外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2011年9月26日(月)

外交・安保カレンダー(9月26日-10月2日)

[ 2011年外交・安保カレンダー ]


 あまり報じられてはいないが、今週の最大関心事は、現在米国とターリバーンがパキスタンの仲介で行っていると噂される秘密交渉の行方だ。本当の黒幕はアフガニスタン国内のイスラム過激派を長年支持してきたパキスタン・サウジ・UAEのはずだが、彼らは決して表に出てこない。毎度のことながら、実に困ったことである。
 先週のラバニ元大統領暗殺事件は、ターリバーン(またはその配下のハッカーニ・ネットワーク)が現在もアフガニスタンでの政治的意思決定を、話し合いではなく、自爆テロによる敵対者暗殺を通じて行う決意であることを明確に示すものだ。
 それにしても米国はターリバーンから一体何を求めるのだろう。振り返ってみれば、1990年以降に米国がアフガニスタンを事実上見捨てた挙句、2001年以降もアフガニスタンの将来像を決めかねていることが混乱の最大の原因ではないのか。
 ターリバーンには本当に内部対立があるのか?米国の関心は米軍のアフガニスタン撤退だけなのか。ターリバーンのオマルとパキスタンのISIは譲歩する用意があるのか。恐らく詳細はほとんど報じられないと思うが、本件は要注意事項である。
 もう一つの焦点はパレスチナ独立国家の国連加盟問題だ。こんなパレスチナ側のパーフォーマンスで第三次インティファーダは起きるのか。これで西岸が再び混乱しても、パレスチナ人に対し以前のような同情は集まるのだろうか。疑問は尽きない。
 いずれにせよ、現在この問題米国や国連での最大関心事だ。アッバース演説後、壇上に上る野田首相を横目に多くの聴衆が演説会場を去っていったのも、ある程度は仕方がない。少なくとも野田首相の責任ではないだろう。


26日 アゼルバイジャンとトルコ、天然ガス輸送に関する合意
 アゼルバイジャンがトルコ経由で年間100億立米の天然ガスを欧州に供給することで合意が成立する見込みという。ロシアはこれにどう対応するのか。それにしてもトルコの最近の動きは大したものである。


26日 EU外相理事会(ベルギー・ブリュッセル)
26日  IAEA理事会(ウィーン)
26日 民主党、政調懇談会、党税調総会
26-27日 戴秉国国務委員、仏英を訪問
26-27日 ロシアNATO代表、イラン訪問
 イランの核疑惑問題も遅々として進んでいない。ロシアの動きも気になるところだが、イランはロシアを巧みに利用し、ロシアも利用されているフリをし続けている、というところか。


26-27日 中印戦略経済対話
26-30日 北朝鮮首相、訪中
26-30日 ベトナム大統領、シンガポール・マレーシア訪問
26-30日 南スーダン大統領、訪米、国連総会出席
26-29日 日本、衆参予算委員会
26-29日 欧州議会本会議(フランス・ストラスブール)
27日 ドイツ首相、ギリシャ訪問
 ドイツがギリシャ問題を如何に解決するのか、気になるところだ。

28-29日 日韓経済人会議(ソウル)
28-30日 イスラエルの新年祭「ローシュ・ハシャナー」
29日 ASEAN外相と国連事務総長の会合(ニューヨーク)
29-30日 第3回東方パートナーシップ首脳会議(ワルシャワ)
29-30日 ウクライナ大統領、ポーランド訪問
30日 WTO加盟作業部会:セルビア(ジュネーブ)
30日 臨時国会会期末
30日 自民党、参議院特別総会(執行部人事案を示す)
30日-10月7日 印大統領、スイス、オーストリア訪問
30-31日 日韓産業技術フェア(ソウル)
1日 バハレーン議会選(第2ラウンド)
1日 北京・上海間旅客用高速鉄道開通

【来週の予定】
3日 9月日銀短観発表
3日 ノーベル生理学・医学賞発表
3日 ギリシャ政府、2012年度予算を議会に提出
4日 オーストラリア準備銀行金融政策決定理事会
4日 ノーベル物理学賞発表
4日? 米アップル社、iPhone5発表
4-5日 日銀金融政策決定会合
4-5日 ポーランド中銀金融政策決定理事会
5日 ノーベル化学賞発表
5-6日 英金融政策委員会
6日 欧州中央銀行理事会
7日 アフガン戦争開戦から10年
7日 ノーベル平和賞発表
7-16日 体操世界選手権(東京)
9日 カメルーン大統領選
9日 ポーランド議会選


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問