キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。
2013年1月14日(月)
[ 2013年外交・安保カレンダー ]
日本ではあまり大きく報じられていないが、16日にマリの暫定政府大統領が訪仏し、オランド大統領と会談する。トラオレ暫定大統領は11日にマリ全土に非常事態を宣言、仏に対し既に軍事介入を要請している。当然、首脳会談の議題はこれだ。
11日、仏軍は国連安保理決議に基づきマリ国内イスラム過激派に対する空爆を始めたが、どうやらこの掃討作戦、あまり成果を挙げていないらしい。当然だろう、地上武装ゲリラを空爆だけで掃討することなど不可能に近いことは歴史が示している。
ナイジェリアなど西アフリカ諸国もこの軍事介入を支持しているようだが、日本のマスコミの関心は薄い。米国の軍事介入なら大騒ぎだろうが、フランスとアフリカだからなのか、トップニュースではない。バランスを失しているが、これが日本の現実だ。
欧州といえば、14日にギリシャの野党リーダーがドイツを訪問し、独財務相と会談する。まだこんな話し合いが続いていることをどう評価すべきか。「着実にしっかりやっている」のだろうか、少なくともユーロ危機が未だ解決していないことだけは確かだ。
同じ14日には中露の国営石油会社がロシアの対中石油輸出増量について協議を行う。中国の原油確保の動きは文字通り「手当たり次第」だ。昔日本で「油断」という本が売れたが、中国で本当に「油断」が起きたら、大変なことになると直感した。
14日からイスラマバードでアフガニスタン、イラン、パキスタンの貿易・商業大臣レベルの会合が開かれる。こんなニュースを読んでいると、アフガニスタンから米軍が撤退した後、この地域でイランの影響力が高まることは確実だろうと実感する。
16日から安倍首相がASEAN3カ国を早足で歴訪する。それは良いのだが、直前の15日から、何と鳩山元首相が訪中するという。「政界」を引退したはずではと思うのだが、「外遊」だけは別なのか。北京で何事も起きないことを祈りたい。
余計な訪問とはいわないが、米国の国務・国防・NSC次官補クラスが揃って14日から韓国と日本にやってくる。更に、18日には日本の外務大臣が訪米し、二人の外務大臣政務官も同時期に忙しく外遊する。
どこかドタバタ感を禁じ得ないのだが、米大統領就任式や日本の国会等日程の都合だから仕方ないか。本来は国会中でも外務大臣が自由に外遊できるように、副大臣や政務官のポストを作ったはずなのに。これでは本末転倒ではないか。
1月13-14日 城内実外務大臣政務官、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)第3回総会(閣僚級)出席(アラブ首長国連邦)
14日 東京休場(成人の日)
14-20日 パネッタ国防長官、ポルトガル、スペイン、イタリア、英国訪問
14日 欧州議会本会議(ストラスブール)
14日 人権理事会総会(ジュネーヴ)
14日 ノルウェー外相、アゼルバイジャン訪問
14-15日 アジア金融フォーラム(香港)
14-15日 インド国防長官、中国訪問
14-17日 欧州議会本会議、委員会(ストラスブール)
14-18日 第2回国際安全保障における情報通信分野の政府専門家グループ会合(ジュネーヴ)
14-18日 OHCHR、第6回法律上と事実上での女性差別に関する作業部会(ジュネーヴ)
14-27日 テニス全豪オープン(メルボルン)
14-27日 北米国際自動車ショー(デトロイト)
14-2月1日 第62回子供の権利委員会(ジュネーヴ)
14-2月1日 第198回国際民間航空機関委員会(ICAO)(モントリオール)
15日 日本の補正予算案、閣議決定予定
15日 キャンベル米国務次官補ら政府高官3人、韓国訪問
15日 英外務大臣、NZ訪問
15日 欧州委員会、起業家のための欧州合同計画発表(ブリュッセル)
15日 欧州統計局、11月貿易統計発表
15日 国連、経済社会理事会(ニューヨーク)
15日 日銀、地域経済報告公表(1月)、12月マネーストックM2+CD
15日 世銀、世界経済見通し発表
15日 米国11月米企業在庫、12月小売売上高統計、生産者物価指数、1月ニューヨーク連銀製造業景況指数発表
15-16日 城内実外務大臣政務官、クロアチア訪問(ザグレブ)
15-16日 小野寺五典防衛相、沖縄県訪問
15-17日 インターナショナル・ウォーター・サミット(アブダビ)
15-18日 鳩山元首相、訪中
15-20日 卓球全日本選手権(東京)
15-19日 若林健太外務大臣政務官、メキシコ合衆国及びドミニカ共和国訪問
15-29日 IMF代表団、ルーマニア訪問
16日 IAEA、核兵器開発疑惑に関しイランと再協議(テヘラン)
16日 キャンベル米国務次官補ら政府高官3人、訪日
