外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2013年4月3日(水)

外交・安保カレンダー(4月1-7日)

[ 2013年外交・安保カレンダー ]


4月1日だが筆者は今年も嘘はつかない。北朝鮮では最高人民会議が開かれている頃だが、結果はどうだろうか。本来ならしっかりした経済改革の可能性を議論しても良いのだが、南北が「戦争状態」となった以上、それどころではないということか。

米軍はF-22を米韓合同訓練に投入し、北朝鮮側はこれに強く反発しているようだ。しかし、今の北朝鮮空軍が相手であれば、第五世代のF-22を投入するまでもなく、第四世代のF-15やF-16で楽勝の筈なのに。これもプロパガンダによる抑止だろう。

朝鮮半島を巡る動きは全ての関係国で思惑が異なっているが、唯一の共通点は、結果があまりにも明白な戦争など誰も再開する気がないということだ。北朝鮮が暴発でもしない限り、戦争は起こらないだろう。全ては戦術的な動きである。

つまり、北朝鮮側が合理的判断をし続ける限り、つまり戦争の始まりが体制の終わりを意味することを理解し続ける限り、北朝鮮が本気で戦争を仕掛けることはない。誰もがそれを心の中で理解しているが、誰も一抹の不安を捨てきれないのである。

今週筆者にとって最も気になるニュースは米海軍が最新鋭LCS(littoral combat ship沿海域戦闘艦)「フリーダム」をシンガポールに派遣することだ。同艦は40ノット以上の高速航行が可能。掃海・対潜水艦作戦もこなす優れものである。

興味深いのは同艦の対シンガポール派遣期間だ。対外的には10ヶ月とされており、決して常駐ではないという整理だが、専門家は誰もそんな話を信じない。シンガポールへのLCS派遣はローテーション方式と説明されるが、実態は前方展開である。

勿論、主な目的は南シナ海での海洋進出を狙う中国海軍に対する牽制だ。シンガポールは表向き全方位外交で独自性を保っているように見えるが、実態は米海軍を常駐させ、保険を掛けつつある。この二枚舌外交も小国ならでは、である。

そもそもの間違いは1992年にフィリピンがスービック基地から米海軍を追い出し、南シナ海に「力の真空」を作り出したことだ。そのフィリピンが中国海軍にやりたい放題やられている。これを仏教では因果応報という。

 
 

4月1日 日銀短観(3月分)
1日 ウェリントン、シドニー、香港、ロンドン、フランクフルト、パリ、チューリッヒ、南ア休場(イースター休暇)
1日 北朝鮮最高人民会議(平壌)
1日 インドで新・直接税法施行
1日 英国で法人所得税率引き下げ(26.0→24.0%)
1日 欧州連合地域委員会、若年雇用と高齢者会議(ブリュッセル)
1日 改正高年齢者雇用安定法施行
1日 改正労働契約法施行
1日 障害者の法定雇用率引き上げ
1日 財政制度等審議会財政制度分科会(財務省)
1日 産業競争力会議テーマ別会合(科学技術イノベーション・ITの強化)開催(内閣府)
1日 自賠責保険の保険料を全車種平均で13.5%引き上げ
1日 輸入小麦の政府売り渡し価格を平均9.7%引き上げ
1日 日本製紙グループ本社を日本製紙が合併、純粋持ち株会社制廃止
1日 日立金属と日立電線が合併
1日 三菱重工業とニチユがフォークリフト事業を統合
1日 コニカミノルタホールディングスがグループ7社を吸収合併しコニカミノルタに社名変更
1日 ハザマと安藤建設が合併
1日 全日本空輸の持ち株会社ANAホールディングスが発足
1日 東京電力がスマートメーターの通信システムの発注先決定、社内カンパニー制導入
1日 中国3月製造業PMI発表
1日 米3月ISM製造業景況指数発表
1-2日 第5回バリ・プロセス地域閣僚会議、鈴木俊一外務副大臣出席(バリ・インドネシア)
1-19日 軍縮委員会、年次会合(ニューヨーク)
1-30日 韓国臨時国会
2日 松竹、新しい歌舞伎座でこけら落とし公演開始
2日 ユーロスタット、2月失業率発表
2日 米2月製造業新規受注、3月自動車販売統計発表
2日 ブラジル2月鉱工業生産指数発表
2日 発送電分離に向けた方針、閣議決定予定
2-5日 日・モンゴル経済連携協定(EPA)交渉の第3回会合(ウランバートル)
3日 第9回ASEAN中央銀行総裁会合(ブルネイ)
3日 城内実外務大臣政務官、タジキスタン共和国,マケドニア旧ユーゴスラビア共和国及びアルバニア共和国から帰国
3日 菅義偉官房長官、沖縄訪問
3日 中国3月非製造業PMI発表
3日 ユーロ圏3月消費者物価指数発表
3日 米3月ADP雇用者数・ISM非製造業景況指数発表
3-4日 日銀政策委・金融政策決定会合
3-6日 第2回APECビジネス諮問委員会会合(シンガポール)
4日 日銀政策金利発表、黒田日銀総裁の記者会見
4日 第17回ASEAN財務相会合(AFMM)(ブルネイ)
4日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会、ECB政策金利発表(フランクフルト)
4日 2014年から2020年のプログラミング期間のための国家開発会議(アテネ)
4日 社会保障制度改革国民会議
4日 ユーロ圏2月生産者物価指数発表
4日 FRB副議長、シカゴ連銀総裁の講演
4日 香港・上海市場休場(清明節)
5日 日銀、金融経済月報公表、
5日 CIS外相会合(タシケント)
5日 香港・上海市場休場(清明節)
5日 米国3月雇用統計、2月貿易統計発表
5-6日 イラン核問題に関する政治会談(カザフスタン・アルマトイ)
5-6日 環境保護に関するバルト海沿岸諸国会議(サンクトペテルブルク)
6-8日 ボアオ・アジア・フォーラム(中国・海南省)
7日 モンテネグロ大統領選
7日 豪州およびNZで夏時間終了、冬時間に移行
7日 秋田県知事選
7日 青森、富山各市長選告示(14日投開票)
7日 名古屋市長選告示(21日投開票)
7日 競馬桜花賞(阪神)
7-8日 プーチン・ロシア大統領がドイツ訪問

