キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。
2011年6月6日(月)
[ 2011年外交・安保カレンダー ]
遂にイエメン情勢が動き始めた。サーレハ大統領は負傷治療を理由にサウジに入国したが、このまま亡命となる可能性が高いのではないか。同大統領には悪いが、米国もサウジも、彼を帰国させるつもりは恐らくないだろう。
同大統領の親族はまだイエメンで戦う気だろうが、今や全ての鍵はイエメン国軍が握っている。サーレハ大統領が出国し、国内の混乱が拡大する前のわずかなチャンスを如何に活用するのか。サウジの政治力・外交力が試されている。
一方、リビアの方は一進一退だ。このままではカダフィが生き残り、リビアは割れるが、それで本当に良いのか。決定打を欠く欧州に一体何ができるのか。恐らく米国に本気で介入する気などないだろう。
個人的に気になるのはトルコの総選挙だ。報道では原発の是非が争点になるといわれているが、それ以上に重要なことは、トルコ内政におけるイスラム主義と世俗主義の相克である。
トルコ人は大半がイスラム教徒であり、イスラム主義政党が政権を握って問題はない。だが、トルコの動向はエジプトなど他のイスラム諸国の内政を見ていく上で非常に参考になる。というわけで、今週も注目は中東情勢のようである。
6日 日インド経済戦略会議(インド・デリー)
今回は5回目になる。レベルは次官級で決して高くないが、このレベルの実務家による意見交換は重要である。
6-7日 ASEM外相会合(ハンガリー・ブダペスト)
日本からは松本外務大臣が出席予定だそうだ。これも重要だと思うのだが、政局が最優先される日本ではあまり関心がないだろうな。
6-7日 パルヴァノフ・ブルガリア大統領、スロヴェニア訪問
6-8日 アフマディネジャド・イラン大統領、アルメニア訪問
6-10日 第7回世界イスラム経済フォーラム(アスタナ)
6-10日 IAEA理事会(ウィーン)
7-8日 WTO・TRIPS理事会(ジュネーブ)
7日 メルケル独首相、訪米
7-8日 OECD・G20原子力安全に関する閣僚会議(パリ)
7-8日 WTO・ TRIPS理事会(ジュネーブ)
8日 OPEC第159回通常総会(ウィーン)
8日 世界海洋の日(World Oceans Day)
9日 米貿易統計(4月・10年年間最終確定値)発表
9日 NATO・ロシア国防大臣会合(ブラッセル)
9-10日 ロシア・EU首脳会議(ロシア)
9-10日 アフリカ開発銀行年次総会(リスボン)
9-10日 「アメリカ・サブサハラ貿易経済協力フォーラム」
10-11日 カルザイ・アフガニスタン大統領、パキスタン訪問
10-19日 国連開発計画(UNDP)による黒海貿易・投資プログラム(ブカレスト)
11-17日 第三回中台両岸フォーラム(アモイ)
12日 トルコ総選挙
【来週の予定】
13-14日 第8回中東・北アフリカ上流産業コンファレンス(ジュネーブ)
13-17日 アイス・チョコレート・パン・ピザ製造技術および食品・ケータリングサービス関連国際見本市「FITHEP MERCOSUR 2011」(ブエノスアイレス)
14日 オバマ大統領がプエルトリコを訪問
14-16日 店舗設備見本市「Retail Asia Expo」(香港)
14-16日 国際フラットパネルディスプレー見本市(台北)
14-16日 西アフリカ通信情報見本市2011(ナイジェリア・ラゴス)
14-17日 オフショア石油・ガス産業国際見本市・会議(ブラジル)
14-18日 第16回国際包装材・技術見本市「ROSUPAK」(モスクワ)
15日:国際幹細胞研究学会年次大会(カナダ・トロント、18日まで)
15日 第10回上海協力機構(SCO)首脳会議(アスタナ)
15-17日 第1回ザンビア国際鉱業エネルギー会議・展示会「ZIMEC 2011」(ザンビア・ルサカ)
16日:第15回サンクトペテルブルク国際経済フォーラム(18日まで)
16日 米商務省環境技術貿易諮問委員会会合
16日 チュニジア投資フォーラム(チュニス)
16-18日 第15回サンクトペテルブルク国際経済フォーラム
17-19日 第1回中国国際ネットショッピング大会(上海)
17-26日 第5回国際オートモービル展「Salon Internacional del Automovil 2011」(ブエノスアイレス)
18-20日 ナイジェリア貿易見本市2011(ラゴス)
19日:第35回世界遺産委員会で小笠原諸島と平泉の世界遺産登録を審議(バーレーン)
19-21日 国連世界観光機関(UNWTO)評議会(ケニア・モンバサ)
宮家 邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問