キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。
2013年6月11日(火)
[ 2013年外交・安保カレンダー ]
先週の米中首脳会談の結果は、実際のところ、どうだったのだろう。カリフォルニアの保養地での一泊二日の非公式な会談。米中首脳レベルとしては異例のサミットであり、米中関係が大いに進展したのではないかと疑心暗鬼になる人も多いだろう。
しかし、両国間の矛盾はあまりに根深く、簡単な解決などあり得ない。世界の中国専門家の注目点も、会談のサブスタンスというよりは、両首脳のケミストリーというか、相性というか、どこまで「馬が合う」かを見極めることだったのではなかろうか。
このような長時間の非公式会談は一種の「両刃の剣」だ。確かに、これだけ長く一緒に居れば、両首脳が仲良くなる可能性は高い。しかし、同時に懸念すべきは、これだけ長く一緒に居たために、逆に「馬が合わない」ことが露呈する可能性だ。
画像や動画で見る限り、習近平の動きはぎごちない。クリントン政権で副大統領だったアル・ゴアもそうだった。何をやっても動きが不自然で、「ピノキオ」という有難くない渾名まで拝命した。やはり習近平も人の子で、緊張していたのだろうか。
中国人に限らず、人は緊張すると、余裕がなくなる。オバマが知りたいのは中国側の本音だろうが、習近平は自ら本音を語るほど余裕があっただろうか。そもそも、いくら最高指導者でも、周りに他の中国人がいれば、本音はなかなか言いにくいものだ。
中国側にとって最悪のケースは、習近平が十分リラックスせず、せっかくの非公式でプライベートな環境を作ったのに、相変わらず公式見解を長々と喋り、恐らくオバマが望んだであろう当意即妙の議論を楽しむ機会が失われる場合だろう。
これだけ長く一緒に居て仲良くなれば大成功だが、万一、両者のケミストリーが合わなかった場合のコストは決して小さくない。現時点で両者の相性の結果は明らかではないが、長く話せば良いという訳ではないことも、頭の隅に置いておくべきだろう。
今週の注目は14日のイラン大統領選挙だ。やれ改革派だ、穏健派だなどと西側マスコミは騒ぐが、結局彼らのような政治家は大統領選に立候補できない。イランの選挙制度は相変わらず、ハーメネイに近い人間しか立候補できないシステムなのだ。
この監督者評議会(Guardian Council)がイランの「民主主義もどき」を如何に非民主的にしてきたことか。あれだけ民度の高いイラン人なのに、彼らはなぜこんな馬鹿なことを繰り返すのだろうか。本当に残念でならない。
アフマディネジャード大統領がいなくなっても、イランの政治は変わらないだろう。その間に、最高指導者だけが生き残り、イラン人庶民の生活が確実に悪化していく。こんなイランを見るのは実に忍びない。
6月10日 EU運輸・通信・エネルギー担当相理事会(運輸)(ルクセンブルク)
10日 シドニー休場(女王誕生日)
10日 社会保障制度改革国民会議(首相官邸)
10日 日本4月国際収支発表
10日 城内実外務大臣政務官、ポートモレスビー(パプアニューギニア)訪問
10-11日 日銀政策委・金融政策決定会合
10-12日 第12回ライフサイエンス技術大会IAIT−BioMed(イスラエル・テルアビブ)
10-12日 ペルー大統領、訪米
10-12日 上海市場は端午節で休場(12日まで)
10-13日 欧州議会本会議(ストラスブール)
10-13日 2013中国北京国際節能環保展覧会(北京)
10-13日 第1回アフリカ・パームオイル会議(コートジボワール・アビジャン)
10-14日 EU・モルドバFTA交渉会合
10-14日 第23回海洋法に関する国際連合条約締約国会議(ニューヨーク)
10-14日 第20回アフリカ連合(AU)産業相閣僚会議(ケニア・ナイロビ)
10-16日 皇太子殿下、スペイン訪問
11日 黒田東彦日銀総裁会見
11日 欧州委員会、EUの鉄鋼業界を活性化するため行動計画発表(ストラスブール)
11日 欧州委員会、独占禁止損害アクション提案を採用(ブリュッセル)
11日 欧州単一空域パッケージ委員会(フランス)
11-12日 WTO・TRIPS理事会(ジュネーブ)
11-12日 ヨーロッパの中小企業会議(ダブリン)
11-13日 米ゲーム見本市「E3」(ロサンゼルス)
11-21日 ITU理事会(ジュネーヴ)
12日 欧州委員会、税金詐欺や脱税に対抗する拡張自動情報交換を提案(ブリュッセル)
12日 城内実外務大臣政務官、ブカ(ブーゲンビル自治州)訪問
12日 産業競争力会議(首相官邸)
12日 日銀、金融経済月報公表
12日 インド4月WPI、CPI、IIP発表
12-13日 ソマリア投資サミット(ナイロビ)
