キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。
2012年9月3日(月)
[ 2012年外交・安保カレンダー ]
欧米で夏季休暇が終わり、例年通り、今週は国際会議や会談が目白押しだ。特に、今週はクリントン国務長官のアジア歴訪が注目される。但し、彼女は今回、太平洋島嶼フォーラム出席後、インドネシアからアジアを回るが、日本や韓国には来ない。
中国での最重要議題が南シナ海などでの領土問題になるとの見方もあるが、中国側がこの問題で急に態度を変えるとは思えない。10月の中国共産党大会での人事異動前に米中協議を行いたいのはクリントンよりも、中国要人の方ではないか。
訪中後、彼女は東ティモールとブルネイを訪問し、8日からはウラジオストクでのAPEC首脳会議に大統領の代理として参加する。いくら大統領選挙戦の最中とはいえ、米国の正副大統領が参加しないAPECサミットはちょっと寂しい気がする。
ウラジオストクといえば、日韓首脳会談開催は難しいだろうが、日中首脳会談が開かれるかどうかは注目に値する。中国の対応振りにより、近い将来の日中関係を占うことができるだろう。
先週筆者は尖閣問題で大いに忙しかったが、今週も東京都の調査関連で色々質問を受けた。中国の反応が抑制的であることは、中国の政策変更を意味しない。本音は「10月まで出来るだけ静かにしておきたい」のだろうが、そうはいかないだろう。
一方、野田政権の本音は尖閣ゲームで「都知事を黙らせたい」ということだろうが、今更都知事がすんなり退場するとは思えない。9月中に尖閣国有化話が進まなければ、10月には都知事自身が上陸を試み、党大会真っ最中の中国とガチンコになる。
中国の我慢はいつまで続くのだろう。都知事の対中挑発は「絶妙」としか言いようがない。これで中国側が過剰反応すれば、中国の負け。中国が都知事の動きを無視すれば、中国の勝ちだ。筆者はこう思うが、問題は中国側がそう思わないことだろう。
9月3日 米国務長官、インドネシア訪問
3日 財務省4-6月期法人企業統計、7月税収実績発表
3日 米国市場、休場
3日 欧州議会経済金融委が銀行同盟について審議
3日 自販連、8月新車販売台数発表
3-5日 日・ハンガリー社会保障協定(仮称)の締結に向けた第4回交渉(ブダペスト)
3-5日 パキスタン外相、ドイツ訪問
3-6日 フィンランド共和国首相、来日
3-6日 APECビジネス諮問委員会(ウラジオストク)
3-7日 第2回農業、食の安全保障と気候変動の国際会議(ハノイ)
3-7日 第2回アフリカにおける住民登録担当大臣会議(南アフリカ)
3-9日 仏防衛相、EU大統領訪問
3-28日 第9回E9閣僚レビュー会合(ニューデリー)
4日 独財務相、財務相会談
4日 EU大統領、独首相会談(ベルリン)
4日 仏伊首脳会談(ローマ)
4日 協力のための北欧閣僚会議(ノルウェー)
4日 ユーロ圏7月生産者物価指数発表
4日 米8月ISM製造業景気指数発表
4-5日 米国務長官、訪中
4-5日 ロシア8月CPI発表
4-5日 アフリカ水力発電会議(ケープタウン)
4-6日 世界銀行総裁、コートジボワールと南アフリカ訪問
4-6日 米民主党全国大会(ノースカロライナ州)
5日 EU大統領、仏大統領と会談
5日 安倍氏を代表世話人とする「新経済成長戦略勉強会」立ち上げ
5日 関西電力、300億円の普通社債発行
5日 ユーロ圏7月小売売上高発表
5-6日 APEC外相会議(ウラジオストク)
6日 秋篠宮ご夫妻の長男・悠仁さま6歳の誕生日
6日 独西首脳会談(マドリード)
6日 欧州中央銀行(ECB)理事会(独フランクフルト)
6日 米8月雇用者数発表
6日 ユーロ圏第2四半期GDP改定値発表
6-15日 第14回環太平洋パートナーシップ(TPP)交渉(米国バージニア州)
7日 民主、参院会長選
7日 北陸、中部、関西、中国、四国、九州電力の節電期間が終了
7日 財務省8月末外貨準備高発表
7日 内閣府7月景気動向指数速報発表
7日 韓国軍、独島防衛訓練開始
7日 EU統計局、第2四半期国際収支統計発表
7日 米8月雇用統計発表
7-8日 欧州連合理事会、外相非公式会合(キプロス)
8日 第180回国会閉会
8日 維新の会、国政進出表明
8日 第69回ベネチア国際映画祭、授賞式
8-9日 APEC首脳会議(ウラジオストク)
8or9日 日中首脳会談(ウラジオストク)
9日 中国8月CPI、固定資産投資、社会消費品小売総額発表
9日 香港立法院選
9日 キング英中銀総裁、各国中銀総裁とLIBORの将来について協議
9日 沖縄県民大会(宜野湾海浜公園)
9日 ロンドン・パラリンピック閉会
9-10日 国際決済銀行(BIS)中央銀行総裁会議(スイス・バーゼル)
9-23日 大相撲秋場所
【来週の予定】
10日 民主党代表選告示
10日 IAEA理事会会議(ウィーン)
10日 中国8月貿易統計発表
10-12日 トルコ大統領、ビジネス代表団とスウェーデン訪問
10-13日 前原誠司政調会長、米国訪問
10-13日 欧州議会本会議(ストラスブール)
10-14日 第30回ASEANエネルギー担当相会合(メルボルン)
11日 第67国連総会開幕
11日 米同時テロから11年
11日 スペイン-フィンランド首脳会議
11日 OPEC、月間石油市場報告発表
11日 米国7月貿易統計発表
11or12日 欧州委員会、銀行監督一元化メカニズムを提案
11-13日 世界経済フォーラム夏季会合(夏季ダボス会議)(中国・天津)
12日 オランダ議会選
12日 独、欧州安定メカニズム(ESM)の合憲性をめぐる憲法裁判所の判断提示
12日 インド7月工業生産指数、CPI、卸売物価指数発表
12日 アップル、新製品発表会開催
12-13日 米国連邦公開市場委員会(FOMC)
12-14日 第37回世界原子力協会シンポジウム(ロンドン)
13-14日 G20財務相・中央銀行総裁会議(メキシコシティ)
13-14日 トルコ経済相、ルクセンブルグ訪問
14日 EU統計局、8月CPI発表
14日 米国8月消費者物価指数(CPI)、8月小売売上高統計発表
14日 CIS経済理事会(トルクメニスタン・アシガバード)
14-15日 EU経済・財務相非公式会合(キプロス)
14-16日 ローマ教皇、レバノン訪問
15日 ユーログループ会議
16-21日 国際水協会(IWA)世界会議(釜山)
宮家 邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問