
4-9日 安倍首相、G20とIOC総会出席の為、ロシアとアルゼンチンを訪問
4-9日 若林健太外務大臣政務官、アルゼンチン訪問
5日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(フランクフルト)
5日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
5日 日越経済フォーラム(ハノイ)
5日 ギリシャ外相、エジプト訪問
5-6日 G20首脳会議(ロシア・サンクトペテルブルク)
5-6日の間、日露首脳会談(サンクトペテルブルク)
5-6日 ロシア、中国首脳会談(ニューヨーク)
6日 日銀、金融経済月報公表
6日 秋篠宮ご夫妻の長男、悠仁さま7歳の誕生日
6日 欧州評議会、常駐代表委員会(Coreper I)(ブリュッセル)
6日 ブラジル8月IPCA発表
6日 米国8月雇用統計発表
6-7日 極東投資会議(ウラジオストク)
7日 モルディブ大統領選
7日 オーストラリア総選挙
7日 EU外相理事会(非公式)(リトアニア)
7日 第20回APEC中小企業相会合(バリ)
7-8日 トルコ首相、アルゼンチン訪問
7-10日 第125回国際オリンピック委員会総会(ブエノスアイレス)
7-11日 韓国大統領、ベトナム訪問
8日 モスクワ市長選挙
8日 茨城県知事選
8日 中国8月貿易統計発表
8-10日 EU農水相理事会(非公式)(リトアニア)
8-11日 英国労働組合会議(TUC)年次総会(ボーンマス)


【来週の予定】
9日 ノルウェー総選挙
9日 米国議会再開
9日 WTO一般理事会(ジュネーブ)
9日 中国8月消費者物価指数(CPI)発表
9日 トルコ7月鉱工業生産指数発表
9-11日 東アフリカ電力産業会議「EAPIC」(ケニア・ナイロビ)
9-12日 欧州議会本会議、委員会会議(ストラスブール)
9-13日 全ての移住労働者の権利とその家族の保護に関する委員会、第19セッション(ニューヨーク)
9-13日 UNDP/UNFPA/ UNOPS、第2通常理事会(ニューヨーク)
9-13日 IAEA理事会(ウィーン)
10日 ケニアのルト副大統領のICC公判開始
10日 UNEP第124回常駐代表委員会会議(ナイロビ)
10日 トルコ第2四半期GDP発表
10日 中国8月経済指標(国定資産投資、社会消費品小売総額など)発表
10日 日銀議事録(8月7、8日分)
10-13日 ブラジル食品見本市「Equipotel」(サンパウロ)
10-13日 第4回クラスター弾に関する条約締約国会議(ザンビア)
10-27日 第24回国連人権委員会(ジュネーヴ)
11日 「アイヌ政策推進会議」の全体会合(札幌)
11日 欧州評議会、常駐代表委員会(Coreper I、II)(ブリュッセル)
11日 欧州委員会、結ばれた大陸の為の立法パッケージを採用:通信単一市場を構築(ブリュッセル)
11-12日 茂木敏充経済産業相訪印(9月12日に日印エネルギー対話)
11-12日 店頭市場デリバティブ改革に関する会議(パリ)
11-13日 世界経済フォーラム夏季ダボス会議(中国・大連)
11-13日 アジアエネルギー長官会議(ソウル)
11-13日 トルクメニスタン大統領、来日
11-14日 モンゴル国首相、来日
10-14日 日印エネルギーフォーラム2013(インド)
12日 ブラジル7月月間小売り調査発表
12日 インド7月WPI、消費者物価指数(CPI)、IIP発表
12-14日 第7回再生エネルギー・インド・エキスポ2013(ニューデリー)
13日 上海協力機構首脳会議(キルギス・ビシケク)
13日 プーチン大統領、イラン大統領と会談(キルギスタン)
13-14日 EU経済・財務相(ECOFIN)理事会(非公式)(リトアニア)
13-15日 ザ・フード・ショー(ニュージーランド・クライストチャーチ)
14日 豪議会選、国民投票
15日 マカオ議会選
15日 イスラエル8月消費者物価指数(CPI)発表
15日 関西電力の大飯原発4号機が停止
15-16日 EU運輸・通信・エネルギー担当相理事会(運輸)(非公式)(リトアニア)
15-16日 欧州遺産の日
15-17日 アウン・サン・スー・チー女史、チェコ訪問(プラハ)


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問