外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2011年4月3日(日)

外交・安保カレンダー(4月4 - 10日)

[ 2011年外交・安保カレンダー ]


 今週予想される動きと留意点を取り纏めました。これらは「事前予想」ではなく、あくまで研究者としての「心構え」です(出典は本邦日刊全国紙・通信社、外務省、ジェトロなど、あくまで個人の責任で集めました)
 
 福島第一原発をめぐる戦いは長期戦の様相を示し始めた。3月12日以降流れていた一連の「必ずしも悲観的ではない」見通しがことごとく外れ、先週末には高放射線量の汚染水が海に大量流出していることが判明した。
 原子力関係は全くの素人の筆者だが、報道を見ていると「遂に来るものが来たのか」との思いを禁じえない。やはり危機管理に際しては、よほどの確信でもない限り、常に最悪の事態を考える必要があるのだと改めて痛感する。
 長期戦といえば、リビアの内戦も当分終わりそうにない。4月1日には、案の定というべきか、多国籍軍の反カダフィ派車列に対する「誤爆」事件が発生した。反政府勢力側は事実上これ不問に付し、引き続き多国籍軍の攻撃を求めている。
 しかし、NATO軍にとって状況は一向に改善していない。現在の安保理決議では地上軍投入は不可能だ。このままではカダフィ側が勢力を盛り返す可能性すらあるだろう。米国の腰は引けているが、英仏にはカダフィに決定的打撃を与える能力はない。
 欧州は米軍の関与なしにリビア問題を解決できるのか。むしろ、状況を悪化させつつあるのではないか。ちょっと心配である。更に、バハレーンやシリアの騒乱も簡単には収まりそうもない。やはり、今週も中東から目が離せないようだ。
 
4-5日 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)第1回総会(アブダビ)
 地味な会合だが日本から山花外務大臣政務官が出席するらしい。IRENAは再生可能エネルギーの普及・利用を目的として設立された初めての国際機関だ。
 今後わが国で原子力エネルギーの見直しが始まることは必至だが、今後太陽光、風力、バイオマス、地熱、水力、波力等を扱うこの国際機関の役割は一層高まるだろう。ちなみに、IRENA憲章は2010年7月に発効した新しい条約だが、これまで約150か国が署名し、日本を含む64か国が批准している。
 
4-7日 エネルギー・電力関連展示会「SYRPOWER」(ダマスカス)
 ダマスカスで開かれるそうだが、今のシリア政府は大丈夫なのか?展示会よりも、そっちの方が心配である。
 
4-8日 ASEAN財務相会合(インドネシア・バリ)
5・7日 WTO加盟国通商政策レビュー:オーストラリア(ジュネーブ)
 
 4月に入ったからか、世界各地で博覧会、見本市が立て続けに開かれる。
 
5-7日 交通・ロジスティクス・国際貿易見本市・会議「Intermodal South America」(サンパウロ)
5-7日 麗水国際博覧会第2回参加国会議(ソウル、麗水)
5-7日 第15回国際食品見本市「Interfood」(サンクトペテルブルク)
5-7日 第7回国際産業見本市「Chemexpo Uzbekistan 2011」ほか(タシケント)
5-8日 第17回国際建設見本市「MosBuild」(モスクワ)
5-10日 第7回国際馬産業展示会「NUESTROS CABALLOS」(ブエノスアイレス)
6-8日 アフリカ鉄道・港湾会議・展示会「Railways & Harbours Conference and Exhibition 2011」(ヨハネスブルク)
6-9日 11年第8回国際ハラール展示会(MIHAS)(クアラルンプール)
6-17日 第13回ブエノスアイレス国際独立映画祭「BAFICI」
7日 英国商業会議所(BCC)年次総会
7-9日 中東セキュリティー展示会「SMES」(ベイルート)
7-9日 「再生可能エネルギー」国際見本市(ブルキナファソ・ワガドゥグゥ)
 
8日 ジブチ大統領選挙
 ジブチといえば、2009年6月自衛隊が海賊対処のためP3C対潜哨戒機部隊(150人)を派遣している国で、同国とは自衛隊の「駐留」のため「地位協定」を結んでいるのは知る人ぞ知る話だ。地位協定は日米だけではないのである。
 元々はジブチ国際空港隣の米軍基地を拠点にしていたが、昨年7月以来、空港北西地区に「新活動拠点」を建設しているそうだ。新拠点は、12ヘクタールの敷地に47億円を投じ宿舎、格納庫、事務所など24棟を建てるとともに、航空機3機が収容できる駐機場も整備するという。完成予定は2011年3月末というから、今頃は完成しているはずだ。大統領選挙後も政治的安定が続けばよいが・・・。
 
