キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。
2011年3月21日(月)
[ 2011年外交・安保カレンダー ]
今週予想される動きと留意点を取り纏めました。これらは「事前予想」ではなく、あくまで研究者としての「心構え」です(出典は本邦日刊全国紙・通信社、外務省、ジェトロなど、あくまで個人の責任で集めました)
巨大地震・津波の発生から10日が経った。犠牲者・行方不明者の数が2万人を越える中、今朝は祖母とお孫さんの奇跡的生還という明るいニュースもあった。原発も含め被災地の一日も早い復旧を心から祈るばかりだ。
今回の大震災はその規模、深刻度において通常の自然災害をはるかに超える一種の「有事」である。この未曾有の危機に命を賭ける自衛隊、警察、消防、東京電力などの「名もなきヒーロー」たちの奮闘を心から誇りに思っている。
同時に、いずれはこの国の国防・危機管理のありかたを根本から見直す必要があるとも感じている。これをきちんとやらなければ、今回犠牲になられた方々に対して申し訳が立たないだろう。勿論、今議論する話ではないが・・・。
中東ではリビアが動いている。国連安保理決議が採択され、英仏と米はリビア正規軍に対する攻撃を開始した。しかし、航空戦力だけでは地上での戦闘を完全に支配できない。このことは過去の全ての軍事介入の例が示している通りだ。
カダフィ自身が暗殺でもされない限り、この紛争はかなり長期化する可能性が高いのではないか。飛行禁止区域の設定により、カダフィ側、反政府勢力側のどちらも決定力を持てなくなり、軍事的には膠着状態が続くと思われるからだ。
鍵の一つはアラブ諸国の態度であろう。既にUAE、カタル、ヨルダンが参加を決めたと報じられているが、これも一種の賭けではなかろうか。特に、UAEは先週バハレーン王家を守るためサウジとともに1000人の治安維持部隊をマナマに派遣している。
そのUAEが今度はリビア反政府勢力を支援するため軍事介入するのだ。国連安保理決議に基づく人道目的という大義名分があるとはいえ、これを一般アラブ民衆はどう受け止めるだろうか。やはり中東諸国の混迷は当分続きそうだ。
22日 第1回スピネリ・グループ(欧州連邦主義者)会合
22-23日 第10回エコ・イノベーション・フォーラム(英国・バーミンガム)
22-25日? 予算関連の地方交付税、関税定率法改正案などが衆議院通過?
22-26日 奥・井ノ上記念日本青少年国連訪問団の国連本部訪問
24-25日 EU首脳会議(ブリュッセル)
27日 ドイツのラインラント・プファルツ州、バーデン・ビュルテンベルク州議会選挙
【来週の予定】
28日-4月2日 TPP第6回政府間協議(シンガポール)
28-29日 チリISDB-T国際フォーラム(サンティアゴ)
29日 アラブ連盟首脳会合?(バグダッド?)
29日 中南米森林投資サミット(サンパウロ、31日まで)
29日? 2011年度予算成立
30-31日? 主な予算関連法案や、所得税法等改正案と地方税改正案のつなぎ法案が成立?
31日 家電エコポイント終了
4月1日 パナソニック、三洋電機とパナソニック電工を完全子会社化
1日 中央三井トラスト・ホールディングスと住友信託銀行が経営統合し、三井住友トラスト・ホールディングスが発足
1日 性的漫画を規制した東京都の青少年健全育成条例の新しい自主規制スタート
2日 ナイジェリア国会(上院・下院)議員選挙
3日 チャド大統領選挙
3日 ベルギーのフィリップ皇太子経済ミッション、ロシア訪問
宮家 邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問