キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。
2011年7月25日(月)
[ 2011年外交・安保カレンダー ]
先週ノルウェーで起きた爆破テロと銃乱射事件は衝撃的だった。欧州のいわゆる極右勢力の犯行のようだが、こんな事件がノルウェーのような国で発生したことは一体何を意味するのだろうか。
非常に気掛かりである。欧州の人種差別は根深い。その点、北欧は、東欧とは異なり、歴史的にリベラルな伝統があると思い込んでいた。今回の事件が偶発的かつ個別の犯罪であることを心から祈っている。
中国の高速鉄道の事故も別の意味で衝撃であった。それにしても、なぜ列車の一両を破壊して沼に埋めようとしたのか。中国には知財権の軽視、政府高官の腐敗や手抜き工事など問題は山積みだが、この証拠隠滅疑惑はより深刻な問題だ。
中東地域は相変わらずだ。エジプトでは軍部が政治的実権を握ったまま、若者グループなどに対する圧力を強めつつある。今のままではエジプトは民主化の方向に進まない。本年2月にエジプト革命を礼賛した人々は現状をどう説明するのだろうか。
24-30日 インド大統領、韓国・モンゴル訪問
25日 キプロスと北キプロス・トルコ共和国の首脳会談
再統一について話し合うらしいが、所詮はギリシャとトルコの代理戦争だ。そんな簡単に再統一などできるのだろうか。
25日 イラン問題に関する米ロ協議(モスクワ)
25日 米国務長官の訪中
クリントンと戴秉国が、イラン、北朝鮮、中東、南シナ海などにつき話し合うらしいが、先週のASEAN地域フォーラムでのやりとりを見ても、米中の波長が合うとは思えない。
25日 天野IAEA事務局長 訪日
25日 日中防衛次官級協議(東京)
防衛次官と中国人民解放軍の副総参謀長らが出席する。話し合いは行われるが、進展はないだろう。中国にその気がないからだ。
25-29日 日・インド社会保障協定(仮称)第1回政府間交渉(東京)
26日 国連安保理、独立パレスチナ国家加盟問題を協議
26日 「中央アジア+日本」対話「日本・中央アジア経済フォーラム」
26-29日 第5回ASEAN海軍司令官会合(ハノイ)
27日 イスラエル首相、ポーランド訪問
27日 インド・パキスタン外相会談(ニューデリー)
27日 印パ外相級会合(インド、ニューデリー)
27-28日 WTO一般理事会(ジュネーブ)
28日 ペルー新大統領就任
28-29日 EU一般問題理事会(非公式、ポーランド・ソポト)
29日 エジプトのムスリム同胞団、タハリール広場で集会を予定
29日 米商務省、11年第2四半期GDP発表(速報値)
29日 ブラジル高速鉄道事業権落札企業グループ発表
31日 埼玉知事選、福島市議選
31日または8月1日 ラマダン(断食月)開始予定(イスラム諸国)
【来週の予定】
8月1日 日印EPA発効
1日:外国為替証拠金取引(FX)証拠金倍率の上限を50倍から25倍に引き下げ
4日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(ドイツ・フランクフルト)
5日 米雇用統計(7月)発表
5日 米航空宇宙局(NASA)が木星探査機「ジュノー」を打ち上げ
宮家 邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問