外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2012年11月5日(月)

外交・安保カレンダー(11月5日-11日)

[ 2012年外交・安保カレンダー ]


今週のハイライトは何といっても米国の大統領選挙と中国共産党の党大会だ。米大統領選については米主要マスコミの多くがオバマ大統領の再選を予測しており、あまり血湧きもせず、肉も踊らない。筆者もこうした見方を翻すだけの新しい情報はない。
オバマが勝っても負けても、クリントン国務長官は辞任し、恐らく次官補以上の多くは交代するだろう。勿論、キャンベル国務次官補の後任は決まっていない。レパート国防次官補が変わるとは聞かないが、オバマが勝てば彼は更に上を目指すだろう。
二人とも交代する場合、何人かの後任候補の名が思い浮かぶが、それで対アジア政策が大きく変わるとは思えない。いずれにせよ、新たに次官補代理が任命される場合、「身体検査」に最低でも数ヶ月はかかるので、当面空席となるだろう。
ロムニーが逆転勝利となれば、全く先が読めない。現在大統領選挙キャンペーンの外交チームが星雲状態にあるからだ。少なくとも3つのグループが外交・安全保障政策を担当していると称しているらしいが、勿論これらの間の連携は無きに等しい。
ロムニーが勝った場合、国務・国防長官、NSC大統領補佐官をめぐる人事で大騒ぎが始まるだろう。その人事が決まらないと、アジア政策担当者も決まらない。ロムニーは対中強硬発言を繰り返していたが、大統領になれば現実的選択をするだろう。
中国では、今週党大会が始まるが、政治局常務委員の人事が最終的に発表されるのは来週15日ごろになると予測されている。いずれにせよ、習近平と李克強の国家主席、国務院総理就任は既定路線だろう。
報道では常務委員会のメンバーは7人になるという。そうだとすれば、残りの5人のうち数人は当確者だといわれているから、真の権力闘争は残り数名の選択をめぐるものとなる。今の時点で誰が得をするかは分からない。
個人的には、7人の具体的氏名もさることながら、これまで9人が分担してきた職務権限を今回7人で如何に分担するかに関心がある。特に、中央法政委員会や中央規律検査委員会を誰が担当するのか、もしくはしないのかは興味津津だ。
最後に一言。先週は書けなかったが、10月23日深夜スーダンのハルツームにある軍の武器工場で起きた爆発・火災はイスラエルによる空爆だった可能性があるそうだ。29日にはイラン海軍艦船がポートスーダンに入港したが、偶然とは思えない。
報じられるように、今回のイスラエルの空爆が対イラン攻撃の予行演習だとすれば、何という絶妙のタイミングであろう。やはりイスラエルは来年あたりに、対イラン攻撃を本気で考えているのかもしれない。極めて要注意である。