12-14日 欧州委員会、委員ハーンがギリシャとルーマニアを訪問
12-15日 ニュージーランド農業見本市(ハミルトン)
12-21日 宇宙空間平和利用委員会、第56回セッション(ウィーン)
13日 千葉市長任期満了
13日 欧州委員会、新しい原子力安全指令を提案する委員会(ブリュッセル)
13日 社会保障制度改革国民会議(首相官邸)
13日 経済財政諮問会議(首相官邸)
13日 ECB月報
13日 米5月輸入物価指数
13日 ブラジル4月月間小売り調査発表
13日 米国5月小売売上高統計発表
13-14日 第40回 包括的核実験禁止条約機関準備委員会(ウィーン)
13-14日 アクティブおよび健康な高齢化に関するEUサミット(ダブリン)
13-14日 欧州空間計画観測ネットワーク(ESPON)会議(ダブリン)
13-16日 ゴルフ全米オープン
14日 イラン大統領選
14日 EU外相理事会(貿易)(ルクセンブルク)
14日 日・クウェート租税条約、発効
14日 EU司法・内務に関するEU-米閣僚間会合(ダブリン)
14日 城内実外務大臣政務官、ホニアラ(ソロモン諸島)訪問
14日 日銀議事録(5月21、22日分)
14日 成長戦略と「骨太の方針」を閣議決定
14日 韓国2012年国・地域別経常収支発表
14日 ユーロスタット、5月CPI発表
16日 静岡県知事選
16日 文化遺産のための欧州連合(EU)賞(アテネ)
16-27日 世界遺産委(プノンペン)
【来週の予定】
17日 欧州委員会、雇用創出を後押しする公共雇用サービスのネットワークを提案する委員会(ブリュッセル)
17日 オバマ米大統領がロシアのプーチン大統領と会談(北アイルランド)
17日 米NY連銀製造業景気指数発表
17-18日 G8首脳会議(英国・ロックアーン)
17-18日 オバマ大統領、北アイルランド訪問
17日か18日 ロシア第1四半期経済活動別GDP統計発表
17-19日 持続可能な開発目標に関するオープン作業部会(ニューヨーク)
17-20日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
17-21日 UNCTAD第5回貿易開発委員会(ジュネーヴ)
17-21日 第20回拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約委員会(ジュネーヴ)
17-21日 子どもの権利委員会、会合前ワーキンググループ、第65回セッション(ジュネーヴ)
17-23日 パリ国際航空ショー
18日 EU環境相理事会(ルクセンブルク)
18日 EU外相理事会(貿易)(ルクセンブルク)
18日 CIS経済理事会(モスクワ)
18日 米大統領 メルケル首相と会談(ベルリン)
18日 米国5月CPI発表
18日か19日 ロシア1-5月鉱工業生産指数発表
18-19日 米大統領が訪独
18-19日 米国連邦公開市場委員会(FOMC)
18-20日 第4回東アフリカ・石油・ガス・エネルギー会議(ナイロビ)
18-20日 台北国際フラットパネルディスプレー見本市
18-20日 第12回貧困体験者の欧州会議
18-21日 コミュニックアジア2013(情報通信機器展示会)(シンガポール)
19日 エジプト議会選(第4ステージ)
19日 国連Habitatの常任委員会、第49回会合(ナイロビ)
19日 ブリュッセル経済フォーラム(ブリュッセル)
19日 南ア、南アフリカ準備銀行、「四季報」(第1四半期)発表、5月消費者物価指数発表
19-20日 第5回中韓グリーン経済協力フォーラム(中国・青島)
20日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(フランクフルト)
20日 ECB一般理事会(フランクフルト)
20日 ユーロ・グループ(非公式ユーロ圏財務相会合)(ルクセンブルク)
20日 WTOサービス理事会(ジュネーブ)
20日 ブラジル5月月間雇用調査(失業率など)発表
20-21日 EU雇用・社会政策・健康・消費者問題担当相理事会(ルクセンブルク)
20日か21日 ロシア1-4月貿易統計発表
20-22日 サンクトペテルブルク国際経済フォーラム
20-23日 ゴルフ日本ツアー選手権
20-23日 台湾国際医療産業見本市(台北)
21日 EU経済・財務相(ECOFIN)理事会(ルクセンブルク)
21日 ネパール制憲議会の再選挙
21日 黒田日銀総裁が全国信用金庫大会であいさつ
23日 アルバニア議会選
23日 東京都議選投開票
23日 沖縄慰霊の日
宮家 邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問