外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2011年10月6日(木)

DC道場フェロー・レポート(上院編・10月5日①)

[ 2011年DC道場 ]


 この度、キヤノングローバル戦略研究所の主催する「DC道場」に参加させていただくことになった。「DC道場」で検索するとワシントンDCにある空手や合気道の道場が表示されるのであるが、「DC道場」は「DCで武道を習おう」というものではなく、将来の政治任用者を育成するために、ワシントンDCの政策決定の現場で研修を行わせるというものである。
 近年、外交安保政策においても、「オールジャパン」で積極的に世界に働きかけていくべきであるとの動きが活発化しており、公式・非公式に政治任用者の政策決定過程への参加が増加している。こうした流れの中、私自身も日本の外交安保政策に何らかの貢献をしたいと考えているところであり、今回、すでに長年にわたって「オールUSA」で外交安保問題に取り組んできた米国の政策決定過程を実地で学ぶ機会があるということで「DC道場」に参加させていただくことになった。具体的には、1カ月にわたってある上院議員の事務所に「Legislative Fellow」としてお世話になりつつ、政策決定過程を学び、また限定的ながらそれに関与していくことになる。これから、事務所の内外で見聞したことを本ブログに掲載していく予定であるので、ご購読いただければ幸いである。
 私のお世話になっている上院議員のオフィスの様子は次の通りである。スタッフの人数は26名。うち外交・安全保障の担当は4名(女性1名)。近く、軍事担当の専門家が1名追加されるとのこと(軍出身者かどうかは未定)。その他にも、労働問題、都市計画、環境問題など、多様な分野の専門家を抱えている。(上院議員のほとんどは30名程度のスタッフを持っているという。)
 政策スタッフはトップが首席補佐官(Chief of Staff)であり、その下に立法担当官(Legislative Director)、そして立法補佐官(Legislative Assistant)が配置されている。その他、立法連絡官(Legislative Correspondent)は外部からの問い合わせなどへの対応を行う。特に重要なのは、地元の利益団体などからの要請を受け付けることである。どこから、どういう内容の要請があったかは、電子メールなどでスタッフ全員に定期的に通知されるようになっている。また、地元のメディアの報道ぶりや、議員についての報道内容についても纏めた資料が送付されてくる。外交の担当者は外交政策補佐官(Foreign Policy Advisor)などと名乗っており、首席補佐官は「Senior Advisor to the Chairman for National Security and Foreign Affairs」という肩書きになっていた。
 オフィスに入ると、玄関の待合室からは想像できないほど広いスタッフのオフィスが2階にわたって広がっており、各スタッフは、議員秘書、首席補佐官、立法担当官はガラスで仕切られた個室で、その他のスタッフはキュービクルで仕事をこなしている。各自、PC1台と議場の様子などを伝えるTV1台をもつ。(了)


道下徳成 政策研究大学院大学准教授・PAC道場第1期生