 
 

【来週の予定】
8日 プーチン・ロシア大統領がオランダ訪問
8日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
8日 財務省、2月経常収支、2月貿易収支発表
8日 内閣府、3月景気ウォッチャー調査発表
8日 白川日銀総裁任期満了
8日 欧州経済社会委員会、「農業におけるスマートかつ持続可能な水利用に向けて」公聴会(ブリュッセル)
8-9日 定型および非定型労働契約に関する会議(ワルシャワ)
8-12日 アフリカ連合(AU)労働・社会問題委員会 第9回通常会合(エチオピア・アディスアベバ)
8-12日 アドホック委員会の設立(ニューヨーク)
8-12日 ハノーバー・メッセ
8-19日 宇宙空間平和利用委員会、法務部会、第52回セッション(ウィーン)
8-19日 強制失踪に関する委員会、第4回会合(ジュネーブ)
9日 日銀議事録(3月6、7日分)
9日 欧州経済社会委員会、「合法、安全、規制されたオンラインギャンブルに向けて:ユートピアか現実か?」公聴会(ブリュッセル)
9日 欧州市民イニシアチブデー2013(ブリュッセル)
9日 米2月卸売在庫発表
9日 中国3月消費者物価指数発表
9-11日 第16回ロシア自動車フォーラム(モスクワ)
9-11日 国連欧州経済委員会、第65回会合(ジュネーブ)
10日 米国大統領予算教書発表、連邦議会2014会計年度(2013年10月-2014年9月)の予算決議案作成に着手
10日 欧州地域委員会、グローバル化時代の産業政策に関する会議(ブリュッセル)
10日 国連人口賞委員会は、第2例会(ニューヨーク)
10日 米3月月次財政収支発表
10日 米連邦公開市場委(FOMC)議事録(3月19・20日分)
10日 ブラジル3月IPCA発表
10日 中国第1四半期貿易統計発表
10-11日 G8外相会議(ロンドン)
10-11日 第9回ASEAN経済共同体(AEC)諮問委員会会合(ブルネイ)
10-11日 ASEAN外務相会合(ブルネイ)
10、12日 WTO加盟国通商政策レビュー:インドネシア(ジュネーブ)
10-13日 ユーロ圏財務相会合(ダブリン)
11日 秋田市長任期満了
11日 北朝鮮の金正恩氏が朝鮮労働党第1書記就任1年
11日 参院山口選挙区補欠選挙が告示
11日 日銀、3月マネーストックM2+CD発表
11日 米3月輸入物価指数発表
11日 ブラジル2月月間小売り調査発表
11-12日 コモンウェルス・ウガンダ投資フォーラム
11-14日 ゴルフ マスターズ
12日 米国3月小売売上高統計発表
12日 インド2月卸売物価指数、消費者物価指数、工業生産指数発表
12日 米国3月小売売上高統計発表
12-13日 EU経済・財務相(非公式)(ECOFIN)理事会(ダブリン)
12-13日 ユーロ・グループ(非公式ユーロ圏財務相会合)(ダブリン)
13日 エジプトのムバラク前大統領らのやり直し裁判開始
13日 EU財務相理事会(ダブリン)
13-19日 アウン・サン・スー・チー女史、来日
14日 富山市長選挙
14日 青森市長選挙
14日 ベネズエラ大統領選挙
14日 カメルーン議会選
14日 ウクライナ、輸入乗用車に対する特別関税導入

 


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問