キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。
2013年2月5日(火)
[ 2013年外交・安保カレンダー ]
今週は欧州で重要な会議が開かれる。EUがブラッセルでマリ情勢に関する国際会議をホストするのだ。これには国連、AU(アフリカ連合)、ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)が参加する。
中東・アフリカ問題については先週、「日本人は熱くなるのも早いが、冷めるのも早い」と書いたばかりだが、日本で同会議に関する報道はほとんどない。既に日本人はマリ情勢に関する関心を失いつつあるようだ。この悪循環を断ち切ることは難しい。
今週気になるのは4日に開かれる日露戦略対話だ。2007年に第一回が開かれ今回が11回目。2007年には年間で3回も開催していたが、昨2012年は一回のみだった。今年から日ロ間の対話が再活性化されることを強く期待したい。
それにしても最近は「戦略対話」なるネーミングが流行っている。従来は必ずしも戦略的ではない戦略対話が散見された記憶がある。今回も「戦略」の名に恥じない重厚な議論をしてもらいたいものだ。
あまり報じられてはいないが、2月3日から7日まで、台湾最大野党・民進党の蘇貞昌主席が訪日している。振り返れば、民進党が政権を失ったのは2008年春。同年末から中国公船の尖閣列島領海侵入が始まった。これは決して偶然ではなかろう。国民党の馬英九総統の勝利により、台湾で不測の事態が起こる可能性が大幅に低下した、と中国は確信したのではないか。そう考えれば、中国が2008年以降、東シナ海でも、南シナ海と同様の強硬姿勢を示し始めた理由も理解できるだろう。
北朝鮮の新たな実験の実施は今週だろうか。いずれにせよ、時間の問題だろう。注目すべきは北朝鮮の態度ではなく、核実験後の中国の対応だ。中国が本気で北に圧力をかけるなら希望も出てくるが、恐らく中国は対北朝鮮政策を変えないだろう。そうであれば、北朝鮮をめぐる情勢は、何年かに一度やって来る古びた紙芝居のように、再び新たな進展のない堂々巡りとなる。このまま続けば、核弾頭だけが小型化していくということなのだろう、結局。
2月4日 衆参院 本会議
4日 カンボジア故シアヌーク前国王の火葬式
4日 麻生太郎財務相による財政演説
4日 第11回日露戦略対話(河相外務事務次官、ロシア連邦第一外務次官)(モスクワ)
4日 欧州評議会、一般問題理事会(ブリュッセル)
4日 第216回国連投資委員会(ニューヨーク)
4日 国連開発計画(UNDP)、国連人口基金(UNFPA)、国連プロジェクト・サービス機関(UNOPS)、ユニセフ、国連世界食糧計画(WFP)と国連女性機関の合同会議(ニューヨーク)
4日 メルケル独首相とモンティ伊首相の合同閣議・会見
4日 ケニー・アイルランド首相、バローゾ欧州委員長、ファンロンパイEU大統領、会談
4日 トルコ首相、チェコ訪問
4日 ユーロ圏12月生産者物価指数
4日 米12月製造業受注指数
4-5日 仏首相、タイ訪問
4-6日 米韓両軍、韓国東方沖で合同訓練
4-6日 第21回独立監査諮問委員会(ニューヨーク)
4-6日 第58回国連国際商取引法委員会作業グループⅡ(仲裁及び調停)(ニューヨーク)
4-7日 欧州議会本会議、委員会(ストラスブール)
4-7日 鉱業会議「マイニング・インダバ」(南ア・ケープタウン)
4-7日 第3回国際eラーニング・遠距離教育会議(リヤド)
4-8日 EU・アルメニアFTA交渉会合(ブリュッセル)
4-8日 国際海底機構、法および技術委員会(キングストン、ジャマイカ)
4-8日 子どもの権利委員会、第63回プレセッション作業グループ(ジュネーヴ)
4-8日 第106回国際麻薬取締委員会(ウィーン)
4-9日 経団連代表団、ミャンマー、カンボジアを訪問(米倉弘昌会長が初訪問)
5日 欧州委員会、アンチマネーロンダリングと資金振替法への変更を提案(ブリュッセル)
5日 欧州委員会、ユーロや他の通貨の保護を強化するための指令を提案(ブリュッセル)
5日 トルコ首相、ハンガリー訪問
5日 マリ情勢で国際会合(ブリュッセル)
5日 国連人口賞委員会、第一回会合(ニューヨーク)
5日 エコノミスト会議「アフリカ・サミット」(ロンドン)
5日 ユーロ圏12月小売売上高発表
5日 米1月ISM非製造業景況指数、米議会予算局半期報告発表
5日か6日 ロシア1月消費者物価指数発表
5-7日 EU・アルメニアFTA交渉会合(ブリュッセル)
6日 トルコ首相、スロバキア訪問