11月5日 津波防災の日
5日 G20財務相・中銀総裁会議
5日 ダライ・ラマ14世が記者会見(横浜)
5日 米10月I SM非製造業景気指数
5-6日 欧州議会委員会(ブリュッセル)
5-6日 第9回アジア欧州会合(ASEM)首脳会合(ビエンチャン)野田首相出席予定
5-6日 インド外相、ラオス訪問
5-8日 国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)事務局長、来日
5-9日 吉良州司外務副大臣、スウェーデン・ドイツ訪問
5-10日 第48回国際熱帯木材理事会(横浜)
5-12日 第4回知見共有セミナー(イラクの異なる宗派に所属する国民議会議員招聘)
6日 米国大統領選挙投票日・連邦議会上下両院議員選挙
6日 パラオ大統領選、議会選
6日 プエルトリコ国民投票、議会選
6日 イタリア外相、リビア訪問
6日 ユーロ圏9月生産者物価指数
6-7日 WTO・知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS)理事会(ジュネーブ)
6-7日 日韓部品素材調達・供給逆見本市2012(ソウル)
6or7日 ロシア10月消費者物価指数CPI発表
6-8日 世界遺産条約採択40周年記念最終会合(京都)
6-8日 日NZ経済人会議(オークランド)
6-8日 Vietwater 2012(ハノイ)
6-8日 インドに関する世界経済フォーラム(8日まで、インド・グルガオン)
6-9日 第6回インターネット•ガバナンス•フォーラム(アゼルバイジャン)
6-10日2012中国国際工業博覧会(上海)
6-10日 ウルグアイ東方共和国外務大臣、来日
7日 欧州委員会、欧州秋季予測発表(ブリュッセル)
7日 ユーロ圏9月小売売上高発表
7日 米9月消費者信用残高発表
7-8日 アジア経済共同体フォーラム(仁川)
8日 欧州中央銀行(ECB)理事会(フランクフルト)
8日 富山県知事選
8日 日米財界人会議(東京)
8日 イスラエル大統領、ロシア訪問
8日 財務省9月経常収支、貿易収支
8日 内閣府10月景気ウォッチャー調査
8日 欧州中銀金融政策発表
8日 米国9月貿易統計発表
8-14日 中国共産党第18回党大会(北京)
9日 タークス・カイコス諸島、大統領選
9日 EU経済・財務相(ECOFIN)理事会(ブリュッセル)
9日 OPEC、月間石油市場報告発表
9日 米10月輸入物価指数発表
9日 中国10月CPI、固定資産投資、社会消費品小売総額など発表
9-10日 G20財務相・中央銀行総裁会議(メキシコシティ)
10日 アイルランド、国民投票
10日 中国10月貿易統計発表
10-12日 雪氷に関する国際会議(中国)
11日 岡山県知事選
11日 スロベニア大統領選
11日 サンマリノ議会選
11-12日 国際決済銀行中央銀行総裁会議(バーゼル)
11-15日 インド首相、来日
11-25日 大相撲九州場所(福岡)


【来週の予定】
12日 ドイツ首相、ポルトガル訪問
12日 非公式ユーロ圏財務相会合(ブリュッセル)
12日 インド9月工業生産指数、消費者物価指数、卸売物価指数発表
12-14日 東アフリカ石油・ガスサミット(ナイロビ)
12-16日 第18回拷問及び残虐な、非人道的な、品位を傷つける取扱い又は刑罰の防止に関する委員会(ジュネーヴ)
12-16日 UNCTAD、第45回貿易と開発委員会
12-16日 第24回モントリオール議定書締約国会合(ジュネーヴ)
12-16日 アフリカ連合(AU)閣僚級エネルギー会議(エチオピア・アディスアベバ)
12-30日 第49回経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会(ジュネーヴ)
12-30日 教育国際会議2012、教育における情報通信技術(ICT)(モスクワ)
13日 EU財務相理事会(ブリュッセル)
13日 南太平洋上、オーストラリア・クイーンズランド州およびノーザン・テリトリーの北部の一部で皆既日食観測
13-15日 教育のための世界イノベーションサミット(カタール)
14日 米国10月小売売上高統計発表
14日 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(10月23、24日分)公表
14-15日 欧州経済社会評議会総会(ブリュッセル)
14-15日 第2回日・UNDP戦略対話(東京)
14-16日 世界エネルギー会議(アンカラ)
14-16日 コスモプロフ・アジア2012(香港)
15日 横田めぐみさんの拉致から35年
15日 福島県外住民東電幹部らを刑事告訴
15日 米国10月消費者物価指数発表
15日 EU統計局、第3四半期実質GDP成長率と10月CPI発表
15-16日 ロシア・モルドワ政府間委員会(モルドワ・キシナウ)
15-16日 宇宙研究会議(キプロス)
15-18日 インド首相、来日
16日 EU統計局、9月貿易統計発表
16-17日 第22回イベロアメリカサミット(スペイン・カディス)
16or19日 ロシア1-10月鉱工業生産指数発表
17日 シエラレオネ大統領選、議会選
17日 ASEAN外相会合(プノンペン)
17日 ASEAN財務相会合(プノンペン)
18-20日 ASEAN首脳会議・東アジアサミット(カンボジア・プノンペン)
18-20日 シン・インド首相カンボジア訪問(ASEAN・インドサミット会合出席)(プノンペン)


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問