9日 ナイジェリア大統領選挙
 ナイジェリアはアフリカの重要な資源大国であるが、4月2日に行われる予定の上下両院選挙が突然延期になったと報じられた。各地の投票所に用紙が届いていないからだそうだ。ジョナサン現大統領他数人が立候補している大統領選挙の日程についてはまだ分からないが、一体どうなるのだろう。
 
10日 統一地方選挙(東京都知事選、神奈川県知事選など県知事選13都道県;神奈川県議会選、京都府議選、大阪府議選など44道府県;横浜市議会選、川崎市議会選、大阪市議会選など16政令市議会) 
10日 ペルー大統領選挙
 ペルーといえば、フジモリ大統領の長女ケイコ氏も立候補している。当選したら父親に恩赦を与えるという話だ。いずれにせよ、今回の選挙は近年まれな接戦となっているらしく、6月5日の上位2候補による決戦投票までもつれ込む可能性が高いといわれている。
 
10-13日 第14回医療・製薬産業見本市「Saudi Medicare 2011」(リヤド)
10-14日 都市交通見本市「UITP World Congress and Mobility & City Transport Exhibition」(ドバイ)
 
【来週の予定】
11日 ブラジル高速鉄道事業権入札締め切り日
11-16日 第18回ASEANサミット(ジャカルタ)
12日 米貿易統計(2月)発表
12日 カナダ中央銀行、政策金利調整日
12日 ガガーリン宇宙飛行士(旧ソ連)の人類初宇宙飛行から50年 
12-13日 2011年東部・中央アフリカ携帯通信市場会議(ナイロビ)
12-14日 ガーナ石油ガス・サミット(アクラ)
12-14日 第2回国際木材会議「Wood & Timber」(モスクワ)
12-15日 繊維産業技術見本市・繊維技術会議「Tecnotextil」(サンパウロ)
12-15日 台北国際自動車部品・アクセサリー見本市
12-15日 台北国際カーエレクトロニクス見本市
12-16日 自動車部品・機械・サービス国際見本市「Automec」(サンパウロ)
12-17日 第21回農畜産物国際展示会「agropecruz 2011」(ボリビア・サンタクルス)
13日 カナダ中銀、金融財政報告書発表
13日 インド・タミルナドゥ州、ケララ州、西ベンガル州議会選挙
13日 マダガスカル国民議会選挙
13-14日 アンデス・カジノ産業見本市「Fadja(Feria Andina De Juegos De Azar)」(ボゴタ)
13-15日 第7回エネルギー効率および再生可能エネルギーに関する南・東欧会議(ブルガリア・ソフィア)
13-15日 第14回ユーラシア経済サミット(イスタンブール)
13-16日 香港エレクトロニクス・フェア(春)
13-16日 香港貿易発展局インターナショナル・ライティング・フェア(春)
13-16日 香港貿易発展局インターナショナルICTエキスポ
13-16日 第17回国際建築フォーラム「Interstroy expo」(サンクトペテルブルク)
13-29日 サウジアラビア国王主催ジャナドリヤ祭(日本がゲスト国)(リヤド)
14日 中国青海省地震から1年 
14-15日 G20財務相会合(ワシントン)
14-15日 NATO外相理事会(ベルリン)
14-16日 第3回国際ラボ技術・装置関連展示会「SYRIA LAB 2011」(ダマスカス)
14-16日 ヘルスケア産業関連見本市(ダマスカス)
14-17日 台湾国際オートバイ産業見本市(台北)
14-17日 台湾国際電気自動車見本市(EV TAIWAN)(台北)
14-24日 第19回民芸品国際見本市「Feria de Artesanias de Cordoba」(アルゼンチン・コルドバ)
15-17日 第3回自動車チューニング見本市「Moscow Tuning Show」(モスクワ)
15日-5月5 日第109回中国輸出入商品交易会(広州)
16日 ナイジェリア州知事・州議会選挙
16-17日 IMF・世界銀行春季総会(ワシントン)
16-19日 中国国際医療機器博覧会「CMEF Spring 2011」(深セン)
17日 フィンランド議会総選挙
17-20日 国際不動産開発見本市「CITYSCAPE Abu Dhabi 2011」(アブダビ)


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問