16日 欧州評議会、常駐代表委員会(Coreper I)
16日 自民、公明、民主3党政調会長会談
16日 皇居で歌会始
16日 第148回芥川・直木賞発表
16日 茂木敏充経済産業相が佐藤雄平福島県知事と会談(福島県庁)
16日 原子力規制委、第3回大飯原発断層問題に関する評価会合
16日 日銀12月企業物価指数発表
16日 内閣府11月機械受注、12月消費動向調査発表
16日 欧州統計局、12月消費者物価指数発表
16日 米国12月消費者物価指数発表
16日 米地区連銀経済報告(ベージュブック)発表
16-17日 欧州経済社会評議会本会議(ブリュッセル)
16-19日 安倍晋三首相、ベトナム、タイ、インドネシア訪問
17日 阪神大震災から18年
17日 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事が年頭記者会見
17日 グルジア首相、アルメニア訪問
17日 欧州評議会、常駐代表委員会(Coreper II)
17日 城内実外務大臣政務官、マケドニア訪問(スコピエ)
17日 欧州中央銀行(ECB)月報発表
17日 1月フィラデルフィア連銀景況指数発表
17-18日 OECD事務総長、ロシア訪問
17-18日 外務省、杉山晋輔アジア大洋州局長が訪韓
17-27日 スノーボード世界選手権(カナダ)
18日 日米外相会談(ワシントン)
18日 欧州評議会、常駐代表委員会(Coreper I)
18日 「日・ASEAN友好協力40周年」キックオフ・レセプション(ジャカルタ)
18日 経産省、11月鉱工業生産発表
18日 内閣府、11年度国民経済計算確報
18日 中国第4四半期実質GDP、12月小売売上・鉱工業生産発表
19-20日 大学入試センター試験
19-20日 柔道・ルクセンブルクオープン
20日 オーストリア国民投票
20日 欧州の文化首都2013 コシツェ開会式(スロバキア・コシツェ)
20日 ドイツ・ニーダーザクセン州議会選挙
20日 都道府県対抗男子駅伝(広島・平和記念公園前発着)
【来週の予定】
21日 NZ市場、ニューヨーク市場休業、(キング牧師生誕記念日)
21日 オバマ米大統領就任式
21日 ユーロ・グループ(非公式ユーロ圏財務相会合)(ブリュッセル)
21日 欧州社会経済評議会、航空交通分野において一本化を図る"Single European Sky"公聴会
21-22日 日銀政策委・金融政策決定会合
21-24日 欧州議会委員会会議(ブリュッセル)
21-25日 国連女性機関、初の理事会(ニューヨーク)
21-25日 EU・モルドバFTA交渉会合(キシナウ)
21-29日 第132回WHO理事会(ジュネーヴ)
21-30日 NGO委員会(ニューヨーク)
21-2月1日 国連人権理事会、第15回普遍的・定期的レビュー作業部会(ジュネーヴ)
21-3月28日 国連軍縮会議第一部(ジュネーヴ)
22日 イスラエル総選挙
22日 EU経済・財務相(ECOFIN)理事会(ブリュッセル)
22日 内閣府11月景気動向指数改定値発表
22日 ユーロ圏1月ZEW景況感調査発表
22日 米11月リッチモンド連銀製造業指数発表
23日 ヨルダン下院選
23日 日銀、金融経済月報公表
23日 欧州評議会、常駐代表委員会(Coreper I、II)(ブリュッセル)
23日 国連人口基金、国連人口賞委員会(ニューヨーク)
23-27日 世界経済フォーラム年次会議(ダボス会議)(スイス)
24日 欧州中央銀行(ECB)理事会(フランクフルト)
24日 欧州評議会、常駐代表委員会(Coreper II) (ブリュッセル)
24日 欧州経済社会評議会、海賊行為に対してEUの対応を強化(ブリュッセル)
24日 財務省12月通関ベース貿易収支発表
24日 ユーロ圏11月経常収支発表
24日 米12月景気先行指数発表
25日 チェコ共和国大統領選(第2ラウンド)
25日 日銀議事録(12月19,20日分)
25日 総務省12月全国消費者物価指数発表
25日 欧州評議会、常駐代表委員会(Coreper I) (ブリュッセル)
26-27日 EU・中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)首脳会議(サンティアゴ)
27日 ブルガリア、原発の是非を問う国民投票
27日 政府の情報収集衛星レーダー4号機などを搭載したH2Aロケット22号機打ち上げ(鹿児島県・種子島宇宙センター)
27日 山形県、岐阜県、知事選投開票
27日 大阪国際女子マラソン
27-29日 環境インフラフォーラム(ジェッダ)
27-31日 第21回アジア・太平洋議員フォーラム(APPF)(ウラジオストク)
宮家 邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問