キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。
2011年10月3日(月)
[ 2011年外交・安保カレンダー ]
今週の焦点は引き続きパレスチナ独立国家国連加盟申請問題だ。米欧露国連の4者(カルテット)が提案したロードマップ(工程表)の受け入れをめぐってイスラエルとパレスチナの駆け引きが先鋭化している。
パレスチナ側はあくまで「入植地の凍結」を求めるのだろうが、これはオバマ政権が発足当初からイスラエルを説得しようとして、どうしても成功しなかった難問中の難問だ。イスラエルがこれを認める可能性は今のところ低いだろう。
それでは今後どうなるのか。まずは数週間外交的駆け引きが続くのだろうが、成果はあまり期待できない。米国にはイスラエルに圧力を掛ける気がないし、その能力もなくなりつつあるからだ。
パネッタ国防長官がイスラエルの孤立化に警告を発したなどと報じられているが、当のイスラエルはあまり「孤立化」を恐れていない。米国がイスラエルを見捨てることなどできないと高をくくっているのだ。
特に、来年は大統領選挙の年だ。中東和平プロセスの前進を期待するのは無理ということか。過去10年の堂々巡りは2013年以降も続きそうである。
3日 インド国防相、ロシア訪問
両国の国防相間で印露防衛協力と両国間の多目的輸送機開発プロジェクトが話し合われるという。内容が内容だけに、今頃中国は必死になって情報収集を行っているに違いない。
3日 9月の日銀短観
3日 ノーベル生理学・医学賞発表
3日 ギリシャ政府、2012年度予算を議会に提出
3日 ユーロ圏財務相会合(ルクセンブルク)
ユーロ制度の崩壊とかギリシャの離脱などの噂は絶えないが、当面その可能性はないと思う。なぜならば、ユーロは欧州の政治的統一のために「政治的に作られた人工的通貨」であり、経済的な理由で崩壊させる訳にはいかないからだ。
3日 「日米経済調和対話」上級会合(米ワシントンDC)
3日 経営財務調査委員会、東電に関する報告書提出
政府の第三者委員会である「経営・財務調査委員会」が東京電力を査定した報告書を野田佳彦首相に提出する。厳しい内容となることが予想されている。
3日 日銀短観(9月概要・9月要旨)発表
3-8日 自見金融相、英仏独を訪問
3-7日 日・スウェーデン社会保障協定第1回交渉(スウェーデン・ストックホルム)
4-7日 イラン・トルコ協議開催(アゼルバイジャン)
両国の貿易、保健および輸送分野での協力促進がテーマだそうだが、相変わらずトルコの対イスラム諸国外交は際立っている。
4日 ノーベル物理学賞発表
4日? 米アップル社、iPhone5発表
4日 オーストラリア準備銀行金融政策決定理事会
4日 EU財務相理事会
4日 日・カタール合同経済委員会第6回会合(東京)
4日 FRB議長、米上下合同経済委員会で証言
連邦準備制度理事会(FRB)バーナンキ議長が何を語るかには毎回興味があるが、当面のドル安政策は変わらないのだろうか。
4-5日 ポーランド中銀金融政策決定理事会
4-7日 ユネスコ総会(仏パリ)
5日 ノーベル化学賞発表
5日 ギリシャ公的部門労組が24時間ストライキ
財政がこれだけ破綻しているのにストライキなどやっている場合か?日本だったら全く逆のことが起きるだろう。これが日本と南欧の違いであることを祈るばかりである。
5-6日 英金融政策委員会
6日 欧州中央銀行理事会
今回はトリシェ総裁の最後の記者会見が予定されている。11月からはイタリアの経済学者マリオ・ドラギ氏が第三代総裁に就任する予定。ドラギ氏は90年代にイタリア経済の民営化を強力に進めたことで知られる。ユーロにとっては吉と出るか、凶と出るか。
6日 小沢・民主党元代表、陸山回事件の初公判
6-7日 玄葉外相、訪韓
6-7日 日本銀行、金融政策決定会合
6-8日 シュワルツェンベルグ・チェコ共和国第一副首相兼外務大臣、来日
7日 アフガン戦争開戦から10年
7日 ノーベル平和賞発表
7-16日 体操世界選手権(東京)
9日 カメルーン大統領選
9日 ポーランド議会選
9日 パラグアイ、憲法改正のための国民投票
在外国民の投票を可能にするパラグアイ憲法120条の改正案だそうだ。それにしても憲法改正をかくも簡単に行えることは良いことだ。恐らく日本では政治的に不可能に近いかもしれない。
【来週の予定】
10日 産辛亥革命から100周年
10日 ノーベル経済学賞発表
11日 リベリア大統領選・議会選(ともに第1ラウンド)
11-12日 オーストリア大統領、アゼルバイジャンを訪問
11-15日 広島県医師会、北朝鮮へ健診団派遣
13日 李明博・韓国大統領が訪米
13日 政策委員会・金融政策決定会合議事要旨(9月6・7日分)
14-15日 G20財務相・中央銀行総裁会議
15日 オマーン諮問議会選
15日 民主党全国幹事長・選挙責任者会議
15-18日 中国共産党、第17期中央委員会第6回総会(「6中総会」、北京)
16日 モーリタニア議会選
宮家 邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問