6日 ウェリントン休場(ワイタンギデー)
6日 経産省、総合資源エネルギー調査会総合部会電気料金審査専門委
6日 電気料金審査専門委員会
6-7日 イラン大統領、エジプト訪問
6-7日 EU通商担当、FTA交渉の為カナダを訪問
6-8日 第6回東アフリカ石油会議・展示会(タンザニア・アルーシャ)
6-15日 国連社会開発委員会第51回会議(ニューヨーク)
7日 欧州中央銀行(ECB)理事会(フランクフルト)
7日 欧州委員会、サイバーセキュリティ戦略に関する共同コミュニケーションの採用(ブリュッセル)
7日 第10回国際教育協力日本フォーラム(JEFX)(東京)
7日 IMFセミナーに中尾財務官ら出席、パネルディスカッション
7日 外務・防衛審議官級協議開催(ワシントン)
7日 ルクセンブルク首相とポーランド首相、会談
7日 衆院予算委員会初日
7日 米新規失業保険申請件数(2月3日までの週)
7日 ブラジル1月拡大消費者物価指数(IPCA)発表
7日 大学入試センター試験平均点の最終発表
7-8日 EU首脳会議(ブリュッセル)2014-20年のEU中期予算を再度話し合う予定
7-8日 EUフィナンシャル・サービスチーフ、イタリア訪問
7-18日 シカゴ自動車ショー(シカゴ)
8日 日本、集団的自衛権に関する有識者懇談会
8日 第6回国際漫画賞授賞式(東京)
8日 財務省、12月経常収支、貿易収支発表
8日 米国12月貿易統計発表
8日 中国1月消費者物価・生産者物価指数発表
9日 チュニジア大統領、ガザを初めて訪問
9-13日 ブラジル、カーニバル
9-15日 春節(中国・旧正月で休日)
10日 モナコ議会選挙
10日 復興庁設置から1年
10日 エジプト・ムバラク政権崩壊から2年
【来週の予定】
11日 東京休場(建国記念の日)
11日 ユーロ・グループ(非公式ユーロ圏財務相会合)(ブリュッセル)
11-13日 香港休場(旧正月)
11-15日 国連人権理事会、第4回作業部会(ジュネーヴ)
11-15日 国際農業開発基金(IFAD)、第36回政策理事会(ローマ)
11-22日 第50回国連宇宙空間平和利用委員会と科学技術小委員会(ウィーン)
11-3月1日 第54回女性差別撤廃委員会(ジュネーヴ)
11-3月8日 第82回人種差別撤廃委員会(ジュネーヴ)
12日 米国大統領一般教書演説
12日 国際原子力機関(IAEA)とイラン再協議
12日 日銀1月マネーストックM2+CD発表
12日 インド12月工業生産指数、消費者物価指数、卸売物価指数発表
12日 米1月月次財政収支
12日 東京穀物商品取引所がトウモロコシなど農産物4品目の先物取引を東京工業品取引所(東京商品取引所に名称変更)に、コメを関西商品取引所に移管
12-15日 国連経済社会委理事会
13日 ユーロ圏12月鉱工業生産・季調済 発表
13日 米1月輸入物価指数、小売売上高、12月企業在庫発表
13日 EU統計局(ユーロスタット)、冬季経済予測発表
13-14日 欧州経済社会評議会本会議(ブリュッセル)
13-14日 日銀政策委・金融政策決定会合
13-15日 第7回自動車関連国際会議「オートインベスト」(サンクトペテルブルク)
14日 ECB月例報告発表
14日 南ア大統領施政方針演説
14-16日 第10回アフリカ良質コーヒー協会(EAFCA)年次会合・展示会(ウガンダ・カンパラ)
14-16日 第10回クラスノヤルスク経済フォーラム(ロシア・クラスノヤルスク)
15日 トリニダード・トバゴ共和国、大統領選
15日 日銀、2月金融経済月報公表
15日 経済産業省、12月鉱工業生産公表
15日 ユーロ圏12月経常収支、貿易収支発表
15日 米12月対米証券投資、1月鉱工業生産、2月ニューヨーク連銀製造業景気指数発表
15日 欧州理事会、教育、青少年、文化・スポーツ評議会(ブリュッセル)
15日 欧州統計局、12月貿易統計発表
15日 米NY連銀製造業景気指数発表
15日 小惑星DA14が地球に接近予定
15-16日 G20財務相・中央銀行総裁会議(モスクワ)
15日か18日 ロシア1月鉱工業生産指数発表
16-18日 第7回コンピュータ建築設計会議(サウジアラビア・ジェッダ)
17日 キプロス大統領選
17日 エクアドル大統領選(第1ラウンド)、議会選
17日 第13回日本・サウジアラビア・ビジネスカウンシル(サウジアラビア・ダンマン)
17日 ブラジル南部・南東部・中西部夏時間最終日
宮家 邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問