キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。
2013年4月16日(火)
[ 2013年外交・安保カレンダー ]
先ずはアジアから始めよう。
先週末から米国のケリー新国務長官が韓国、中国、日本を歴訪している。北朝鮮がこの間にミサイル発射するでは、との予想もあったが、どうなるのか。世界は再びピョンヤンに振り回されつつあるようだ。
そもそも、日米中韓は戦争に訴えてまで北朝鮮の核問題を解決する気はない。案の定、韓国のパックネ大統領が北朝鮮との対話を提案。予想通り、北朝鮮はこれを拒否したが、今後も交渉は続きそうだ。これが北朝鮮の常套手段なのだから・・・。
それにしても、こんな田舎芝居を北朝鮮は何時まで続ける心算だろう。強面、軟化、対話、代償、合意、ちゃぶ台返し、関係悪化、強面・・・・プレーヤーは変わるが、このサイクルだけは変わりそうもない。
15日のケリー国務長官の東工大演説は誰が書いたか知らないが、内容は退屈だった。ケリー長官が「リバランス」についてどれほど本気かは次のパラグラフを読めば分かる。要するに、言葉には出すが、気持ちは伝わらない。やはりケリーらしいなと思った。
Some people might be skeptical of America's commitment to this region. Well, let me be clear: President Obama made a smart and a strategic commitment to rebalance our interests and investments in Asia.
My commitment to you is that as a Pacific nation that takes our Pacific partnership seriously, we will continue to build on our active and enduring presence.
ケリー訪日で唯一興味深かったのは次の尖閣問題に関する発言、特に最後の部分が重要だと思う。確かこれは日米外相会談後の記者会見での発言だったと記憶する。
The United States, as everybody knows, does not take a position on the ultimate sovereignty of the islands. But we do recognize that they are under the administration of Japan. And we obviously want all the parties to deal with territorial issues through peaceful means. Any actions that could raise tensions or lead to miscalculations all affect the peace and the stability and the prosperity of an entire region. And so we oppose any unilateral or coercive action that would somehow aim at changing the status quo.
「一方的、強制的に現状を変更しようとするいかなる行動にも反対する」という言い方はヒラリ-・クリントン前長官が使った表現であり、ケリーが再び日本でこれを明言したことはそれなりの意味がある。まあ、まあ、これなら合格かなぁ、という感じだ。
欧州ではインド・EUと日本・EUの自由貿易協定交渉が15日から始まる。一昔前はEU側が対日貿易交渉に消極的だったといわれていたが、最近のユーロ危機もあってか、状況が変わったのかもしれない。そうであれば、大変結構な話である。
同じ15日、米国のドニロンNSC補佐官が訪露し、ミサイル防衛について話し合う。日本版NSCが出来たら、誰がこのような役割を果たすのか、誰がドニロンのカウンターパートになるのだろうか。考えれば考えるほど、実に難しい問題だ。
同じく15日、パキスタンでは最高裁がムシャラフ元大統領の国家反逆罪容疑に関し公聴会を開く。5月11日にパキスタン下院選挙があり、与党は苦戦が予想されているという。ムシャラフもムシャラフだが、パキスタン内政の混迷は続きそうだ。
4月15日 故金日成主席の誕生日、北朝鮮で軍事パレード
15日 安倍首相がケリー米国務長官と会談(首相公邸)
15日 ケリー米国務長官、東工大でアジア外交演説
15日 アウン・サン・スー・チー女史、京都大と龍谷大で講演
15日 東京ディズニーランド開業30周年
15日 バローゾ欧州委員長、国連本部で演説
15日 米NY連銀製造業景気指数発表
15日 米国財務省が外国為替報告書を議会に提出
15日 アラブ首長国連邦(UAE)2012年CPI年次報告発表
15日 欧州委員会、人身売買への取り組み:EUの反人身売買指令の発効(ブリュッセル)
15日 黒田日銀総裁、あいさつ要旨公表
15日 米倉弘昌経団連会長が石原伸晃環境相と懇談
15日 教育再生実行会議(官邸)
15日 日銀支店長会議(日銀)
15日 ユーロ圏2月貿易収支発表
15日 米4月ニューヨーク連銀製造業景気指数発表
15日 中国第1四半期経済指標(GDP、CPI、固定資産投資、社会小売品販売総額など)発表
15日 米4月NY連銀製造業景気指数
15-16日 第4回日・ニュージーランド会議(東京)
15-16日 エネルギー政策および気候変動に関する国際会議(ヨハネスブルク)
15-18日 欧州議会本会議、委員会会議(ストラスブール)
15-19日 行政に関する専門家委員会、第12回会合(ニューヨーク)
15-19日 第9回障害者の権利に関する委員会(ジュネーブ)
15-19日 日EU経済連携協定(EPA)交渉の第1回会合(ブリュッセル)
15-26日 第18回移住労働者とその家族すべての権利の保護に関する委員会(ジュネーブ)
15日-5月5日 第113回中国輸出入商品交易会(広州)
16日 IMF世界経済見通し(World Economic Outlook)
16日 欧州委員会、自然および人為的災害に対する欧州の準備態勢を強化(ブリュッセル)
16日 欧州委員会、非金融と多様性の情報開示法案を提案(ストラスブール)
