キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。
2011年10月20日(木)
[ 2011年DC道場 ]
今日の午前は上院議員の軍事担当スタッフの方にお話を伺った。以下、その概要である。
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以前は米軍で勤務していた。議会で働こうと考え始めたときは知り合いがいなかったので、履歴書を配って回った。軍事関係の仕事がしたかったので、軍事委員会に所属する議員や、軍事委員会を当たった。直接、委員会のスタッフになるのは難しいので、通常は議員のスタッフを務めたのちに委員会スタッフになるのが一般的である。
スタッフとしての業務は、①国防授権法に関する動向をフォローする、②議員の関心事をフォローする、③地元の基地や住民が十分なリソースを得られるよう、必要な契約が取れるように後押しすること、などである。
国防授権法については、ホワイトハウスから国防予算案が送られてくると、これを基礎に法案を作り、このプロセスの中で内容に必要な変更を加える。このプロセスの中では国防省の担当者と話をすることも多い。国防授権法について議会が重要な役割を果たす案件としては、同性愛者の取り扱いの問題、拘束した人物の取り扱いの問題、装備の調達数、軍の家族支援プログラムなどがある。なお、行政府の案に変更を加える場合は、可能な限り国防省とも合意を得ておくようにしている。また、国防省が大統領と異なる見解を持っている場合などは、国防省が議会の支援を求めてくることもある。今年は国防費が大幅に削減されるので、重要なプロセスになるであろう。但し、いくら授権されても、歳出に結びつくかどうかは別の問題であり、その意味で歳出委員会は重要な役割を担う。
最近のアジア太平洋方面の問題としては、F-35の問題があるが、これはコストが予定値を上回っており、海兵隊用のバージョンは調達するのが困難になってきている。このため、海軍はF-18 C/Dを調達することにしている。また、今回の国防授権法で今後の米国の国防政策の方向性、海軍がどういう方向を目指すかが見えてくることになる。グアムはより多くの米軍部隊・要員が移転してくることを望んでいる。(了)
道下徳成 政策研究大学院大学准教授・PAC道場第1期生