その他  外交・安全保障  2026.10.19

世界情勢の潮流の中での海上法執行

世界情勢の潮流の中での海上法執行(2026年10月7-8日)に登壇

国際法・海洋

兼原研究主幹は、東京で開催された第1回東京ダイヤログ「世界情勢の潮流の中での海上法執行(10月7-8日)」における、第1セッション「国際海洋法の争点と展望」(10月7日)のモデレーターとして登壇しました。セッションの冒頭において、Stage Settingとして、次の報告を行いました。

東京ダイヤログが、2014年第13回シャングリラ・ダイヤログで、安倍晋三首相(当時)が提唱した、海洋における法の支配の三原則を主軸に据えていることから、最初に、国際法における法の支配と安倍三原則の意義について説明した。

法の支配は、国内法で発展してきた原則であり、国内法とは社会構造が異なる国際社会では、法の支配の固有の意味は、まだ、確立していない。そうした状況で、安倍晋三首相(当時)が、「海洋における法の支配の三原則」(原則1:国際法に基づいて主張をなすべきこと、原則2:主張をとおすために力や威圧を用いないこと、原則3:紛争は平和的に解決すること)を提唱したことは、国際法における法の支配の内容を明確にするための、重要な一歩をなした。それは安倍三原則の明確な意義である。

つづいて、法の三原則の一つ一つを、国際法の視点から簡潔に分析した。原則1については、国際法の規定が欠如している場合に、どのように対処するかという問題があること、原則2と原則3については、それらが、国連憲章2条3項(紛争の平和的解決)および同条4項(武力と武力による威嚇の禁止)を反映しており、すなわち、平和と安全の維持と回復のための、国際社会の到達地点といえる、国連憲章の関連規定を反映していることを明らかにした。

こうした海洋における法の支配の三原則の分析をふまえて、セッション1で3名の報告者がとりあげる問題、①日本が直面する緊張する東シナ海での法執行、②海底ケーブル・パイプラインの損壊行為への対処としての法執行、③海洋法の根本原則である(あった)旗国主義への挑戦(shadow feet, flag-of-convenience, fraudulent registration, open registration)に即して、海洋における法の支配の三原則の具体的な適用態様を検討した。

最後に、海洋における法の三原則のありうる発展と強化を検討した。

【関連する兼原研究主幹の著作】

  • Atsuko Kanehara, “The Protection of Submarine Cables and Pipelines in Armed Conflict in the Indo-Pacific,” in Douglas Guilfoyle and Jennifer Maddocks eds., Armed Conflict and International Law in the Indo-Pacific Region, Part I, Chapter 8.
  • Atsuko Kanehara, “Manila Dialogue Presentation Report: The Rule of Law and the Functions and Duties of Law Enforcement Agencies,”
    https://cigs.canon/en/article/20251212_9454.html
  • Atsuko Kanehara, “Reconsideration of the Distinction Between the Use of Arms in Law Enforcement and the Use of Force Prohibited by International Law - With an Analysis of the Inherent Significance of This Issue to Japan-,” Japan Review, Vol. 5 (2023), JapanReview_Vol5_02_ Kanehara.pdf (jiia-jic.jp).

兼原研究主幹は、海上保安庁有識者ネットワーク「Compass Voice」メンバーです。

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