16日 北大西洋条約機構(NATO)事務総長、来日最終日
16日 新経済連盟主催の「新経済サミット2013」(東京)
16日 総合資源エネルギー調査会総合部会電気料金審査専門委(経産省)
16日 2013年度予算案が衆院通過予定
16日 経済財政諮問会議
16日 岸田外相、ミャンマー国民民主連盟(NLD)アウン・サン・スー・チー党首と会談
16日 オリンパスとソニーの共同出資会社「ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ」発足
16日 IMF、各国の債務状況を評価した財政モニター報告書の発表会見
16日 米国3月消費者物価指数発表
16日 ユーロスタット、3月消費者物価指数、4月ZEW景況感調査発表
16日 米3月住宅着工・消費者物価・鉱工業生産発表
16-17日 ブラジル中銀、COPOM
16-17日 国際希少疾患研究コンソーシアム会議(ダブリン)
16-18日 第9回国際精神科会議「科学、文化と精神科の橋渡し」(サウジアラビア・ジッダ)
16-18日 イラン大統領、ガーナ訪問
17日 IMF国際金融安定性報告書(Global Financial Stability Report)
17日 米ブラジル間の開かれた政府•パートナーシップ会議2013(ブラジル)
17日 欧州評議会、常駐代表委員会(Coreper I)(ブリュッセル)
17日 欧州委員会、2015国際気候協定のステークホルダー会議(ブリュッセル)
17日 故サッチャー元英首相の葬儀(ロンドン)
17日 米比合同軍事演習終了
17日 党首討論
17日 産業競争力会議
17日 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
17日 南ア3月消費者物価指数発表
17-18日 EU外相理事会(非公式、貿易)(ダブリン)
17-18日 欧州経済社会委員会本会議(ブリュッセル)
17-18日 ブラジル中央銀行(BCB)、金融政策決定理事会
17、19日 WTO加盟国通商政策レビュー:メキシコ(ジュネーブ)
17-19日 公共部門における付加価値税と公共利益のための免除(ヴェネチア)
17-20日 第69回中国国際医療機器博覧会(CMEF2013)(深セン)
18日 春の園遊会(赤坂御苑)
18日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(フランクフルト)
18日 欧州委員会、地域(結束)政策について報告(ブリュッセル)
18日 財務省、3月通関ベース貿易収支発表
18日 イタリア次期大統領の選出投票を開始
18日 米3月景気先行指数、4月フィラデルフィア連銀景況指数
18日 ブラジル中央銀行(BCB)政策金利発表
18-19日 G20財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン)
18-19日 デジタルワールドへの信頼に関する会議(ブリュッセル)
19日 秋田県知事任期満了
19日 欧州評議会、常駐代表委員会(Coreper I)(ブリュッセル)
19日 安倍首相、成長戦略について記者会見
19日 社会保障制度改革国民会議
19日 インド休場
19日 内閣府、2月景気動向指数発表
19日 ユーロ圏2月経常収支発表
19-21日 IMF・世界銀行春季総会(ワシントン)
19、22日 日EU政治協定交渉の第1回会合(東京)
19-26日 第22回犯罪防止と刑事司法委員会(ウィーン)
20日 イラク地方議会選挙
20日 中露外相会談(モスクワ)
20日 IMF・世銀合同開発委(ワシントン)
20日 国際通貨金融委(IMFC)(ワシントン)
20日 首相主催「桜を見る会」(新宿御苑)
20-21日 APEC貿易相会議(インドネシア・スラバヤ)
21日 パラグアイ大統領・上下院総選挙
21日 コートジボワール国民議会選挙、地方選挙
21日 名古屋市長、松江市長、宮城県石巻市長選挙
21-29日 上海モーターショー
【来週の予定】
22日 エジプト下院選
22日 欧州総務理事会(ブリュッセル)
22日 大西洋経済の相互依存と政策課題に関する会議(ニューヨーク)
22-23日 EU外相理事会(ルクセンブルク)
22-23日 EU農水相理事会(ブリュッセル)
22-23日 EU環境相非公式理事会(ダブリン)
22-23日 再生可能な暖房および冷却に関する欧州会議(ダブリン)
22-25日 欧州議会委員会(ブリュッセル)
22-26日 日・カナダ経済連携協定(EPA)交渉第2回会合(オタワ)
22-26日 第46回人口と開発に関する委員会委員(ニューヨーク)
22-26日 第146回FAO評議会(ローマ)
22-5月2日 第35回国連情報委員会(ニューヨーク)
23日 ブータン議会選
23日 EU一般問題理事会(ブリュッセル)
23日 名古屋市長選挙
23-24日 EU運輸・通信・エネルギー担当相理事会(非公式、エネルギー)(ダブリン)
23-26日 トリニダード・トバゴ首相、カナダ訪問
24日 韓国国会議員補欠選挙
24日 欧州評議会、常駐代表委員会(Coreper I、II) (ブリュッセル)
24-25日 第22回ASEANサミット(ブルネイ)
24-25日 第45回日韓経済人会議(ソウル)
25日 ウェリントン、シドニー休場(アンザックデー)
25日 JR福知山線脱線事故から8年
25日 フランス領ポリネシア議会選(第1ラウンド)
25日 国連計画調整委員会(ニューヨーク)
25日 ブラジル3月月間雇用調査(失業率など)発表
25-5月1日 第69回アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)(バンコク)
26日 日銀政策委・金融政策決定会合、経済・物価情勢の展望公表
26日 大阪駅北側再開発エリア「うめきた」の先行開発区域「グランフロント大阪」が開業
27日 アイスランド議会選
27日 名古屋市長選挙
28日 参院山口補欠選挙
28日 「主権回復」式典
29-30日 日・EUビジネスラウンドテーブル年次会合(パリ)
29-30日 安倍首相、ロシア訪問
29-5月17日 第50回経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会(ジュネーブ)
宮家 邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問